【区分所有法】一部共用部分は4層で解く ─ 誰のもの・誰が管理・全員規約に載せてよいか・1/4超の反対で止まる

📘 深掘り解説 | 区分所有の順路 3 / 8 論点②〈共用部分のアクション〉のうち「一部共用部分」 のくわしい解説です
この記事は〈区分所有の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。
区分所有法 ・ 論点②の深掘り:一部共用部分
一部共用部分は4層で解く ─ 誰のもの・誰が管理・全員規約に載せてよいか・1/4超の反対で止まる
1階の店舗だけが使う脇入口のような「一部共用部分」。誰のものか/誰が管理するのか/マンション全員の規約に載せてよいのか。結論を丸暗記する前に、なぜそうなるのかを講師と生徒の会話で腑に落とします。理由で分かれば、すり替えの罠にも迷いません。
目次

まず1問 ― 一部共用部分と「全員の規約」(平成23年 問13 肢3)

一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない。

🧩 一部共用部分の”4層” ― 誰のもの→誰が管理→載せてよいか→ブレーキ
層1 誰のもの共用すべき区分所有者(使う人)の共有(§11①ただし書。規約で全員共有化も可=§11②)
層2 誰が管理=原則は使う人のみ。「全員の利害に関係」又は「全員規約に定め」なら全員で(§16・OR条件)
層3 全員規約に載せてよいか=載せることが「できる」(§30②。「できない」の断定は×)
層4 ブレーキ=共用者の1/4を超える者又は議決権の1/4超の反対があれば不可(§31②)

📌 本問は層3の話。「全員の利害に関係しない=全員規約に定めることができない」と断定 ⇒ §30②と食い違う。

結論:×(誤り・本問の正解肢)

§30②は「区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる」。法律自身が“全員規約に定めがある場合”を最初から予定して条文を書いている=全員の利害に関係しない事項でも、全員規約に定めることは「できる」。「できない」と断定する本肢は誤り。
では、なぜ使う人にしか関係しないものを、全員のルールブックに載せてよいのか? ここからが本題です。

🧠 なぜこうなる? ― 講師と生徒で”天秤”に乗せる

⚖️ 天秤の世界
一部共用部分は「一部の人の縄張り(使う人たちの自治)」と「1棟まるごとの統一管理(全員で決める利便)」を天秤にかけます。4層=①誰のもの②誰が管理③全員規約に載せてよいか④ブレーキは、すべてこの1つの天秤から導けます。
🙋‍♂️
生徒:先生、マンションの1階に店舗が3軒あって、店舗だけが使う専用の脇入口があるとします。ああいう「一部の人しか使わない部分」は、その人たちだけのもの・その人たちだけで決めるべきですよね? 店舗入口のルールを、使いもしない5階の住人が決めるなんて変です。だから”マンション全員の規約”には載せられないはず…。
👨‍🏫
講師:その直感、本試験が待ち構えている罠そのものだ。天秤に乗せてみろ。その脇入口の庇が錆びて、看板が剥がれかけているとする。店舗の連中が「うちらの縄張りだから放置」と言い出したら? マンションの正面が廃墟の顔になる。5階の住人が部屋を売ろうとしたら、内見客は入口前で回れ右だ。
🙋‍♂️
生徒:うわ…。使うのは店舗だけでも、同じ1棟の外観も資産価値も管理の手間も、全員に跳ね返るんですね。
👨‍🏫
講師:そう。天秤の両皿は〈使う人の自治(一部の人の縄張り)〉と〈1棟まるごとの統一管理(全員で決める利便)〉。一部共用部分のルールは全部この天秤から導ける。4層を上から順に降りるぞ。まず層1〈誰のもの〉。原則は共用すべき区分所有者(使う人)の共有だ(§3後段の定義・§11①ただし書)。平成25年の本試験もそのまま聞いた――「一部共用部分は、区分所有者全員の共有に属するのではなく、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」→。ただし、規約で別段の定めをすれば全員の共有にもできる(§11②)。令和2年(10月)には「一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。」が出て、これもだ。
🙋‍♂️
生徒:原則は使う人の共有=縄張り、でも規約で全員のものにもできる=統一は選択肢、ということですね。
👨‍🏫
講師:次は層2〈誰が管理〉。原則は使う人のみで管理する。ただし(a)区分所有者全員の利害に関係するもの又は(b)全員規約に定めがあるもの全員で管理だ(§16)。「又は」=どちらか片方でOK。さっきの脇入口――建物正面の外壁と一体なら、外観は全員の利害(a)だし、「管理会社に1棟まるごと一元管理を任せたい」なら全員規約に載せる(b)。どちらのルートでも全員管理になる。
🙋‍♂️
生徒:「かつ」ではなく「又は」…片方でいいんですね。統一管理の皿が意外と強い。
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講師:では層3〈全員規約に載せてよいか〉。冒頭の平成23年 問13 肢3だ。「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない。」――君の最初の直感で解くと?
🙋‍♂️
生徒:全員の利害に関係しないなら、関係ない人のルールブックには載せられない…だからでは?
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講師:§30②を読め。「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる」。見えるか? 法律は最初から“全員規約に載っているケース”を予定して条文を書いている。つまり載せることは「できる」んだ。全員の利害に関係しなくても、統一管理の皿に積みたければ積める。
🙋‍♂️
生徒:「できない」と断定した瞬間に×! 一部の人のものでも、全体で統一管理したければ全員のルールブックに載せてもいい…。でも先生、それだと店舗側が不安です。使う人を守る仕掛けがあるんですよね?
👨‍🏫
講師:それが層4〈ブレーキ〉――〈共用部分の”梯子”〉の回のラストで見た1:4ストッパーの復習だ。全員規約でその事項を設定・変更・廃止するとき、共用すべき区分所有者の1/4を超える者、又はその議決権の1/4を超える反対があれば、することができない(§31②)。
🙋‍♂️
生徒:どうして「共用者全員の承諾」まで要求しないんですか? 縄張りを守るなら、そのほうが手厚いのに。
👨‍🏫
講師:天秤だ。全員の承諾を要求したら、店舗1軒のわがままで1棟の統一管理が永久に止まる――重すぎる。かといって歯止めゼロなら、多数派が少数者の縄張りを蹂躙する――軽すぎる。だから「1/4超の反対がなければ通る」。自治と統一の均衡点だ。
👨‍🏫
講師:ここで引っかけ①〈承諾すり替え〉。平成13年 問15 肢2――「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定,変更,又は廃止は,当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。」
🙋‍♂️
生徒:縄張りを守る話だから、承諾が要る…で合ってそうな…あれ?
👨‍🏫
講師×だ「全員の承諾(全員がYES)」「反対が1/4以下(NOが少数)」は全く別のハードル。§31②が要求するのは後者だけ。ブレーキを「承諾」にすり替えるのが定番の罠だ。さっきの天秤を思い出せ――全員の承諾は”重すぎる”と法律自身が退けた選択肢だぞ。
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講師引っかけ②〈以上と超の境界〉。令和5年 問13 肢4――「…当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人である場合、3人が反対したときは変更することができない。」
🙋‍♂️
生徒:8人の1/4は2人。3人は1/4を超えているから…ストッパー発動で「変更できない」=
👨‍🏫
講師:正解。逆にちょうど2人(1/4ぴったり)の反対ならストップしない。「1/4」であって「1/4以上」ではない――ここが境界だ。なお令和8年改正で頭数の母数に「議決権を有しないものを除く」の括弧書きが付いたが、8人全員が議決権を持つ本問では結論は変わらない。頭数計算は過去問ドリルで解き直そう。
👨‍🏫
講師:最後に引っかけ③〈帰属ペア〉。層1で見た平成25年「使う人の共有に属する」も、令和2年(10月)「規約で全員の共有にできる」も――原則と規約別段の両方が○になるペアだ。
🙋‍♂️
生徒:「全員の共有に属するのではなく」なんて断定調で来られると、”別段の定めもできないのでは”と勘ぐりたくなりますが…原則を述べた肢は○、規約で全員共有化できる(§11②)と述べた肢も○。両にらみで読みます!
⚖️ 暗記メモ(4層を本番へ持っていく)
  • 層1 誰のもの使う人(共用すべき区分所有者)の共有。規約で全員共有化も可(§11②)
  • 層2 誰が管理=原則使う人のみ。「全員の利害に関係」or「全員規約に定め」なら全員(§16・ORで覚える)
  • 層3 全員規約に載せてよいか=載せることが「できる」(§30②)。「できない」の断定は×
  • 層4 ブレーキ「全員の承諾」ではなく「1/4超の反対」(§31②)。ちょうど1/4はセーフ(「超」であって「以上」ではない)。計算は過去問ドリルで
📖 条文チェック(§3・§11・§16・§30②・§31②)

§3後段(定義):一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分=一部共用部分。それらの区分所有者が管理するときも団体を構成する。

§11①ただし書(帰属の原則):一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する

§11②:前項は規約で別段の定めをすることを妨げない=全員共有化できる(区分所有者以外の者を所有者と定めるのは管理所有§27①の場合を除き不可)。

§16(一部共用部分の管理):一部共用部分の管理のうち、全員の利害に関係するもの又は全員規約(§31②の規約)に定めがあるものは区分所有者全員で、その他は共用すべき区分所有者のみで行う(OR条件)。

§30②(規約事項):全員の利害に関係しないものは、全員の規約に定めがある場合を除いて、共用者の規約で定めることができる=全員規約に定めることも「できる」

§31②(全員規約のブレーキ):その全員規約の設定・変更・廃止は、共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く)の1/4を超える者、又はその議決権の1/4を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。

論点②深掘り:一部共用部分 ─ 3手で解く
全員の利害に関係しない事項も、全員規約に定めることが「できる」
平成23年 問13 肢3
📋 問題文(色=解き方の地図)

一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない

1 見分ける ▸ どの論点? → 一部共用部分
🔵青の「一部共用部分」が主語。〈誰のもの・誰が管理・誰の規約に載せられるか〉の4層へ振り分ける。
2 考える ▸ 決め手と罠は? → §30②=全員規約に定めることが「できる」(法律が最初から全員規約を予定)
🟡決め手は§30②の「全員の規約に定めがある場合を除いて」の一句=載せることは「できる」。🔴「定めることができない」の断定が罠。
3 仕上げる ▸ ○か×か? → × 誤り
全員の利害に関係しない事項でも、全員規約に定めることは「できる」。「できない」と断定する本肢は誤り=本問の正解肢。
📋 問題文(ヒントなし・自分で解く)

一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めることができない。

1 見分ける ▸ どの論点?
2 考える ▸ 決め手は?
3 仕上げる ▸ ○か×か?
🏋 この論点の過去問を、もっと解く

一部共用部分(帰属・管理・全員規約・1/4超の反対=頭数計算も)の過去問は、過去問ドリルの論点②にまとめてあります。3手(見分ける→決め手→○×)で腕試し。

▶ 区分所有法ドリルで腕試し →
📌 この記事の核心
一部共用部分は、〈使う人の自治〉と〈1棟まるごとの統一管理〉の天秤で4層を順に降りる。層1 誰のもの=使う人の共有(規約で全員共有化可・§11②)→層2 誰が管理=「全員の利害」or「全員規約」なら全員(§16・OR)→層3 全員規約に載せることは「できる」(§30②・「できない」の断定は×)→層4 ブレーキ=「全員の承諾」ではなく「1/4超の反対」(§31②・ちょうど1/4はセーフ)。理由で分かれば、承諾へのすり替えにも断定にも迷いません。
読み終えたら | 区分所有の順路 3 / 8
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