【区分所有法】Step1で迷子にならない ─ 属性がかぶる肢は“何を決める議題か”で振り分ける

📘 深掘り解説 | 区分所有の順路 3 / 8 【トレーナーの使い方】Step1〈どの論点?〉の振り分け術 のくわしい解説です
この記事は〈区分所有の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。
区分所有法 ・ 🧭使い方の深掘り Step1の振り分け術(論点横断)
Step1で迷子にならない ― 属性がかぶる肢は”何を決める議題か”で振り分ける
「滅失」は復旧っぽい、「決議」は①っぽい、「共用部分」は②っぽい――言葉がどの部屋の札にも見える肢があります。そんな時の合言葉は「この肢は、何を決める話か?」。議題で振り分ければ、最初の一歩で迷子になりません。講師と生徒の会話で腑に落とします。
目次

まず1問 ― 言葉が”4つの部屋”にかぶる肢(平成26年 問13 肢3)

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合、規約で別段の定めがない限り、各区分所有者は、滅失した共用部分について、復旧の工事に着手するまでに復旧決議、建替え決議又は一括建替え決議があったときは、復旧することができない。

🧭 見た目の言葉だけ拾うと、4つの部屋に見える(属性かぶり)
復旧決議、建替え決議又は一括建替え決議」→ ①決議の数字っぽい
滅失した共用部分」→ ②共用部分のアクションっぽい
規約で別段の定めがない限り」→ ③規約っぽい
2分の1以下…滅失」→ 滅失・復旧(ドリルでは論点⑤の部屋)っぽい

📌 こういう属性かぶりの肢こそ、本記事のテーマ。合言葉は「この肢は、何を決める話か?」――議題で聞き直すと、着地は1つに決まります。

結論:○(正しい)

小規模滅失(建物価格の1/2以下)は各区分所有者が単独で復旧できるのが原則(§61①本文)。ただし復旧の工事に着手するまでに復旧決議・建替え決議等があったときは、以後単独では復旧できない(§61①ただし書)。「規約で別段の定めがない限り」も§61④どおりで、肢は条文そのまま。
では、言葉が4部屋にかぶるこの肢に、どうすれば迷わず着地できるのか? ここからが本題です。

🧠 なぜこうなる? ― 講師と生徒で”天秤”に乗せる

⚖️ 天秤の世界
天秤に乗せるのは「肢の見た目の言葉(壁・滅失・3/4などの主語や数字)」と「肢が決めようとしている議題(何を決める話か)」。区分所有法は”決め方の重さ別”に並んだ法律だから、かぶったら議題が重い
🙋‍♂️
生徒:先生、トレーナー(型)の3手はStep1「どの論点か」が最重要なんですよね。でもさっきの肢、「2分の1以下…滅失」は復旧っぽいし、「復旧決議・建替え決議」は①決議の数字っぽいし、「滅失した共用部分」は②共用部分っぽいし、「規約で別段の定め」は③規約っぽい……全部に見えます。最初の振り分けで間違えたら、型ごと全部崩れるんじゃないですか?
👨‍🏫
講師:いい所に気づいた。まず安心材料を1つ。この型の部屋割りは条文の並びを映した”器”で、決め手は“中身”だ。だから①か⑤か迷うような肢は、どちらの部屋から入っても最後は同じ決め手に着地する迷子は失点じゃない。現にドリルは復旧の過去問を論点⑤の部屋に置いていて、トレーナー(型)自身も※印でそう案内しているだろ? 部屋割りが2通りありうること自体、器と中身が別物である証拠だ。どちらも正しい器なんだよ。
🙋‍♂️
生徒:迷っても失点じゃない……少しほっとしました。でも本番は時間がないです。早く確実に着地するコツはないんですか?
👨‍🏫
講師:ある。天秤に乗せろ。片方の皿に肢の見た目の言葉――壁・滅失・3/4といった主語や数字。もう片方の皿に肢が決めようとしている議題=何を決める話か。かぶったら、議題が重い。想像してみろ。マンションの3階が火事で一部焼けた。101号室のあなたは自腹で廊下を直したい。だがエントランスの掲示板には「来月、復旧決議の集会を開きます」の貼り紙――このとき法律が聞くのは「壁が焼けたか」でも「何分の何か」でもない。「誰が・どの重さの決め方で・何を決めるのか」だ。
🙋‍♂️
生徒:たしかに……火事そのものより、「誰がどう決めるか」でモメそうな場面ですね。
👨‍🏫
講師:そう。区分所有法は”モノ別”ではなく、侵害される利益の重さ順に多数決を並べた法律だ。だから議題さえ特定すれば、段は1つに決まる。しかも実は、型はもう答えを書いてある。論点①の見出しを見ろ――「議題は何? → 梯子のどの段?」。俺が発明した新原則じゃない、トレーナー(型)の見出しから素直に導くだけだ。優先順位は【議題>主語>数字】。数字や「壁」は議題を確かめる材料であって、行き先を決める切符じゃない。
🙋‍♂️
生徒:じゃあ、さっきの平成26年の肢で実演してください!
👨‍🏫
講師:3手フルでいくぞ。Step1(見分ける):議題は「各区分所有者が単独で復旧できるか」→ 論点①の復旧の行(小規模滅失)だ。Step2(考える):なぜ単独でいいのか――小さい壊れは保存に近く、直しても誰も損しない。だから各自単独OKが原則。だが集会が「みんなで直す」「建て替える」と決めた後まで単独復旧を許したら、決議が無意味になるだろ? だから決議後ストッパー=復旧の工事に着手するまでに復旧決議・建替え決議等があったら、以後単独では復旧できない(§61①ただし書)。
👨‍🏫
講師Step3(仕上げる):肢は「復旧の工事に着手するまでに復旧決議、建替え決議又は一括建替え決議があったときは、復旧することができない」=§61①ただし書そのまま。「規約で別段の定めがない限り」も§61④(①〜③は規約で別段可)のとおり。よってだ。ちなみにこの年の正解(誤り肢)は肢1――「管理組合法人は30人以上」という廃止済みの亡霊。それだけ言って深追いはしない。
🙋‍♂️
生徒:なるほど……! ⑤の部屋(滅失・復旧)から入っても、①の梯子(単独→過半数→2/3)から入っても、着地は同じ「単独復旧+決議後ストッパー」なんですね。迷った瞬間に「何を決める話?」と聞き直せばいいだけだ。
👨‍🏫
講師:ここで引っかけ①(令和7年 問13 肢4・逐語)。「区分所有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。」――「行為の停止」は①の過半数の行にも⑤義務違反者にも出てくるぞ。どっちの部屋だ?
🙋‍♂️
生徒:「行為の停止」……①の梯子で「過半数」と覚えた気がします。決議の数字の話だから①……?
👨‍🏫
講師:議題を聞け。この肢の議題は「迷惑行為をやめさせる請求ができるか」=⑤義務違反者の階段の入口だ。決め手は――裁判外の停止請求そのものに決議は不要で、請求主体は「他の区分所有者の全員又は管理組合法人」(§57①の逐語)→ 。①の「過半数」が顔を出すのは、議題が「停止請求の訴訟を提起する」に変わったときだけだ(§57②)。な、数字は議題確認の材料にすぎないだろ?
👨‍🏫
講師引っかけ②(実戦復習)。令和2年(10月)問13 肢1――「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、この区分所有者の定数は、規約で2分の1以上の多数まで減ずることができる。」 見た目は「共用部分の変更」(②の言葉)+「各4分の3」「2分の1」(①の数字)の属性かぶりだ。決め手は〈“各〇分の〇”の読み方(肢文パース術)〉の回でやったから、ここでは振り分けだけ実演してみろ。
🙋‍♂️
生徒:議題は……「規約で賛成のハードルを下げられるか」! だったら①の緩和ルールに着地です。
👨‍🏫
講師:正解。着地さえ決まれば、あとはあの回の決め手を1行呼び出すだけ――引下げは「2分の1″超”」に限るから「2分の1以上」は×(下げられるのは頭数も議決権も両方・新旧どちらの法でも×)。詳しい解剖はあちらの記事に任せる。ここで確認したいのは1つだけ――迷子になりかけたら、議題で聞き直す。それだけでStep1は外さない。
🙋‍♂️
生徒:「この肢は、何を決める話か?」――この一言、本番で一番安い保険ですね!
⚖️ 迷子にならない3か条+暗記メモ(この天秤を本番へ持っていく)
  • 議題>主語>数字――かぶったら「何を決める話か」を聞き直す(論点①の見出し「議題は何?」がそのまま合言葉)
  • 迷子は失点ではない――部屋割りで迷っても決め手は同じ所に着地する。焦らず決め手まで進む
  • 着地したらStep2「なぜ」→Step3 数字・細部(超/以上、決議の要否)で仕上げる
  • 復旧=小規模は単独OK・決議後はストッパー(§61①ただし書・規約で別段可§61④)
  • 行為の停止=裁判外の請求は決議不要・訴訟にするなら過半数・主体は他の区分所有者の全員又は管理組合法人(§57)
  • 緩和は重大変更だけ・2分の1「超」・頭数も議決権も両方(「以上」は×)
📖 条文チェック(§61・§57・§17①)

§61①(小規模滅失の復旧):建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失(小規模滅失)→ 各区分所有者が単独で復旧できるただし、復旧の工事に着手するまでに復旧決議・建替え決議・一括建替え決議等(現行法は建物更新§64の5等も参照先に含む)があったときは、単独では復旧できない。

§61②:単独で復旧した者は、他の区分所有者へ§14の割合で費用の償還を請求できる。

§61③:集会での復旧決議は普通決議(過半数)

§61④:①〜③は規約で別段の定め可(肢の「規約で別段の定めがない限り」の根拠)。

§57①(行為の停止等の請求):共同の利益に反する行為の停止等の請求=裁判外の請求自体に決議は不要・主体は他の区分所有者の全員又は管理組合法人

§57②:停止請求の訴訟を提起するには集会の決議(普通決議・過半数)が必要。

§17①(重大変更):出席した区分所有者及びその議決権の各3/4。規約で下げられるのは「2分の1を超える割合に限る」=頭数も議決権も両方(「2分の1以上」はちょうど半分を含むから×)。

🧭使い方の深掘り:Step1の振り分け術 ─ 3手で解く
小規模滅失の復旧 ― 決議後ストッパー
平成26年 問13 肢3
📋 問題文(色=解き方の地図)

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合、規約で別段の定めがない限り、各区分所有者は、滅失した共用部分について、復旧の工事に着手するまでに復旧決議、建替え決議又は一括建替え決議があったときは、復旧することができない

1 見分ける ▸ どの論点? → 小規模滅失の復旧
🔵青の「2分の1以下…滅失」が見た目の言葉。議題は「単独で復旧できるか」=論点①〈決議の数字〉の復旧の段へ。言葉は②③⑤にもかぶる=議題で振り分ける
2 考える ▸ 決め手と罠は? → 決議後ストッパー=小規模滅失は各自単独OK・ただし着手前に復旧決議・建替え決議等があれば単独復旧できない
🟡黄が§61①ただし書そのまま。罠は「単独でできるはずだから『できない』は×」と原則だけ見てただし書を落とす筋。
3 仕上げる ▸ ○か×か? → ○ 正しい
「規約で別段の定めがない限り」も§61④どおり。肢は条文そのままで正しい。
📋 問題文(ヒントなし・自分で解く)

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合、規約で別段の定めがない限り、各区分所有者は、滅失した共用部分について、復旧の工事に着手するまでに復旧決議、建替え決議又は一括建替え決議があったときは、復旧することができない。

1 見分ける ▸ どの論点?
2 考える ▸ 決め手は?
3 仕上げる ▸ ○か×か?
🏋 振り分けの練習は、ドリルで

ドリルは53肢すべてがStep1〈どの論点?〉から始まる3手ドリル。属性がかぶる肢ほど「何を決める話か」で振り分ける練習台になります(復旧の過去問は論点⑤の部屋にあります)。

▶ 区分所有法ドリルで腕試し →
📌 この記事の核心
言葉がどの部屋の札にも見える肢は、「何を決める議題か」で振り分ける議題>主語>数字(論点①の見出し「議題は何?」がそのまま合言葉)。部屋割りで迷っても決め手は同じ所に着地するから、迷子は失点ではない。平成26年の復旧肢なら議題は「単独で復旧できるか」→単独OK+決議後ストッパー(§61①ただし書)で○。着地したらStep2の「なぜ」→Step3の数字・細部(超/以上、決議の要否)で仕上げれば、Step1で崩れることはありません。
読み終えたら | 区分所有の順路 3 / 8
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