まず1問 ― 占有者への契約解除(平成5年 問14 肢4)
(設定:Aは、区分所有者から専有部分を賃借している者。本問は「誤っているものはどれか」の一肢です)
Aが区分所有者の共同の利益に反する行為を行った場合において,区分所有者の共同生活上の障害が著しく,他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは,管理組合法人は,集会の決議をもって,その賃貸借契約を解除することができる。
📌 本問は③の最終段(占有者への契約解除+引渡し)。「集会の決議をもって…解除できる」と言っている ⇒ 訴え・判決を飛ばしている。
§60①は「集会の決議に基づき、訴えをもって」契約の解除+専有部分の引渡しを請求すると定める。各3/4の決議+弁明の機会はあくまで訴訟を起こすための前提条件で、決議だけでは解除できない=裁判所の判決までが必要。
では、なぜ3/4も集めたのに、まだ追い出せないのか? ここからが本題です。
🧠 なぜこうなる? ― 講師と生徒で”天秤”に乗せる
- 階段=裁判外の停止請求(決議不要・各自単独可=通説)→ 停止の訴訟(普通決議=過半数)→ 使用禁止・競売・解除+引渡し(出席者の各3/4+事前の弁明+「訴えをもって」=判決必須)
- 合言葉=「決議は切符、判決がゴール」/「決議をもって解除」=×・「決議により訴訟を提起」=○
- 弁明の相手=本人(占有者への解除は占有者に弁明・賃貸人ではない)
- 法人は全訴訟の主体○/理事・監事は必置/複数理事=規約に別段なければ過半数/監事は兼任禁止
- 競売の細部=判決確定から6月以内に申立て・本人(その計算の者含む)は買受×
- 掲示2制度=占有者への周知§44②(規約不要) vs 招集通知の掲示代用§35④(規約に特別の定めが要る)
📖 条文チェック(§57〜§60・§44②・§49・§50)
§57①(行為の停止等の請求):共同の利益に反する行為(おそれ含む)→ 他の区分所有者の全員又は管理組合法人が、行為の停止・結果の除去・予防措置を請求できる(裁判外の請求は決議不要)。
§57②③:停止等を訴訟で行うには集会の決議(普通決議=過半数で足りる)。管理者又は集会において指定された区分所有者が、決議により全員のために訴訟を提起できる。
§57④:以上は占有者にも準用。
§58①②③(使用禁止):「集会の決議に基づき、訴えをもって」請求。決議は定足数(頭数・議決権の各過半数の出席・規約で上回る割合のみ可)+出席した区分所有者及びその議決権の各3/4以上。あらかじめ当該区分所有者に弁明する機会。
§59①③④(競売):競売も「訴えをもって」。判決に基づく競売の申立ては判決確定の日から6月以内。競売を申し立てられた区分所有者(その者の計算で買い受けようとする者を含む)は買受けの申出不可。
§60①②③(占有者への契約解除+引渡し):占有者への契約解除+専有部分の引渡しも「集会の決議に基づき、訴えをもって」。弁明の相手は当該占有者(§58③準用)。引渡しを受けた者は遅滞なく占有する権原を有する者へ引き渡す。
§44②(占有者への集会周知):招集通知を発した後遅滞なく、建物内の見やすい場所に掲示(規約不要)。※§35④の招集通知の掲示代用(規約に特別の定めが必要)とは別制度。
§49①②(理事):理事は必置。複数理事は規約に別段の定めがなければ事務は理事の過半数で決する。
§50①②(監事):監事は必置。理事又は管理組合法人の使用人と兼任禁止。
Aが区分所有者の共同の利益に反する行為を行った場合において,区分所有者の共同生活上の障害が著しく,他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは,管理組合法人は,集会の決議をもって,その賃貸借契約を解除することができる。
Aが区分所有者の共同の利益に反する行為を行った場合において,区分所有者の共同生活上の障害が著しく,他の方法によってはその障害を除去することが困難であるときは,管理組合法人は,集会の決議をもって,その賃貸借契約を解除することができる。
義務違反者(停止請求・使用禁止・競売・契約解除+引渡し・占有者)の過去問は、ドリルの論点⑤にまとめてあります。3手(見分ける→決め手→○×)で腕試し。
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