第0関門(特約・引渡し)を抜けると、いよいよStep 1の「誰のせい?」判定です。ここで「売主のミス」と分かったら——もう危険負担の話ではありません。話は債務不履行の世界に切り替わります。そして「契約は無効になる」と書いてある選択肢は罠。なぜか?売主のミスは「無効」を引き起こさないからです。
本日のターゲット問題(平成19年 問10 肢2)
甲建物が引渡し前の時点でAの責めに帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
【Step 1→Step 2】帰責事由の判定
原因は誰のミス?
├─ 売主A(債務者) → Step 2:債務不履行ルート
├─ 買主B(債権者) → Step 3:債権者主義(買主全額払い)
└─ 双方無過失 → Step 4:履行拒絶権
本問:売主Aのミス(責めに帰すべき火災)
→ Step 2「債務不履行」へワープ
→ 買主は ①履行拒絶 ②解除 ③損害賠償 ができる
→ ただし「当然に無効になる」わけではない
記述:「Aの債務不履行によって無効となる」
→ 債務不履行は「無効」原因にならない(解除して初めて契約は消える)
→ × 誤り
答え:×(誤り)
売主のミスは債務不履行の問題で、契約は当然には「無効」にならない。買主は解除・損賠で対応する。「無効」と「解除」は別物——ここが引っかけのキモ。
§415①(債務不履行による損害賠償):債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
§542①一(催告によらない解除):債務の全部の履行が不能であるときは、債権者は催告なく直ちに契約を解除することができる。
§413の2①(履行遅滞中の履行不能と帰責事由):債務者が遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。
【ポイント】売主のミス=買主は損賠+解除で対応。契約は「解除して初めて」消える=当然無効ではない。さらに§413の2で履行遅滞中の天災は売主のミス扱いにワープする。
甲建物が引渡し前の時点でAの責めに帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
×(誤り)
売主の過失は債務不履行の問題。買主は解除・損賠できるが、契約が「当然に無効」になるわけではない。
甲建物が引渡し前の時点でAの責めに帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
売主の過失で滅失したとき、契約は「無効になる」?
「Aの債務不履行によって契約は無効となる」は正しい?
×(誤り)
売主の過失は債務不履行の問題。買主は解除・損賠できるが、契約が「当然に無効」になるわけではない。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:原因が売主のミスとあったら、即「債務不履行ルート」へ。買主は①履行拒絶②解除③損害賠償ができる。「契約は当然に無効」「当然に消滅」と書いてあれば即×。
⚖️ 概念マップ:「無効」と「解除」は別世界。売主のミスは解除の世界。買主が行動して初めて契約が消える。さらに履行遅滞中のワープに注意——遅滞中の天災は売主のミス扱い(§413の2)。
- 売主のミス → Step 2(債務不履行)。買主は①履行拒絶②解除③損賠
- 「当然無効」「自動消滅」 → 即×(解除権の行使が必要)
- 履行遅滞中の天災 → §413の2で売主のミス扱いに強制ワープ
⚠️ よくある引っかけ
- 「Aの債務不履行によって契約は無効」→ ×。不履行は無効原因ではない
- 「履行遅滞中に天災で消えたから売主は免責」→ ×。§413の2で売主のミス扱い
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
【比較対象:平成8年 問11 肢4】 今度は履行遅滞中の天災です。§413の2のワープが効くと、結論はどう変わるでしょうか。
Bが代金の支払いを終え、建物の引渡しを求めたのにAが応じないでいる場合でも、建物が地震で全壊したときは、Bは、契約を解除して代金の返還を請求することができない。
すると話は債務不履行ルート。買主Bは契約を解除して代金の返還を請求できる=『請求できない』は×(誤り)。
⚠ 『地震は双方無過失だから売主は免責』は典型的な罠。遅滞中は§413の2で結論が逆転します。」
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 売主のミスは危険負担ではなく債務不履行。契約は「当然には無効にならない」——買主が①履行拒絶②解除③損賠で対応する。「当然無効・自動消滅」と書いてあれば即×。履行遅滞中の天災ワープ(§413の2)もこのルートに合流する応用論点。
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