家は燃えて無くなったのに、代金は全額払う——一見、信じられないルールです。でもこれが「買主のミス」の世界。買主が原因で建物が滅失したのに、それを売主に肩代わりさせるのは不公平ですから、買主は自爆の責任を取って全額払う(§536②)。これがStep 3「債権者主義」です。
本日のターゲット問題(平成19年 問10 肢3)
甲建物が引渡し前の時点でBの責めに帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
【Step 1→Step 3】帰責事由の判定
原因は誰のミス?
├─ 売主A(債務者) → Step 2:債務不履行
├─ 買主B(債権者) → Step 3:債権者主義(§536②)
│ → 売主の引渡し債務は消滅
│ → 買主の代金支払債務は 消滅しない(全額払う)
│ ※売主が滅失で得した分は買主に償還(利益償還ルール)
└─ 双方無過失 → Step 4:履行拒絶権
記述:「両債務とも消滅する」
→ 買主の代金支払債務は消滅しない(全額払う)
→ × 誤り
答え:×(誤り)
原因が買主のミスなら債権者主義(§536②)。買主は代金を全額払う=代金支払債務は消滅しない。「両債務消滅」は買主に有利すぎて×。
§536②(債務者の危険負担等/債権者主義):債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
§413②(受領遅滞の効果):債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによってその履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
【ポイント】§536②=買主の自爆は買主が全額負担(ただし売主の利益は償還)。§413②=買主の受領拒絶で増えた費用は買主負担。受領遅滞中の天災は§413の2②により買主の帰責事由とみなされる(ワープの根拠条文は§413の2②)。
甲建物が引渡し前の時点でBの責めに帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
×(誤り)
買主の過失=債権者主義。買主の代金支払債務は消滅せず全額払う。「両債務消滅」は誤り。
甲建物が引渡し前の時点でBの責めに帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
買主の過失で滅失したとき、買主の代金支払債務はどうなる?
「両債務とも消滅する」は正しい?
×(誤り)
買主の過失=債権者主義。買主の代金支払債務は消滅せず全額払う。「両債務消滅」は誤り。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:原因が買主のミスとあったら、債権者主義。買主は代金を全額払う。「両債務とも消滅」「買主の代金債務も消滅」と書いてあれば即×。
⚖️ 概念マップ:危険負担は「誰が損を被るか」のルール。買主のミスなら買主が損を被る=代金全額払い=自爆責任。ただし売主の利益は償還で調整。受領遅滞中のワープ(§413の2②)にも要注意。
- 買主のミス → §536②債権者主義。代金支払債務は消滅しない(全額払う)
- 売主の利益(保険金・費用節約分など)は買主に償還(§536②後段)
- 受領遅滞中の天災 → 買主のミス扱いに強制ワープ(§413の2②と§567)
⚠️ よくある引っかけ
- 「両債務とも消滅」→ ×。代金支払債務は消滅しない
- 「受領遅滞中の天災で売主免責、代金もチャラ」→ ×。買主のミス扱いで全額払い
- 「受領遅滞で増えた費用は双方半額負担」→ ×。買主負担(§413②)
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
【比較対象:令和2年12月 問4 肢2】 今度は受領拒絶で履行費用が増えたケースです。費用の負担割合に注目してください。
債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。
受領遅滞中は、増えた費用も買主負担、その後の天災滅失も買主のミス扱い——買主が拒否したその瞬間から、すべての不利益が買主に降ってくる。受領拒絶は『自爆スイッチ』と覚えてください。」
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 買主のミスで滅失したら債権者主義。買主は代金を全額払う(家はないのに)。これが自爆責任の世界(§536②)。「両債務消滅」と書いてあれば即×。受領遅滞中の天災(§413の2②)も買主のミス扱いに強制ワープする応用論点として重要。
→ 次の記事:「双方無過失=旧法の亡霊」