「家が地震で消えたら、代金はどうなる?」——これが危険負担の入口です。でも実は、この問いに飛びつく前に必ず通る関門があります。それが「特約はあるか/引渡しは済んでいるか」。ここをスキップすると、民法のルールどおりに考えても全部ハズレます。なぜなら、危険負担は任意規定——当事者が「こうする」と決めればそれが絶対優先だからです。
本日のターゲット問題(平成19年 問10 肢4)
甲建物が引渡し前の時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
【第0関門】特約はあるか?/引渡しは済んでいるか?
Q1:特約はあるか?
├─ YES → 特約が絶対優先(ゲーム終了)
│ 本問:「危険は引渡しまで売主が負担」
│ → 売主が建物消失リスクを負う
│ → 引渡し債務 消滅 / 代金支払債務 消滅
└─ NO → Q2へ
Q2:引渡しは済んでいるか?
├─ YES → §567で買主負担(買主が代金を全額払う)
└─ NO → Step 1(帰責事由の判定)へ
本問:特約あり → 両債務消滅 → ○
答え:◯(正しい)
危険負担は任意規定。当事者の特約が民法のルールより絶対優先する(§91)。本問は「危険は引渡しまで売主が負担」と決めているから、その通り両債務とも消滅 → ○。
§91(任意規定と異なる意思表示):法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
§567①(目的物の滅失等についての危険の移転):売主が買主に目的物を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失等したときは、買主は代金支払を拒めない(追完請求・解除・損賠もできない)。
【ポイント】§91=特約優先の根拠。§567=引渡し後は買主負担に切り替わる(危険の移転)。この2つが第0関門の柱。
甲建物が引渡し前の時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまで売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
○(正しい)
危険負担は任意規定。特約が優先する。「売主が危険を負担」する特約なので両債務とも消滅する。
甲建物が引渡し前の時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまで売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
「売主が危険を負担する」特約があるとき、両債務はどうなる?
「特約があるとき両債務とも消滅する」は正しい?
○(正しい)
危険負担は任意規定。特約が優先する。「売主が危険を負担」する特約なので両債務とも消滅する。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:危険負担の問題を見たら、まず「特約はあるか」「引渡しは済んでいるか」を探す。どちらかにYESなら、その時点で結論が出る。「誰のせい?」のステップ判定はその後。
⚖️ 概念マップ:危険負担は任意規定。民法の§536は「何も決めなかったとき」のデフォルト。特約 → §567 → 帰責事由の順で関門を通過する。第0関門で結論が出ればゲーム終了。
- 特約あり → 特約優先(§91)。「売主負担」なら両債務消滅、「買主負担」なら買主全額払い
- 引渡し済み → §567で買主負担(買主は代金を全額払う)
- 特約なし+引渡し前 → ここで初めてStep 1(帰責事由)へ進む
⚠️ よくある引っかけ
- 「特約があるのに§536(民法)で考える」→ ×。特約優先で民法は引っ込む
- 「引渡し前後を区別しない」→ ×。引渡しは危険のバトン渡し。前後で結論が逆転する
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
【比較対象:平成1年 問9 肢1】 今度は「所有権移転登記後、引渡し前」というイジワルな設定です。第0関門の「引渡し」がカギを握ります。
家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が天災によって滅失した場合、Aは、Bに対し代金を請求することができない。
⚠ 『登記が移ったからもう買主負担』は罠。危険のバトンは『登記』ではなく『引渡し』で移ります。ここを混同させるのが定番の引っかけです。」
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 危険負担の問題はいきなり「誰のせい?」で考えない。第0関門=特約/引渡しを最初に通す。特約があれば民法(§536)は引っ込み、特約の通りに結論が出る(§91)。引渡し済みなら§567で買主負担に切り替わる。本問は「危険は引渡しまで売主が負担」の特約があるから、両債務とも消滅で○。
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