🏠 借家の型 ― 建物を借りる過去問を「1本道」で
考える分かれ道は3つだけ。覚える数字は下の暗記メモに。最大の分かれ道は「普通借家か、定期借家か」の見分けです。何度も回すと、型を閉じても解けるようになります。
🧭 賃貸借はどの肢も「この4手」で攻める
意思表示と違い、賃貸借は「並んだ入口のどれか」に入る型。だから毎回この4手で“どの入口か”から決めます。
Step1どの型か(世界を確定)
無償?/また貸し3人?/土地か建物か
無償?/また貸し3人?/土地か建物か
Step2どの論点か(どのレーン)
借家なら 普通か定期/対抗/終了清算
借家なら 普通か定期/対抗/終了清算
Step3判定する
考える(分かれ道)or 暗記メモを思い出す
考える(分かれ道)or 暗記メモを思い出す
Step4結論(○/×)
この記事は 🏠借家。だから Step1=借家で確定。あとは下のフローで Step2どの論点 → Step3判定 → Step4結論 を歩きます。
① 入口トリガー ― この文言を見たら「借家の型」へ
★飛ぶ=「建物を借りる(建物の賃貸借)」
「建物の賃貸借」「甲建物を賃借/賃貸」「定期建物賃貸借/定期借家」「普通借家」「借地借家法第38条」…
★飛ばない(罠 → 別の世界へ)
「一時使用が明らか」(§40)→ 民法/「土地を借りて建物所有」→ 借地の型/「また貸し・転貸」→ 転貸の型
⚠ 複合と肢ごと判定
「借地上の建物」の借家は借地論点(§35・借地§13)も絡む→借地の型も併用。柱書に「定期建物賃貸借及び一時使用目的を除く」とあれば=普通借家でOKの保証サイン。
② 本体フロー ― 考える分かれ道は3つだけ
◆分かれ道① 普通借家か、定期借家か? (借家の肢の大多数がここ)
見分け=「定期借家の“2つの壁”が揃っているか?」
├ 定期借家(更新なし):①書面(電磁的記録可)で契約/②“あらかじめ書面を交付して説明”
⚠①と②は別個独立の書面(同一書面で兼ねるのは不可)
→ どちらか欠けたら 普通借家に転落(更新あり)
⚠①と②は別個独立の書面(同一書面で兼ねるのは不可)
→ どちらか欠けたら 普通借家に転落(更新あり)
└ 普通借家:法定更新が効く
(ア)貸主が満了の1年前〜6ヶ月前に正当事由ある拒絶通知をしないと→同一条件で更新(更新後は“期間の定めなし”に)
(イ)満了後も使用継続+貸主が遅滞なく異議なし→更新とみなす(§26②)
(ア)貸主が満了の1年前〜6ヶ月前に正当事由ある拒絶通知をしないと→同一条件で更新(更新後は“期間の定めなし”に)
(イ)満了後も使用継続+貸主が遅滞なく異議なし→更新とみなす(§26②)
→ 期間・中途解約・終了通知の数字は【暗記メモ】へ
◆分かれ道② 対抗(建物が売られた/第三者)
建物の引渡し(鍵をもらう)だけで対抗できる(§31・登記不要)。
同じ建物が二重に賃貸されたら=先に対抗要件を備えた方が勝ち(二重譲渡と同じ)。(→地図の🧵横串2)
→「登記しないと対抗できない」等、特約の生き死には【暗記メモの🧾生き死に表】へ
◆分かれ道③ 終了・清算 ― 背骨「明渡しが先・お金は後/借主は“自分のせい”の分だけ」
① 明渡しが先・お金は後:敷金返還も造作代金も明渡しの後 →「返すまで明け渡さない」(留置・同時履行)は通らない。
② 借主は“自分のせい”の分だけ:通常損耗・経年劣化は大家持ち(§621本文)。明確な特約があれば借主負担も有効。
③ 大家が変わっても:賃貸人の地位は当然移転§605の2①・敷金も承継(未払賃料を引いた残額)。(例外と承継の中身は【暗記メモの👤カード】へ)
+造作買取:買い取らない特約は有効(任意規定のオマケ)。造作代金で建物は人質にできない(明渡しが先)→詳細は補足§33。
③ 暗記メモ ― 覚える数字・要件
🏁 終わり方の統合表 ―「場面×誰から×数字×正当事由×忘れたら」
| 場面 | 誰から | 数字 | 正当事由 | 忘れたら |
|---|---|---|---|---|
| 期間の定めなし (解約申入れ) | 貸主から | 6ヶ月後に終了 | 必要 | 申入れがない限り終わらない |
| 借主から | 3ヶ月後に終了 | 不要 | ||
| 普通借家・期間あり (更新拒絶の通知) | 貸主から※ | 満了の1年前〜6ヶ月前 | 必要 | 法定更新(同一条件・期間の定めなしに) |
| 定期借家 (終了通知§38⑥) | 貸主から | 満了の1年前〜6ヶ月前(期間1年以上のとき) | 不要 | 終了を対抗できない→遅れて通知すれば6ヶ月後にOK(救済) |
| 定期借家 (中途解約§38⑦) | 借主から | 申入れから1ヶ月 | 不要(やむを得ない事情+居住用200㎡未満) | — |
※更新拒絶の通知は借主からもできる(その場合、正当事由は不要)。
※正当事由§28=自己使用の必要性・経過・利用状況などを総合考慮。立退料は補完的な一事情にすぎない(払えば自動でOKではない)。
🧠 覚え方:6ヶ月組=貸主の解約申入れ・定期の遅れ通知救済(+転貸の終了通知→転貸の型)⇔ 3ヶ月は借主の解約申入れだけ。試験は6と3を入れ替えて出す(直近10年の本試験で3回)。
💰 賃料の土台(★§32 賃料増減):特約がなければ増額も減額も請求できる(増額に一定期間の経過は不要)。特約で変えられるか?→下の🧾生き死に表へ
🧾 特約の生き死に表 ― 特約の有効・無効はここで判定
⚖ 判定式:不利=法が与えたものを奪うこと。奪う→無効(借主に不利な特約は無効・§30)/奪っていない→有効/白リスト(造作§33・内縁§36)だけ任意(→地図の🧵横串3)
| 特約 | 普通借家 | 定期借家 | 理由(当てはめ) |
|---|---|---|---|
| 登記しないと対抗できない | ✗無効 | ✗無効 | §31の対抗力を奪う |
| 中途解約禁止 | ○有効 | ✗奪えない(§38⑦) | 普通は確認的=中途解約留保がなければ中途解約できない(奪う対象がない)/定期は§38⑦の解約権(居住用200㎡未満)を奪えない(§38⑧で無効) |
| 賃料を「減額しない」 | ✗無効 | ○有効 | §32の減額請求を奪う/定期は§38⑨で§32適用除外 |
| 賃料を「増額しない」 | ○有効 | ○有効 | 借主に有利=何も奪っていない |
| 造作を「買い取らない」 | ○有効 | ○有効 | 白リスト(§33は任意規定)=普通・定期で同じ |
🚪 つくり方・期間のくらべ表(普通⇔定期)
| 普通借家 | 定期借家 | |
|---|---|---|
| つくり方(成立の方式) | 書面不要=口頭でも成立 | 書面(電磁的記録可・公正証書に限らない)+事前の説明書面が必要(2つの壁) |
| 期間1年未満を定めると | 「期間の定めなし」とみなす(§29①) | そのまま有効(§29①不適用) |
| 更新 | 法定更新が効く | 更新なし(それが定期) |
📏 期間の下限を借地とくらべると:借地=30年に引上げ(→借地の型)。
👤 人が変わるカード(オーナー交代・内縁)
オーナー交代(原則):賃貸人の地位は当然移転(§605の2①)。新賃貸人に承継されるのは敷金(未払賃料を差し引いた残額)と費用償還の債務(§605の2④)
(④は「新オーナーが負う債務」の明文列挙。支払済み賃料の主張など契約上の抗弁は、地位の当然移転§605の2①で当然に引き継がれる=別問題)
(④は「新オーナーが負う債務」の明文列挙。支払済み賃料の主張など契約上の抗弁は、地位の当然移転§605の2①で当然に引き継がれる=別問題)
⚠例外(2つ合意したときだけ):建物を売るとき「旧オーナーが貸主のまま」+「新オーナーに賃貸する」と2つ合意したら、貸主の地位は新オーナーに移らない(§605の2②)。
内縁:相続人がいないとき、居住用建物の同居者が賃借権を承継(§36・反対の意思表示をしなければ)
定期借家=「更新なし」。その代わり“入口と出口が厳しい・中身は自由”
🚪入口(作る)=2つの壁:書面+“あらかじめ書面交付して説明”(説明を欠くと普通借家に転落)
🏁出口(終わる)=(期間1年以上のとき)終了通知は満了の1年前〜6ヶ月前(忘れても遅れて通知し6ヶ月後に終了可)/居住用・200㎡未満はやむを得ない事情で借主から中途解約可(申入れ1ヶ月)§38⑦
📦中身=自由:期間に制限なし(1年未満も有効・§29①の適用なし)・用途無制限(居住も事業もOK)
🚪入口(作る)=2つの壁:書面+“あらかじめ書面交付して説明”(説明を欠くと普通借家に転落)
🏁出口(終わる)=(期間1年以上のとき)終了通知は満了の1年前〜6ヶ月前(忘れても遅れて通知し6ヶ月後に終了可)/居住用・200㎡未満はやむを得ない事情で借主から中途解約可(申入れ1ヶ月)§38⑦
📦中身=自由:期間に制限なし(1年未満も有効・§29①の適用なし)・用途無制限(居住も事業もOK)
🧠 数字と決め手を思い出す(タップで答え)
解約申入れ(定めなし):貸主= ヶ月前/借主= ヶ月前
更新拒絶の通知=満了の 年前〜 ヶ月前
定期借家の終了通知(§38⑥)=満了の 年前〜 ヶ月前/遅れたら通知から ヶ月後に終了を対抗できる
普通借家:期間 年未満を定める→「期間の定めなし」
定期借家の中途解約(§38⑦)=居住用・ ㎡未満・申入れ ヶ月
正当事由が要るのは= からの解約申入れ・更新拒絶(借主からは不要)
「減額しない」特約が有効なのは= だけ(普通借家は無効)
造作「買い取らない」特約は= (普通・定期を問わず)
④ 補足 ― 低頻度・出たら引く
・造作買取請求(§33):特約がなければ造作買取請求できる(普通・定期で同じ)/⚠借主の債務不履行・背信解除では造作買取できない(自業自得)/転借人(建物賃借人)も§33を有する。(→地図の🧵横串1・3)
・取壊し予定の建物賃貸借(§39):取壊し時に終了する特約=書面でOK(公正証書まで不要)。
・一時使用目的の建物賃貸借(§40):借地借家法の保護が外れる=民法。
・借地上の建物の借家(複合):§35土地明渡しの猶予(満了→猶予あり/債務不履行解除→猶予なし)・借地§13建物買取は借地の型へ。(💡猶予なしは横串1から導ける)
・借家+また貸し(転貸)の終了:原賃貸借が解約申入れ・期間満了で終わるとき、賃貸人は転借人へ終了通知をしないと終了を対抗できない=通知から6ヶ月後に転貸借も終了。※債務不履行解除なら通知不要で転借人も明渡し(自業自得)。(💡横串1から導ける)
・「また貸し(転貸)」そのものの可否・直接請求 → 転貸の型(別途)。
📚 もっと深く知りたい人へ(なぜ?を解説)
型と道場で「解き方」は身につきます。理由や周辺ルールを掘り下げたい論点はこちら。
読み終えたら | 賃貸借の順路 8 / 12