🗺️ 賃貸借スタート地図 ― まず「どの型か」を見分ける
賃貸借は3つの世界(借地・借家・転貸)に分かれます。過去問はまず「これはどの世界か」を当てるのが第一関門。ここで見分けてから、その型の記事へ進んでください。見分けの練習と3つの違いの対比表を下に置きました。
① 見分けフロー ― 2つの質問で世界が決まる
Q1 「また貸し(転貸)」が出てくる? 登場人物が3人?
「転貸」「また貸し」「BはCに賃貸」「賃借権を譲渡」=貸主A・借主B・転借人Cの3人 → 🔁 転貸の型へ
2人だけ → Q2へ
2人だけ → Q2へ
Q2 何を借りている?
土地+建物の所有が目的 → 🏗️ 借地の型へ
建物を借りる → 🏠 借家の型へ
建物を借りる → 🏠 借家の型へ
📜 こんな時は「民法の基本(土台)の型」へ
(A) 借地借家法の保護から外れる(=民法の賃貸借/使用貸借)
・タダ(無償)で借りる=使用貸借(引渡しでも新所有者に対抗できない・借主死亡で終了)
・建物を建てない土地(駐車場・資材置場)
・一時使用が明らか
(B) 土台の論点が主役
・「修繕」「賃料の時期」「必要費・有益費」「使用貸借や地上権との違い」が主役の問題。借地/借家の問題に混じって出たときも同じ。
・タダ(無償)で借りる=使用貸借(引渡しでも新所有者に対抗できない・借主死亡で終了)
・建物を建てない土地(駐車場・資材置場)
・一時使用が明らか
(B) 土台の論点が主役
・「修繕」「賃料の時期」「必要費・有益費」「使用貸借や地上権との違い」が主役の問題。借地/借家の問題に混じって出たときも同じ。
★複合(2つの世界が絡む)
「借地上の建物の借家」(土地はC→Bが借地、建物はB→Aが借家)など=借地+借家。→ 下の【複合問題コーナー】でワンストップで解く(記事を往復しない)。
👀 読み方の作法 ― 肢を読む前の5つの構え
1. 極性を丸で囲む:「誤っているものはどれか/正しいものはどれか」を最初にマーク。ここを読み違えると全部の判定が逆になる。
2. デフォルトは「普通」:「定期」「§38」の明示がなければ普通借家・普通借地として読む。保護がデフォルト、外す(定期)のは特別な手続きを踏んだときだけ。
3. 「誰から→誰へ」を先に確認:解約・通知・請求の肢は、数字より先に主体を見る。主体のすり替え(貸主⇄借主・賃貸人⇄転貸人)は本試験×肢の常連(直近10年で10肢)。
4. 「公正証書」と来たらまず疑う:直近10年の本試験で「公正証書」が決め手になった借地借家の肢は6回すべて罠。本当に必須なのは事業用定期借地権だけ。
5. 「〜を除く」は保証サイン:柱書の「一時使用目的を除く」=借地でOK/「定期建物賃貸借及び一時使用目的を除く」=普通借家でOK、の合図。
② 対比表 ― 3つの世界の“紛らわしい違い”だけ
| 軸 | 🏗️借地 | 🏠借家 | 🔁転貸 |
|---|---|---|---|
| 見分けの合図 | 土地+建物所有 | 建物を借りる | また貸し・3人 |
| 対抗要件 | 建物に本人名義の登記 | 建物の引渡し(§31) | 原賃貸借に従属 |
| 存続期間・更新 | 普通30年〜/定期3タイプ | 普通は法定更新/定期§38 | 親亀次第 |
| 「減額しない」特約§32 | 借地は無効 | 普通無効/定期借家有効 | (借家へ) |
| 解く主役 | 種類・対抗・もめごと | 普通/定期・対抗・清算 | 承諾/親亀の終わり方 |
🧵 4つの型を貫く横串 ― どの世界でも同じ理由で決まる3本
横串1 ⚖ 自業自得は守らない
保護は「弱い借主を守る」ためのもの。だから家賃滞納など債務不履行(自業自得)で追い出される借主は守らない。形式ではなく実質=「なぜ契約が終わったのか」で判定する。
債務不履行解除なら → 建物買取請求§13 ✖/造作買取§33 ✖/明渡し猶予§35 ✖/転借人も守られない(通知不要・即終了)
債務不履行解除なら → 建物買取請求§13 ✖/造作買取§33 ✖/明渡し猶予§35 ✖/転借人も守られない(通知不要・即終了)
横串2 🏁 二重賃貸は二重譲渡と同じ
同じ物件を2人に貸したら、先に対抗要件を備えたほうが勝つ(借地=本人名義の建物登記/借家=引渡し)。契約の先後では決まらない——物権変動の§177レースと同じ発想。
横串3 🛡 「不利な特約は無効」の判定式
不利=法が借主に与えたものを特約で奪うこと(借主が嬉しくない≠不利)。生き残る特約は2系統だけ:
(A) 確認的=もともと無いものは奪えない(例:期間の定めがある借家の「中途解約禁止」=§618の留保特約がなければもともと解約できない/「債務不履行解除では買取請求できない」=横串1でもともと✖)
(B) 白リスト(任意規定)=造作買取§33・内縁の承継§36の2つだけ
それ以外の借主保護(更新・対抗・買取・猶予・§38⑦など=借地§9・§16/借家§30・§37)は強行規定=借主が同意しても外せない。
(A) 確認的=もともと無いものは奪えない(例:期間の定めがある借家の「中途解約禁止」=§618の留保特約がなければもともと解約できない/「債務不履行解除では買取請求できない」=横串1でもともと✖)
(B) 白リスト(任意規定)=造作買取§33・内縁の承継§36の2つだけ
それ以外の借主保護(更新・対抗・買取・猶予・§38⑦など=借地§9・§16/借家§30・§37)は強行規定=借主が同意しても外せない。
この3本は借地・借家・転貸・土台のどの世界でも効きます。各型の該当箇所には(→地図の🧵横串)タグが付いています。
③ 弁別ドリル ― 柱書だけで「どの型か」を当てる
問題文の最初の一文だけ読んで、借地/借家/転貸/民法のどれか即答する練習(=本番の第一動作)。
- 「建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約」
- 「甲建物を月20万円で賃貸し、Bは承諾を得てCに10万円で転貸」
- 「定期建物賃貸借契約を締結」
- 「平置きの駐車場用地として貸す」
- 「居住用の甲建物を所有する目的で乙土地を賃借」
- 「BがCから借りている土地上のB所有の建物について、AがBから賃借」
- 「甲建物を5年間賃借する(定期・一時使用を除く)」
- 「資材置場とする目的で土地を貸す」
- 「A所有の甲建物を、無償でBに貸す使用貸借契約」
▼ 答え合わせ(タップ)
1 → 🏗️借地(土地+建物所有)
2 → 🔁転貸(また貸し・3人)
3 → 🏠借家(建物・定期)
4 → 民法(駐車場=建物を建てない)
5 → 🏗️借地(建物所有目的で土地)
6 → ★複合(借地上の建物の借家=借地+借家)
7 → 🏠借家(建物・普通借家)
8 → 民法(資材置場=建物を建てない)
9 → 民法(タダ=使用貸借。借主死亡で終了 → 📜民法の基本の型)
④ 複合問題コーナー ― 2つの型が絡む問題はここでワンストップ
例1:借地上の建物の借家(平18-14)
設定:土地はC→B(借地)、建物はB→A(借家)。A=借地上の建物の借家人。
・建物を「借りる」のは借家であって借地の転貸ではない(借地の無断転貸にならない)。
・Bが建物買取請求(借地§13)→建物がCへ→Aは引渡しで対抗(借家§31)=借地と借家の合わせ技。
・§35(建物賃借人の土地明渡し猶予)は“存続期間満了”のときだけ。“債務不履行解除”では猶予なし(←ここが正解の地雷)。
例2:転貸+定期借家の§32(平25-11)
・無断転貸でも背信性に達しなければ解除不可/債務不履行解除→転貸借も自動終了→Cは即退去(転貸の型)。
・定期借家+賃料改定特約→§32減額請求できない(借家の型の§32カード)。
=転貸で3肢・借家で1肢。両方の道具を並べて解き切る。
💡複合問題は「どちらか1つの型」に飛ばず、ここで両方の道具を使うのがコツ(往復で道具を取りこぼさない)。
⑤ 見分けたら、その型の記事へ
🔁 回し方 ― 3周モデル
・1周目:型を読む → 道場を「📖解説」タブで歩く(手順を目でなぞる)
・2周目:道場を「🏋練習」タブだけで解く(Step順送りを自力で)。つまずいたら型に戻る
・3周目:各型の穴埋め(数字と決め手)だけを全部めくる → 間違えた所だけ道場へ
・迷子になったら、いつでもこの地図に戻って見分けからやり直す
※1問が複数の型にまたがったら、この地図に戻って見分け直してください。
読み終えたら | 賃貸借の順路 3 / 12