【契約不適合責任】過去問を『型』で解く判定フロー

⚖ 契約不適合を貫く1本 ―「約束どおり渡す義務」
契約不適合責任は規定の羅列に見えますが、全体はこの1本から導けます:売主は「契約で約束した種類・品質・数量」どおりの物を渡す義務を負う。約束が破られたら、まず約束どおりに直させ(追完)、直らないなら値引き(減額)か白紙(解除)で清算する。
まず直させる=いきなり「減額・解除」は不可。まずは追完請求(修理・代替品)の催告が必要(ステップアップの原則)。「修理不能」や売主が明確に拒絶したときは、催告なしで減額・解除へショートカットできる。
清算の中身は「誰のせいか」で仕分ける=追完・減額・解除は売主の帰責事由が不要(無過失でも請求できる)。損害賠償だけは売主に帰責事由が必要(§415)。また、不適合が軽微なら解除はできない(減額は可能)。
特約で責任を外すことはできる(民法は特約自由・業者売主の制限はPhase 3)。ただし嘘つきは守られない=売主が知りながら告げなかった事実は、どんな免責特約・期間制限があっても免責されない(§572・盾砕きジョーカー)。
「種類・品質」だけ1年通知=住んで初めて分かる欠陥は、時間が経つほど「元からの不適合だったか」の証明が難しくなる。だから買主は知った時から1年以内に売主へ通知する(§566)。数えて確かめられる数量・権利には通知期間の縛りがありません
⚠ この原理から導けない・逐語で覚える:数字(通知=知った時から1年/業者売主→非業者買主の担保特約は「引渡しの日から2年以上」のみ有効/消滅時効=知った時から5年・引渡しから10年)と競売の特則(種類・品質は追及不可/権利・数量は追及可能)→ 記事下部の🧠タップ穴埋めカードで固める。
🎯
ここは”勉強したのに本番で落とす”人が最も多い勝負どころ
契約不適合責任は2020年の大改正カテゴリ。知識があっても本番で「種類・品質か」「期間の起算点」「業者売主の特則」を一瞬迷えば差がつきます。だからこの記事は、第1部フローでこの論点を1つずつ当てはめて答えを出す道に整理しました。過去問でこのフローを何度も回せば、ここで確実に差をつけられます。
このアルゴの本体は第1部フロー(種類と期間→権利→特約)です。過去問で何度も回すと本番でも解けるようになります(得点への近道)。第2部【ダッシュボード】はフローを回した結論を点検・確認する一覧表。その引き方は第2部の直後に実演(🔎 3ステップで判定する手順)を付けました。
🧭 Step 0|現在地スキャン まずここだけ見る
肢を読んだら、最初に「この肢は 不適合の種類・期間/買主の権利/特約の有効性 のどれを聞いているか」だけを見る。それで入口(Phase)が1つに決まります。
種類・品質・数量・権利・1年・通知 Phase 1:不適合の種類と通知期間期間制限があるか
追完・代金減額・損害賠償・解除・帰責 Phase 2:買主の権利と行使要件何を請求できるか
免責特約・「担保責任を負わない」・宅建業者売主 Phase 3:特約の有効性宅建業法§40の特則
代金支払拒絶(§576)・損賠と解除の併存(§545④)・媒介業者への請求 ⚡追加の即答行・ダッシュボード3Phaseの外側=本文下部の早見表で確認
🤔 迷ったら:まず「種類と期間」(Phase 1)→「買主が何を請求できるか」(Phase 2)→ 特約があれば Phase 3 へ。

🔎 ダッシュボード(武器庫)の「引き方」:3ステップで判定する手順
早見表は”引き方”を知らないと使えません。実際の本試験で、キーワード→該当行→即答 の動作を実演します。
手順は3ステップだけ:① 問題文からキーワードを拾う → ② 上の表で該当行を引く → ③ 結論(決め手ワード)をそのまま当てる
実演A(令和7年度 問10 肢1)
肢:「Bは、甲土地の引渡しの日から11年が経過した時点で土壌汚染を発見し、発見した時点から1年以内にAに通知した。Aが重大な過失なく知らなかった場合、業者か否かにかかわらず、Bは損害賠償を請求することはできない。」
  1. キーワードを拾う:「引渡しから11年が経過」
  2. 表を引く:→ 第3行【「引渡しから10年(11年)が経過」→ 絶対的タイムリミット🔋・一切請求不可】(1年通知を守っても消滅時効が完成していれば請求不可)
  3. 即答:表どおり11年経過で請求不可 → この肢は○(正しい)。誤り候補から除外(この問は”誤りはどれか”で正解=肢3)── 表を引くだけで判定できる
実演B(令和7年度 問10 肢3=この問の正解肢)
肢:「1年以内に通知しなければ責任を負わない旨の特約があり、Aは土壌汚染を売買契約締結時点で知っていて告げていなかった。Bが3年経過後に発見して通知した場合、Aが業者か否かによって、Bが損害賠償を請求できるか否かの結論が異なる。」
  1. キーワードを拾う:「(売主が)知っていて告げていなかった」(最強のジョーカー)
  2. 表を引く:→ 第1行【「知りながら告げなかった」→ 悪意の絶対責任(盾砕き🏳️)・プロ/アマ問わず保護されない】
  3. 即答:悪意の売主は業者でも非業者でも盾が砕け、どちらでもBは請求できる=結論は異ならない。「業者か否かで異なる」と言う肢は×(誤り)=この問の正解 ── 盾砕きを知っていれば即答
💡 コツ:問題文の特徴語(知りながら告げず/引渡しから10年・11年/一切負わない特約/媒介業者/競売/不可抗力で滅失…)に印をつけ、その語を表で探すだけ。表と同じ結論なら○、表となら×。迷ったら第1部フローで”なぜ”を確認すれば、引き方が腑に落ちます。
🧠 結論を思い出す(タップで答え)
種類・品質の不適合=「不適合を知った時」から 以内に売主へ通知しないと権利消滅(起算点を「引渡しの日」「工事終了日」とする肢は×)
数量・権利の不適合=知った時から1年の (消滅時効にかかるまで行使可能)
1年通知の例外=売主が引渡し時に なら、1年を過ぎても追及OK(消滅時効まで)
消滅時効の上限=知った時から ・引渡しから (1年通知が間に合っても時効完成なら一切請求不可)
売主が宅建業者・買主が非業者の担保特約=民法より不利な特約は原則無効。唯一の例外=通知期間を引渡しの日から とする特約だけ有効(業者間取引なら制限なし)
業者売主の特約が無効となったら=民法の原則「知った時から 」に強制リセット
競売で取得=「種類・品質」の不適合なら一切 /「権利・数量」なら 
知りながら告げなかった売主=どんな免責特約・期間制限も砕け、責任を (業者・非業者を問わず)(※消滅時効 5年/10年 は別枠で残る)
0
入口Step
問題文スキャン(キーワード仕分け)

アルゴリズムを起動する前に、問題文のキーワードから「どのPhaseに飛ぶか」を見極めます。スキャン → 仕分け → Phase起動の3ステップで判定。

Phase 1 キーワード:「種類・品質」「数量・面積不足」「1年通知」「知った時から1年」「工事終了日」「請負・増築」
Phase 2 キーワード:「追完請求」「代金減額」「契約解除」「損害賠償」「修理可能か否かにかかわらず」「双方無過失」「軽微」「ステップアップ」
Phase 3 キーワード:「責任を一切負わない旨の特約」「宅建業者」「業法§40」「2年以上」「重大な過失なく知らない」「§572」
実戦ドリル
過去問ワークアウト5問(Step 0→Phase)
ワークアウト1:R2-12問7肢1

面積不足の場合、知った時から2年通知が必要。〇か×か?

Step 0:「面積」「数量」キーワード → Phase 1(種類・期間)
判定:§566は種類・品質のみ。数量に1年通知ルールなし → ×(誤り)
ワークアウト2:R5問3肢2

請負増築の不適合、工事終了日から1年通知必要。〇か×か?

Step 0:「工事終了日」「請負」 → Phase 1B(起算点)
判定:§637①は「知った時から1年」が現行。工事終了日は旧法 → ×(誤り)
ワークアウト3:R3問7肢3

故障した自動車、修理可能か否かにかかわらず追完請求なく解除可。〇か×か?

Step 0:「追完請求なく解除」 → Phase 2A(順序)
判定:ステップアップ原則違反。修理可能なら直接解除NG → ×(誤り)
ワークアウト4:R6問10

双方無過失なら、買主が行使できない権利は損害賠償のみ。〇か×か?

Step 0:「双方無過失」「行使できない」 → Phase 2B(帰責事由)
判定:損賠だけ§415で帰責事由必要、追完・減額・解除は無過失OK → ○(正しい)
ワークアウト5:R7問10肢4

特約「一切負わない」・売主重過失なく知らず・業者か否かで結論が異なる。〇か×か?

Step 0:「責任を一切負わない特約」「業者か否か」 → Phase 3(特約・業法)
判定:業者→業法§40で特約無効・損賠請求可/非業者→§572で特約有効・請求不可 → ○(正しい)
この型のカバー範囲
カバレッジ|取る核と、捨ててよい所

契約不適合責任は合格者がしっかり取ってくる「勝負どころ」。だからこの型は、合格に効く主力=「種類・品質」の不適合(追完・減額・解除・損賠・期間・特約)を高精度で取り切ることに全振りします。下の「型に入れない死角」に当たる肢は、合格者でも落とすことが多い〈捨て・対象外〉=深入り無用。型がどこまでを担うかを明確にしています。よく出る核はこの型で取り切ります。

Phase 1(種類・期間)
種類/数量の見分け・1年通知・起算点(主力の入口)
Phase 2(順序・帰責)
ステップアップ・帰責事由マトリクス(種類・品質の主力)
Phase 3(特約・業法)
§572・宅建業法§40(特約の有効性)
⚡ 追加の即答3行(R8評価で型に昇格・1行ずつで取れる):
・「第三者が権利を主張し、買主が権利を取得できない/失うおそれがある」 ➡ 買主は代金の支払を拒絶できる(§576。売主が相当の担保を供したときを除く)〔R3問7肢4〕
・「損害賠償の請求は、解除ができないときに限りできる」 ➡ ×。解除と損害賠償は併存できる(§545④・解除しても損賠請求可)〔R1問3肢3〕
・「契約不適合の抵当権等の登記がある」 ➡ 買主は抵当権消滅請求の手続が終わるまで代金の支払を拒絶できる(§577)〔H21問10肢4〕
型に入れない「捨て・対象外」の死角:この型は「種類・品質」の不適合を主力に設計しています。次の肢は合格者でも落とすことが多い細目=深入りせず△で保留し、他分野の型へ回します。
「権利」の不適合の損害賠償(他人物・抵当権付き等で買主が損賠を求める可否)─ Phase 2の帰責マトリクスは種類・品質を前提にしており、権利不適合の損賠処理はこの型では確定できません(※代金支払拒絶§576・§577と、損賠と解除の併存§545④は、上の「⚡追加の即答3行」で取れます)。
買戻し特約・請負の所有権帰属など売買/請負本体寄りの論点。
・請負特則(§636の材料・指図責任)はフロー2Bの判定軸に収録済み=型で取れます。売買と請負の境界・特殊な担保責任は、余力があれば番外編で拾える(任意)。
古い過去問の「瑕疵担保責任」フレーズは現行の「契約不適合責任」で読み替えて解きます(2020年大改正カテゴリ)。
📖 用語ミニ辞典 ― 言葉に詰まったらここ
フローで知らない言葉が出たら、ここで30秒だけ確認 → ▲でフローへ戻れます。
契約不適合けいやくふてきごう
引き渡された目的物(土地・建物など)が、契約で約束した種類・品質・数量に合っていないこと。2020年の改正で、昔の「瑕疵(かし)担保責任」がこの名前に変わりました。
例:「雨漏りしない」はずの家が雨漏りした/契約より土地が狭かった。
この型では まず第1部フローのPhase 1で「何が契約と違うのか」を仕分けるところから始めます。
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種類・品質・数量しゅるい・ひんしつ・すうりょう
不適合のタイプ分け。「種類・品質」=モノの中身が約束と違う/「数量・権利」=量が足りない・権利の一部が他人のもの。
例:種類・品質=シロアリ被害。数量=100㎡のはずが90㎡。
この型では このタイプ分けが分かれ目。「種類・品質」だけ1年以内の通知が必要で、「数量・権利」には通知期間の縛りがありません(§566)。
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通知期間つうちきかん
不適合を知った時から1年以内に売主へ「不適合がある」と通知しないと、権利を失うルール(§566)。
例:引渡し後にシロアリを見つけたら、見つけた時から1年以内に売主へ伝える。
この型では 「種類・品質」の不適合だけにかかる縛り。起算点は「引渡し時」ではなく「知った時」です。
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追完請求ついかんせいきゅう
「ちゃんと直して・取り替えて・足りない分をよこして」と、契約どおりの状態にするよう求めること(§562)。
例:雨漏りの修補、不良品の代替品の引渡し。
この型では 買主が使える4つの武器の一番手。原則これを先に催告してから、減額・解除に進みます(ステップアップの原則)。
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代金減額請求だいきんげんがくせいきゅう
不適合の分だけ「代金を安くして」と求めること(§563)。
例:90㎡しかなかったので、不足分に応じて代金を下げる。
この型では 原則は追完を催告した後に使えます。ただし修理不能・売主が明確に拒絶した場合は、催告なしで直接使えます(ショートカット)。
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帰責事由きせきじゆう
誰のせいか」という責任の原因。落ち度・過失のことです。
例:不適合が買主のせいか、売主のせいか、どちらのせいでもないか。
この型では 追完・減額・解除は売主の帰責事由が不要(無過失でも請求できる)。損害賠償だけは売主に帰責事由が必要です(§415)。
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担保責任たんぽせきにん
引き渡したモノに不適合があったとき、売主が負う責任。=契約不適合責任のこと。
例:売った土地が契約と違っていたら、売主が追完・減額などに応じる責任を負う。
この型では 第3部のPhase 3で「この責任を負わない/軽くする特約が有効か」を判定します。原則は特約OKでも、売主が知りながら告げなかった事実は免責されません(§572)。
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読み終えたら | 契約不適合の順路 3 / 10
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