【契約不適合】Phase 2B:帰責事由マトリクス ─ 損害賠償だけが特別扱い

契約不適合の順路 7 / 10 Phase2B 帰責事由マトリクス

「ステップアップ」をマスターした次は、誰のせいで不適合が起きたかで権利行使に制限がかかるという、もう一段深い関門です。同じ4つの武器でも、売主のせい・買主のせい・双方無過失でゲートが開いたり閉じたりする——これが「帰責事由マトリクス」。ここを外すとベテラン受験生でもバタバタ倒れます。

目次

本日のターゲット問題(令和6年 問10)

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由(双方無過失)によるものであるとき、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいのは「損害賠償請求権」のみである。

🗺 登場人物の関係
契約不適合が「双方無過失」 → 買主Bが行使できる権利は?
→ 双方無過失だと「損害賠償」だけ不可(§415)。追完・代金減額・解除は行使できる
【Phase 2B】帰責事由マトリクス

                追完  減額  解除  損賠
   売主のせい   ◯    ◯    ◯    ◯
   双方無過失   ◯    ◯    ◯    ×  ★本問
   買主のせい   ×    ×    ×    ×

  ※損害賠償だけは §415 で「責めに帰すべき事由」が必要
   追完・減額・解除は無過失でも可(§562・§563・§564→§541)
   買主のせいなら全部不可(自業自得)

  本問:双方無過失 → 損賠だけ封じられる → 正解選択肢は(4)損害賠償のみ

答え:○(正しい)

🎯 この問題の核心

損害賠償だけは§415の帰責事由(売主のせい)が必要追完・代金減額・契約解除は無過失でも行使可。双方無過失なら買主が行使できないのは損害賠償だけが正解。

🧭 判定軸=武器4つのうち「損害賠償だけ」が別枠。答えを見る前に、まず自分で○×を出そう
⚖ 追完・代金減額・契約解除は「契約と違う」という客観的事実だけで動く(無過失でもON)。損害賠償だけは§415で「誰のせい」=帰責事由が要る。だから双方無過失で封じられるのは損賠ひとつだけ。
🙋‍♂️
生徒:まず本問(令和6年 問10)。品質の不適合で双方無過失。肢は「買主が行使できない権利は損害賠償請求権のみ」。でも双方無過失=誰も悪くないんだから、買主はむしろ何も請求できないはず。「損賠だけ」なんて狭すぎる ── だから×ですよね?
👨‍🏫
講師:引っかかったね、正解は。ここが令和6年 問10の肝だ。追完・代金減額・契約解除の3つは「契約と違う」という客観的事実だけで動くから、誰のせいでなくても行使できる。特別扱いなのは損害賠償だけ。双方無過失で封じられるのは損賠ひとつ ── だから「行使できないのは損害賠償のみ」で正しい。
🙋‍♂️
生徒:えっ、雨漏りの家をつかまされて、売主に落ち度がなくても、直して・返す・安くしては言えるんですか?
👨‍🏫
講師:言える。「契約と違う物をもらった」という事実は動かないからね。追完(§562)・代金減額(§563)・解除(§564→§541)は無過失でもOK。ところが損害賠償だけは§415で『その不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない』── つまり売主のせいが前提。お金の穴埋めだけは「誰のせい」が要るんだ。
👨‍🏫
講師:ではもう1問。「売主に過失がなくても、契約に適合しない以上、損害賠償は請求できる」── ○か×か?
🙋‍♂️
生徒:さっき『契約と違う事実で動く』と聞いたから… 損害賠償もで請求できる、ですか?
👨‍🏫
講師:そこが最後の罠、答えは×損害賠償だけは客観的事実では動かない。§415で『責めに帰すべき事由』=売主の過失が要る。無過失なら損賠は取れない ── 追完・減額・解除とは扱いが違う、ここが「損賠だけ特別ルール」だ。
🙋‍♂️
生徒:では逆に、買主が自分でうっかり壊したときは? さすがに追完くらいは頼めそうですが…
👨‍🏫
講師:それも×。買主のせいなら追完も減額も解除も損賠も全部不可(§562②・§563③など)。「自分でやらかしたなら自分でかぶれ」── これが自業自得ゲート。売主のせいなら全部OK、双方無過失なら損賠だけ×、買主のせいなら全部× ── この3段がPhase 2Bのマトリクスだ。
🙋‍♂️
生徒:整理できました。客観的事実で動く3つ(追完・減額・解除)=無過失でもONお金の穴埋め=損害賠償だけは“誰のせい”(§415)が要る。だから双方無過失で封じられるのは損賠ひとつだけ ── で合ってますか?
👨‍🏫
講師:完璧だ。それがPhase 2Bの型。「損賠だけ帰責事由が要る」「買主のせいなら全部不可」の2本さえ握れば、肢の正誤を切り分けられる。
💡 深掘り:
⚖ Phase 2Bの型=「客観的事実で動く3つ(追完・代金減額・契約解除)は無過失でもON」「お金の穴埋め=損害賠償だけは§415の帰責事由が要る」。だから双方無過失で封じられるのは損害賠償ひとつだけ。買主のせいなら4つ全部OFF(自業自得ゲート)、売主のせいなら4つ全部ON。この3段マトリクスを脳内に置けば、肢の正誤を切り分けられる。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
双方無過失なら、買主は追完も代金減額も解除も一切請求できない(令和6年 問10の裏返し)×:客観的事実で動く追完・減額・解除は無過失でもOK。封じられるのは損害賠償だけ。
売主に過失がなくても、契約に適合しない以上、損害賠償を請求できる(§415)×:損害賠償だけは§415で「責めに帰すべき事由」が必要。無過失なら取れない。
【逆罠】双方無過失でも、追完・代金減額・契約解除の3つは請求できる(§562・§563・§564→§541):この3つは「契約と違う」という客観的事実だけで動くので無過失でも行使可。「誰も悪くない=何もできない」という直感と逆。
買主のせいで不適合が生じたときでも、追完だけは請求できる(§562②)×:§562②で追完も封じられる。買主のせいなら4つ全部不可(自業自得ゲート)。

§415①ただし書(債務不履行による損害賠償):その債務の不履行が……債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(=損害賠償できない)。

§562②(追完請求権・買主に帰責事由):前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

§563③(代金減額請求権・買主に帰責事由):第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

§564:前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。

【ポイント】損賠は§415で帰責事由が必要。追完・減額・解除は無過失でも可(買主のせいの場合は全部封じる)。

契約不適合 / Phase 2B:帰責事由マトリクス
双方無過失なら「損害賠償」だけが封じられる
令和6年 問10(4肢から選ぶ問題・正解は損害賠償請求権のみ)
📋 問題文

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、買主が行使することができない権利は損害賠償請求権のみである。

🔑 条件の抽出
不適合品質の不適合・双方無過失
記述「行使できない権利は損害賠償のみ」と主張
Phase 2B:帰責事由マトリクス
双方無過失なら、買主は損害賠償だけ不可(§415)。追完請求・代金減額・契約解除は無過失でも可能(§562・§563・§564→§541・§542)。買主のせいなら全部不可(自業自得)/売主のせいなら全部OK(損賠もOK)。
結論

○(正しい)

損害賠償だけは§415の帰責事由が必要。追完・減額・解除は無過失でも可能。封じられるのは損害賠償だけが正解。

📋 問題文

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、買主が行使することができない権利は損害賠償請求権のみである。

Phase 2B:帰責事由マトリクス

双方無過失のとき、買主が行使できない権利は?

最終判定

「双方無過失なら、行使できない権利は損害賠償請求権のみ」は正しい?

結論

○(正しい)

損害賠償だけは§415の帰責事由が必要。追完・減額・解除は無過失でも可能。封じられるのは損害賠償だけが正解。

暗記ポイント

🎯 試験本番ではこう即答する:4つの武器のうち損害賠償だけが§415で帰責事由必要。追完・減額・解除は無過失でも可。双方無過失なら「損賠だけ封じられる」。買主のせいなら全部不可。

  • 売主のせい:4つ全部OK
  • 双方無過失:損害賠償だけ不可(追完・減額・解除はOK)
  • 買主のせい:4つ全部不可(自業自得)

⚠️ よくある引っかけ

  • 「双方無過失なら買主は何もできない」→ ×。追完・減額・解除はOK
  • 「売主の過失がなくても損賠請求できる」→ ×。§415で帰責事由必要
  • 「買主のせいでも追完だけは請求できる」→ ×。§562②で封じられる

【まとめ】📌 この記事の核心

📌 この記事の核心
⚖ Phase 2Bは「帰責事由マトリクス」。損害賠償だけ§415で帰責事由必要。双方無過失なら損賠だけ不可。買主のせいなら全部不可(自業自得)。本問は双方無過失で損賠のみ不可だから「行使できない権利は損賠のみ」が正解。

→ 次の記事:「Phase 3:特約と宅建業法」


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