賃貸借の順路 12 / 12 総仕上げ(個数問題)
🗺 この記事は賃貸借の総合ドリル(最終回)です。まずスタート地図でどの型かを見分け、各型→道場で解き切りましょう。
総合演習の大トリは、本試験で受験生を最も絶望させる「ラスボス」=個数問題(正しいものはいくつあるか)。1つでも曖昧だと正解できず、「アとイは分かるから消去法で…」という逃げ道が一切ありません。でも、ここまで鍛えたアルゴリズム(地図)とダッシュボード(武器)があれば、これは「単答マルバツが4回連続で来るだけ」のボーナスステージ。1肢ごとに脳をリセットし、4ステップ直列処理を無感情に4回繰り返します。
目次
本日のターゲット問題(最終回・個数問題)(令和3年度12月 問12 アレンジ)
賃貸人Aと賃借人Bとの間で締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものは【いくつあるか】。
ア 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。
イ 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。
ウ 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。
エ BがAの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。
1 一つ 2 二つ 3 三つ 4 四つ
【最終回・個数問題】まず型を見分ける:建物→🏠借家がベース(ウだけ🔁転貸が顔を出す)
1肢ごとに脳をリセットして4ステップ直列処理
ア 法定更新の期間 → 更新後は「期間の定めなし」(2年ではない)→ ×
イ 期間定めなし・大家解約+正当事由 → 申入れから6月で終了 → 〇
ウ 転貸×親亀の死因=債務不履行 → 子亀は一発アウト(6月猶予なし)→ ×
エ 造作買取請求しない特約 → 任意規定で有効(無効ではない)→ ×
正しいのは イ の1つ → 正解【1】
答え:正しいものはイの一つ → 正解【1】
🎯 この問題の核心
個数問題は「単答マルバツ×4回」。1肢ごとに脳をリセットして処理する。ア=法定更新後は期間の定めなし(2年ではない・×)、イ=期間定めなし+正当事由で6月後に終了(〇)、ウ=転貸で親亀が債務不履行=子亀は6月猶予なく一発アウト(×)、エ=造作買取排除特約は有効(無効ではない・×)。正しいのはイの1つ。各肢の詳細は下へ。
🧠 なぜそうなる?(個数問題を攻略するリーガルマインド)
⚖ 個数問題が怖いのは「全部の肢を確実に判定しないと当たらない」から。逆に言えば1肢ずつ独立して処理し、終わったら脳をリセットするだけで対応できます。前の肢の数字や結論を引きずらないことが最大のコツです。
🙋♂️生徒:「個数問題、全部分からないと当たらないから一番苦手です……。」
👨🏫講師:「相手が個数問題でもやることは同じだ。前提文を「どの型か」へ。対象は『建物』だから【🏠借家の型】がベースキャンプ。ここから1肢読むごとに『土俵の確定→ルール・武器の適用→判定』をやり、終わったら完全に脳をリセットする。」
👨🏫講師:「そうだ。たとえば肢イで『6月』という数字を読むと、試験委員は肢ウでも同じ『6月』を出して『転貸でも6月猶予がある』と錯覚させようとする。だが肢ウは親亀の死因が債務不履行=子亀一発アウト(猶予なし)。前の肢の残像を引きずらず、毎回ゼロから死因をスキャンすれば騙されない。これが最終形態のサイボーグ処理だ。」
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 暗記メモ:個数問題は「単答マルバツ×4回」。1肢ごとにStep1から処理し、終わったら脳をリセット。前の肢の数字(6月など)を引きずらない。この問題で問われた借家の4頻出ルールを総ざらいで固める。
各肢の徹底解剖(4ステップ連続斬り)
👨🏫講師:「泣いても笑ってもこれが最後だ。1肢ごとにリセットしながら、ラスボスを討伐するぞ!」
🎯 肢アの核心
借家が法定更新(自動延長)されると、前と同じ条件で更新されるが、「期間だけは定めのないもの」になる(§26①)。「更新後の期間は2年となる」とする本肢は誤り(×)。借地の法定更新(最初20年・以後10年)と混同させる罠でもある。借家は更新後=期間の定めなし。
🎯 肢イの核心(正しい肢)
期間の定めのない借家で大家(A)から解約を申し入れるには正当事由が必要(§28)、さらに申入れから6ヶ月の猶予を経て終了する(§27①)。記述どおりで正しい(〇)。なお借主からの解約なら正当事由は不要で3ヶ月(民法617)――主体で要件が変わる点が他肢への伏線。
🎯 肢ウの核心
転貸借で親亀Bの死因は債務不履行。自業自得で自滅した場合、子亀(転借人)は連帯責任で一発アウト=即退去(猶予なし・最判平9.2.25)。「通知から6月を経過して終了」と猶予を与える本肢は誤り(×)。肢イの「6月」を読ませて脳にバグを起こさせる残像トラップ。死因をゼロからスキャンすれば見抜ける。
🎯 肢エの核心
造作買取請求権(§33)を排除する「行使できない」特約は任意規定なので有効(§37は造作買取を強行規定にしていない)。大家が気兼ねなく造作の設置に同意できるようにするため。「特約は無効である」と言い切る本肢は誤り(×)。「借主に不利=無効」という思い込みが罠。
🏋 過去問道場 ― 4手で解く
📖 解説で型を確認 → 🏋 練習で1段ずつ。黄色=判断の手がかり。
アルゴリズムによる処理 | 🏠借家・総合演習④-ア
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(借家の法定更新は期間の定めなし)/黄色=判断の手がかり
🏠借家(建物を借りる)
本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物賃貸借契約 → 🏠借家(建物を借りる)
⚠ ひっかけ:個数問題なので前の肢の結論を引きずりやすいが、各肢を独立にStep1から処理する。「建物賃貸借」なので型は🏠借家で確定。借地の法定更新(最初20年・以後10年と法定の期間になる)と混同しないこと。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される→ 法定更新後の「期間」がどうなるかを問う=普通借家の更新ルールの問題=普通か定期か(更新・期間)レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:借家の法定更新(§26①)では、更新後は『期間の定めのない契約』になる。元の期間(2年)が引き継がれるのではない。
対比:借地の法定更新は法定の期間(最初20年・以後10年)になるが、借家は逆で『期間の定めなし』。
当てはめ:本肢は『更新後の契約期間は2年となる』とするが、実際は期間の定めのない契約になる。
本肢は『2年となる』とした点が条文に反する=×。
✅ Step4 結論
× 誤り
借家の法定更新(§26①)では更新後は『期間の定めのない契約』になり、元の2年は引き継がれない。『更新後の期間は2年』とする本肢は誤り(×)。借地の法定更新(法定の期間になる)との混同を狙う罠。
🧭 Step1 どの型か
柱書のどこを見れば『🏠借家』と分かる?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『更新される場合の更新後の期間』はどのレーンの論点?
⚖ Step3 判定する
借家の法定更新後、特段の合意がなければ期間はどうなる?
✅ 結論
× 誤り
借家の法定更新(§26①)では更新後は『期間の定めのない契約』になり、元の2年は引き継がれない。『更新後の期間は2年』とする本肢は誤り(×)。借地の法定更新(法定の期間になる)との混同を狙う罠。
アルゴリズムによる処理 | 🏠借家・総合演習④-イ
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(期間の定めなし借家は6月で終了)/黄色=判断の手がかり
🏠借家(建物を借りる)
本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物賃貸借契約 → 🏠借家(建物を借りる)
⚠ ひっかけ:肢の数字『6月』だけを見て肢ウの『6月』と機械的に同じ扱いにしないこと。本肢は『大家からの解約申入れ』で、主体(誰から)と要件をゼロから確認する。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の正当事由を備えてAが解約の申入れをした→ 期間の定めのない借家を貸主から終わらせる手続(解約申入れ+正当事由+猶予期間)を問う=終了清算(解約申入れ)レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:期間の定めのない借家を貸主から終了させるには、解約申入れ+正当事由(§28)が必要。
根拠:正当事由ある解約申入れの日から『6月』を経過すると契約は終了する(§27①)。
対比:借主からの解約なら正当事由は不要で3ヶ月(民法617)。主体で要件が変わる。
本肢は正当事由+申入れから6月経過で終了とする=記述どおり=○。
✅ Step4 結論
○ 正しい
期間の定めのない借家を貸主から終了させるには解約申入れ+正当事由(§28)が必要で、申入れの日から6月経過で終了する(§27①)。記述どおりで正しい(○)。
🧭 Step1 どの型か
柱書のどこを見れば『🏠借家』と分かる?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『正当事由+解約申入れ』はどのレーンの論点?
⚖ Step3 判定する
期間の定めなし借家で大家(A)から終了させる要件と猶予は?
✅ 結論
○ 正しい
期間の定めのない借家を貸主から終了させるには解約申入れ+正当事由(§28)が必要で、申入れの日から6月経過で終了する(§27①)。記述どおりで正しい(○)。
アルゴリズムによる処理 | 🏠借家・総合演習④-ウ
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(債務不履行解除に6月猶予なし)/黄色=判断の手がかり
🏠借家(建物を借りる)
建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物賃貸借契約 → 🏠借家(建物を借りる)
⚠ ひっかけ:肢の途中で『転貸借』が出てくるが、本問のベースは借家(建物賃貸借)。終了清算の中の『また貸しの終わり方』として処理する。肢イの『6月』を読まされた直後なので、通知+6月の残像で『転貸でも6月猶予がある』と錯覚させる罠。死因(終わり方)をゼロからスキャンする。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢のB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了する→ 原賃貸借が終了したとき転借人に通知+6月の猶予があるか(また貸しの終了の帰結)を問う=終了清算(転貸の終了通知)レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:通知+6月の猶予は、原賃貸借が解約申入れ・期間満了で終わるときのルール(§34)。賃貸人は転借人へ終了通知をしないと終了を対抗できず、通知から6ヶ月後に転貸借も終了する。
根拠:ただし債務不履行解除(自業自得)なら通知不要で転借人も直ちに明渡し=即終了・6月の猶予はない(最判平9.2.25)。
当てはめ:本問の死因は『Bの債務不履行による解除』=即終了で猶予なし。
本肢は『通知から6月経過で終了』と猶予を付けた点が誤り=×。
✅ Step4 結論
× 誤り
通知+6月の猶予(§34)は期間満了・解約申入れによる終了の場合のルール。本問は『Bの債務不履行による解除』なので転貸借も直ちに終了し6月の猶予はない。『6月経過で終了』とする本肢は誤り(×)。肢イの『6月』を引きずらせる残像トラップ。
🧭 Step1 どの型か
柱書のどこを見れば『🏠借家』ベースと分かる?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『転貸借の終了・転借人への通知』はどのレーンの論点?
⚖ Step3 判定する
親亀(A-B)が債務不履行解除で終わったとき、転借人(子亀)に6月の猶予はある?
✅ 結論
× 誤り
通知+6月の猶予(§34)は期間満了・解約申入れによる終了の場合のルール。本問は『Bの債務不履行による解除』なので転貸借も直ちに終了し6月の猶予はない。『6月経過で終了』とする本肢は誤り(×)。肢イの『6月』を引きずらせる残像トラップ。
アルゴリズムによる処理 | 🏠借家・総合演習④-エ
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(造作排除特約は有効(§33任意規定))/黄色=判断の手がかり
🏠借家(建物を借りる)
BがAの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物賃貸借契約 → 🏠借家(建物を借りる)
⚠ ひっかけ:『借主に不利=無効』という思い込みで反射的に○にしないこと。造作買取請求権(§33)は任意規定で、排除特約は有効。建物買取請求権(借地§13・強行規定)との混同に注意。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の造作買取請求権を行使することはできない、という特約→ 終了時の造作買取請求権(§33)を排除する特約の効力を問う=終了清算(造作§33)レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:造作買取請求(§33)は買い取らない特約も有効(任意規定のオマケ・§37は造作買取を強行規定にしていない)。
対比:建物買取請求権(借地§13)は強行規定で排除特約は無効。造作とは別もの。
当てはめ:本肢は造作買取を排除する特約を『無効』とするが、実際は任意規定なので有効。
本肢は『特約は無効』とした点が誤り=×。
✅ Step4 結論
× 誤り
造作買取請求権(§33)は任意規定で、排除する特約は有効。『特約は無効である』とする本肢は誤り(×)。建物買取請求権(借地§13・強行規定)との混同が罠。
🧭 Step1 どの型か
柱書のどこを見れば『🏠借家』と分かる?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『造作買取請求権を排除する特約』はどのレーンの論点?
⚖ Step3 判定する
造作買取請求権(§33)を排除する特約の効力は?
✅ 結論
× 誤り
造作買取請求権(§33)は任意規定で、排除する特約は有効。『特約は無効である』とする本肢は誤り(×)。建物買取請求権(借地§13・強行規定)との混同が罠。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 個数問題は「単答マルバツ×4回」。1肢ごとにStep1から処理し、終わったら脳をリセットして前の肢の数字を引きずらない。本問の答えはイの1つ。借家の頻出4ルール=法定更新後は期間の定めなし/期間定めなしの大家解約は正当事由+6月/転貸で親亀が債務不履行なら子亀は猶予なく即退去/造作買取排除特約は有効。どんな長文も、Step1からたどれば必ず知っているルールにたどり着く。
🎊 これにて賃貸借・借地借家法シリーズ(全26回)は完結です。お疲れさまでした!迷ったらいつでも 賃貸借スタート地図 に戻り、スタート地図をたどってください。
つぎの順路へ
賃貸借・借地借家法はここまでです。おつかれさまでした。
つづけて読むなら相続の順路へ。相続人の確定・法定相続分・遺言と遺留分を順に押さえます。
相続の順路へ →