最強の盾「遺留分」にも寿命(時限爆弾)があります。そして近年の目玉「配偶者居住権」は細部に罠だらけ。今回は遺留分の2つのタイマーと、配偶者居住権の4つのディテール(相続不可・賃貸に承諾・必要費は配偶者・対抗は登記)を一気に攻略。これで相続コンプリートです。
本日のターゲット問題(平成9年 問10 肢3)
相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。
【遺留分の寿命(2つのタイマー)§1048】
・ショート:知った時から 1年
・ロング :相続開始から 10年
→ どちらか早い方が来た瞬間に消滅
【配偶者居住権の4ディテール】
① 一身専属 → 配偶者の死亡で消滅・相続されない(§1036)
② 第三者への賃貸 → 所有者の承諾が必要(§1032③)
③ 通常の必要費 → 配偶者(居住者)が負担(§1034)
④ 対抗要件 → 登記(§1031)
答え: ◯(正)
遺留分侵害額請求は「知ってから1年」「開始から10年」の早い方で消滅(§1048)。9年6ヶ月で知った→開始から10年まで残り6ヶ月、その間なら請求できる。
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)第1048条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
第1031条(対抗要件)配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗できない。/第1032条③ 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用・収益をさせることができない。/第1034条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。/第1036条(§597③準用) 配偶者居住権は、配偶者の死亡によって消滅する。
相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。(正しいか?)
○(正しい)
§1048。遺留分侵害額請求は「知ってから1年」「開始から10年」のどちらか早い方で消滅。9年6ヶ月で知った場合、開始から10年まで残り6ヶ月。その間なら請求できる。記述どおり。
相続が開始して9年6箇月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6箇月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。(正しいか?)
9年6ヶ月後に知った遺留分権利者は、いつまで請求できる?
「6ヶ月以内であれば減殺請求できる」は正しい?
○(正しい)
§1048。遺留分侵害額請求は「知ってから1年」「開始から10年」のどちらか早い方で消滅。9年6ヶ月で知った場合、開始から10年まで残り6ヶ月。その間なら請求できる。記述どおり。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 概念マップ:遺留分には2つのタイマー(時限爆弾)。配偶者居住権は「住む権利」ゆえの4つの縛り。
- 遺留分侵害額請求=知ってから1年/開始から10年、早い方で消滅(§1048)
- 配偶者居住権①一身専属=相続されない(配偶者の死亡で消滅)
- 配偶者居住権②第三者への賃貸は所有者の承諾が必要
- 配偶者居住権③通常の必要費は配偶者(居住者)負担
- 配偶者居住権④対抗要件は登記(引渡しではない)
⚠️ よくある引っかけ
- 「配偶者居住権を相続人が承継する」→ ✕(一身専属)
- 「承諾なく第三者に賃貸できる」→ ✕/「必要費は所有者負担」→ ✕/「登記なしで対抗できる」→ ✕
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
配偶者居住権の4大ディテールを1問ずつ潰します。すべて「✕」になる典型トラップ。判定軸を反射的に引き出しましょう。
【比較対象①:令和3年 問4 肢3】配偶者居住権の存続期間中にB(配偶者)が死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。
答え: ×(誤)
配偶者居住権は一身専属。配偶者の死亡で消滅し、相続人に承継されない(§1036)。
配偶者居住権の存続期間中にB(配偶者)が死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。(正しいか?)
×(誤り)
配偶者居住権は配偶者個人のための一身専属権。配偶者の死亡で消滅し、相続人に承継されない(§1036・§597③準用)。「相続する」は誤り。
配偶者居住権の存続期間中にB(配偶者)が死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。(正しいか?)
配偶者Bの死亡で、相続人Cは配偶者居住権を相続する?
「相続人Cが配偶者居住権を相続する」は正しい?
×(誤り)
配偶者居住権は配偶者個人のための一身専属権。配偶者の死亡で消滅し、相続人に承継されない(§1036・§597③準用)。「相続する」は誤り。
【比較対象②:令和3年 問4 肢2】B(配偶者)は、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。
答え: ×(誤)
第三者への賃貸(使用収益)には建物所有者の承諾が必要(§1032③)。
B(配偶者)は、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。(正しいか?)
×(誤り)
§1032③。配偶者は建物所有者の承諾を得なければ第三者に使用・収益させることができない。「承諾なく賃貸できる」は誤り。
B(配偶者)は、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。(正しいか?)
配偶者は所有者の承諾なく第三者に賃貸できる?
「所有者の承諾を得ることなく第三者に賃貸できる」は正しい?
×(誤り)
§1032③。配偶者は建物所有者の承諾を得なければ第三者に使用・収益させることができない。「承諾なく賃貸できる」は誤り。
【比較対象③:令和5年 問7 肢4】甲建物の配偶者居住権をB、所有権をCが取得した。C(建物の所有者)は、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
答え: ×(誤)
通常の必要費は配偶者(居住者)が負担(§1034)。所有者Cの負担ではない。
甲建物の配偶者居住権をB(配偶者)が、所有権をC(子)が取得した。C(建物の所有者)は、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。(正しいか?)
×(誤り)
§1034。配偶者居住権の通常の必要費は配偶者(居住者)が負担する。所有者Cの負担ではない。「Cが負担」は誤り。
甲建物の配偶者居住権をB(配偶者)が、所有権をC(子)が取得した。C(建物の所有者)は、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。(正しいか?)
通常の必要費は誰が負担する?
「所有者Cが通常の必要費を負担しなければならない」は正しい?
×(誤り)
§1034。配偶者居住権の通常の必要費は配偶者(居住者)が負担する。所有者Cの負担ではない。「Cが負担」は誤り。
【比較対象④:令和3年 問4 肢4】B(配偶者)が配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。
答え: ×(誤)
配偶者居住権の対抗要件は登記(§1031)。登記がなければ建物の買主Dに対抗できない(賃借権の「引渡し」とは異なる)。
B(配偶者)が配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。(正しいか?)
×(誤り)
§1031。配偶者居住権の対抗要件は登記。登記がなければ建物を買った第三者Dに対抗できない。「登記がなくても対抗できる」は誤り。
B(配偶者)が配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。(正しいか?)
配偶者居住権は登記なしで建物の買主Dに対抗できる?
「登記がなくてもDに対抗できる」は正しい?
×(誤り)
§1031。配偶者居住権の対抗要件は登記。登記がなければ建物を買った第三者Dに対抗できない。「登記がなくても対抗できる」は誤り。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
遺留分は「知ってから1年/開始から10年の早い方」で消滅(§1048)。配偶者居住権は①相続されない②賃貸に承諾③必要費は配偶者④対抗は登記の4点。これで相続の全PHASE+周辺論点を走破!
→ 全体を振り返る:「相続の判断アルゴリズム(全体マップ)」