【相続】過去問を『型』で解く判定フロー

🏋️ この地図で過去問が本当に解けるか、肢ごとに試す → アルゴで解ける過去問ドリル(23論点・98肢・Phase別)
🛡️
ここは多くの人が正解する基本問題。だからこそ”落とすと痛い”
相続は合格者の多くが得点する分野。狙うのは満点ではなく、たった1つの引っかけ(相続放棄は代襲しない/兄弟姉妹に遺留分なし/配偶者居住権は登記がないと対抗不可…)を外さないこと。下の【第2部 トリガー・ダッシュボード】は、フローを回せるようになった後に、引っかけワードを点検する確認表です。
このアルゴの本体は第1部フロー(Step 0で島を見分ける→相続人の確定/相続分/遺言・遺留分/承認・放棄/配偶者居住権)。過去問でこのフローを何度も回すと、判断の流れが体に入り、本番でも解けるようになります(=得点への近道)。第2部ダッシュボードは、フローを回した結論の点検と、知識型の引っかけ(兄弟姉妹に遺留分なし等)の確認に使う一覧表です(引き方は第2部の直後に実演)。⚠相続は遺言まわりの知識型論点が多く、核を確実に取り、枝葉は深追いしないのがコツ。
⚖ この型を貫く3つのミニ原理(横串)
相続は「独立した5つの島」——でも、ダッシュボードの行の多くは、次の3本から導けます。
① 放棄=初めから相続人ではなかった(§939)→ だから代襲しない(その系統は最初から存在しない扱い)。死亡・欠格・廃除は「本人が資格を失っただけ」→ 子が代襲する。
② 遺言=故人の最終意思を尊重する制度 → だから、いつでも撤回できる・抵触したら一番新しい日付・行動が優先15歳でOK(行為能力不要=本人の意思そのもの)・方式が厳格で共同遺言は無効(他人の意思が入り込まないように)・受遺者が先に死ねば失効(「あの人にあげたい」という意思だから代襲しない)。
③ 配偶者居住権=残された配偶者の「住み慣れた家」を守る、その人限りの権利 → だから、原則終身譲渡できない相続されない(本人が亡くなれば消える)・第三者に貸すには所有者の承諾が必要。
📌 導出できない暗記3点(原理に束ねず、このまま覚える):①兄弟姉妹=遺留分なし・再代襲なし(代襲は甥姪まで) ②遺産分割前の賃料=各相続人が確定的に取得(分割の対象外・判例) ③「相続させる旨の遺言」=死亡の時に直ちに権利移転(遺産分割協議は不要)。
🗺 相続は「独立した5つの論点」の集まり
肢を読んだら、まず【どの島か】を見分ける。各島は独立=全部を1つの流れで覚えようとせず、その島だけ見ればOK。
①相続人の確定 配偶者・子・親・兄弟姉妹・代襲・放棄者
②相続分の計算 法定相続分の割合・遺産分割
③遺言・遺留分 遺言の方式・遺贈・遺留分(兄弟姉妹はゼロ)
④承認・放棄 単純/限定承認・相続放棄・熟慮期間3ヶ月
⑤配偶者居住権 登記がないと第三者に対抗できない
🧱 大前提|相続は「まるごと承継」
相続とは、被相続人の権利義務を“まるごと”引き継ぐこと(包括承継)。原則なんでも承継し、抜けるのは「一身専属」だけ。「被相続人の○○は承継される?」と問われたら、まず下の一身専属リストに載るか照合する。
§896本文「相続人は…被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
● 承継する(原則)
契約上の地位(買主・売主・賃貸人)/解除権・取消権/債権・債務・賃借権
✕ 承継しない(一身専属/当事者の”死亡”で終了)
・委任/準委任の当事者の地位(§653=委任者・受任者の死亡で終了)
・使用貸借の“借主”の地位(§597③=借主の死亡で終了。“貸主”側は継続=相続される
・扶養請求権・生活保護受給権
・配偶者居住権(その人限り)
🔎 罠の見破り賃借権=一身専属リストに載っていない→承継○/使用貸借の借主=載っている→承継✕。この“有償・無償の対比”が最頻トラップ。
🧭 Step 0|現在地スキャン まずここだけ見る
肢を読んだら、最初に「この肢は誰が相続人か/相続分/遺言・遺留分/承認・放棄 のどれを聞いているか」だけを見る。それで入口(Phase)が1つに決まります。
配偶者・子・親・兄弟姉妹・代襲・相続放棄者 Phase 1:相続人の確定誰がもらうか
相続分・割合・遺産分割の計算 Phase 2:法定相続分の計算いくらもらうか
遺言・遺贈・遺留分・侵害額請求 Phase 3:遺言と遺留分遺言優先の原則
単純承認・限定承認・相続放棄・熟慮期間 Phase 4:承認・放棄借金も継ぐか
配偶者居住権・配偶者短期居住権 独立した第5の島Phase 5(第5の島フロー)で判定。※短期は存続期間が法定(遺産分割確定日か相続開始から6か月の遅い方・§1037)=Phase 5のStep 1「終身」は長期専用
🤔 迷ったら:まず「誰が相続人か」(Phase 1)を固める → 次に「いくら」(Phase 2)→ 遺言や放棄の論点があれば Phase 3・4 へ。
第1部:基本フロー(全体地図・OS)
『相続』の判断アルゴリズム
相続の問題は、「誰が」「いくら」もらえるか、そして「手続き(承認・放棄・遺言)」に不備がないかを順にチェックすることで正解にたどり着けます。Phaseに合わせて現在地を特定してください。
PHASE 1
相続人の確定 誰が相続するか?
Step 1
配偶者チェック
Q. 配偶者はいるか?
YES (いる)
配偶者は常に相続人
NO (いない)
Step 2の血族相続人のみで分ける
注意: 内縁関係・離婚した元配偶者は相続人になりません。
Step 2
血族相続人の順位チェック(上位が優先)
Q. 以下の順位で該当する血族はいるか?
第1順位
子(直系卑属)
子が相続人
親・兄弟は相続しない。
いない場合は次へ。
第2順位
直系尊属(親・祖父母)
直系尊属が相続人
兄弟は相続しない。
いない場合は次へ。
第3順位
兄弟姉妹
兄弟姉妹が相続人
いない場合は次へ。
配偶者の連れ子は、養子縁組をしていなければ「子」に当たらず相続人ではない
親権の有無は相続資格と無関係。親権がなくても、子であれば相続人になる。
Step 3
代襲相続のチェック (本来の相続人がいない場合)
Q. 本来相続するはずだった人(被代襲者)が、以下により相続権を失っているか?
被相続人より先に死亡 欠格 廃除
YES
代襲相続する
その子供(孫・甥姪)が代わって相続する。
重要トラップ判定
Q. 権限喪失の原因が「相続放棄」か?
YES(放棄) 代襲しない
NO(死亡等) 代襲する
※ 放棄の場合、初めから相続人ではなかったことになるため代襲しません。
再代襲のチェック
子が被代襲者の場合
孫も死亡なら「ひ孫」へ
〇 再代襲あり
兄弟姉妹が被代襲者の場合
甥姪まで。その子へは…
× 再代襲なし
PHASE 2
法定相続分の計算 いくらもらえるか?
Step 1
Q. 組み合わせによる基本割合は?
配偶者 + 子 1/2 : 1/2
配偶者 1/2
子 1/2
配偶者 + 直系尊属 2/3 : 1/3
配偶者 2/3
尊属 1/3
配偶者 + 兄弟姉妹 3/4 : 1/4
配偶者 3/4
兄弟 1/4
Step 2
Q. 同順位の相続人が複数人いる場合は?
原則 人数で 均等割り
⚠ 代襲相続人の例外=「株分け」(§901)
代襲相続人の取り分は、被代襲者(亡くなった親)が受けるはずだった相続分を、その枝の中で分ける。他の相続人と頭数で均等割りしない。
例:子A・BのうちBが先に死亡し、孫C・Dが代襲 → Aは1/2、C・DはBの1/2を半分ずつ(各1/4)。「A・C・Dで各1/3」は×
兄弟姉妹の例外判定
父母の一方のみを同じくする兄弟(半血兄弟)か?
YES 全血兄弟の 1/2 の割合 になる
嫡出子と非嫡出子 現在は 同等
PHASE 3
遺言と遺留分 遺言優先の原則
Step 1
Q. 有効な遺言はあるか?
  • 自筆証書遺言 全文・日付・氏名の自書+押印が必要
    (※財産目録はパソコン可・証人は不要・検認は怠っても有効)
  • 遺言能力 (15歳以上) 〇 単独で可能
  • 共同遺言 (夫婦同一証書等) × 無効
  • 上書き・抵触チェック 矛盾する別の遺言や生前処分がある場合
    一番新しい日付・行動が優先
  • 生存チェック 受遺者が先に死んでいた場合
    失効
Step 2
Q. 「遺留分」を侵害しているか?
遺留分権利者
配・子・尊属 兄弟姉妹 ×
遺留分の割合
直系尊属のみ: 1/3
それ以外: 1/2
アクション:侵害されたら
遺留分侵害額請求(金銭請求)
時効(リミット)
相続開始
知ってから 1年
開始から 10年
早い方が来た瞬間に【消滅】
PHASE 4
承認・放棄の判断 借金も引き継ぐか?
Step 1
Q. 自己のために相続開始を知った時から 3ヶ月以内 か?
YES
承認・放棄を選択可能
NO (過ぎた)
単純承認
Step 2
Q. 法定単純承認(財産の処分等)をしたか?
YES (処分した)
単純承認とみなす
※放棄不可
保存行為のみ
放棄可能
※修繕等は処分ではない
Step 3
手続きのルール
単独プレイ
1人で単独で可能
・家庭裁判所に申述が必要
・生前の放棄は不可(遺留分放棄は許可があれば可)
協力プレイ
相続人 全員で共同 して行う
PHASE 5
🏠 配偶者居住権(独立した第5の島)
Step 0で「配偶者居住権・短期居住権」と判断したら、ここを上から回す
Step 1 存続期間は? 定めなし → 終身/定めあり → 期間満了で消滅(更新・延長は不可)
Step 2 登記は? 建物所有者は配偶者に登記を備えさせる義務(§1031)。登記がないと第三者に対抗できない
Step 3 相続される? 一身専属 = 相続されない(配偶者の死亡で消滅)
Step 4 第三者へ賃貸できる? 建物所有者の承諾が必要
Step 5 通常の必要費は誰が負担? 居住する配偶者が負担
第2部
トリガー・ダッシュボード 決め手編・武器庫
「相続放棄」した者の「子」 適用論点 (シーン)代襲相続の成否 ルール・結論 (決め手ワード)代襲相続しない
初めからいなかった扱い
「兄弟姉妹」が相続人 適用論点 (シーン)遺留分・再代襲 ルール・結論 (決め手ワード)遺留分なし・再代襲なし
「遺産分割前」の「賃料」 適用論点 (シーン)賃料債権の帰属 ルール・結論 (決め手ワード)各相続人が確定的に取得
遺産分割の対象外
「遺産分割後」の「賃料」 適用論点 (シーン)賃料債権の帰属 ルール・結論 (決め手ワード)その不動産が帰属した相続人が取得
分割後の賃料は帰属した人の果実
「個別の遺留分」はいくら? 適用論点 (シーン)遺留分の計算 ルール・結論 (決め手ワード)総体的遺留分(原則1/2・直系尊属のみ1/3)× その人の法定相続分
例:配偶者と子2人→子1人の遺留分は 1/2×1/4=1/8
「胎児」がいる 適用論点 (シーン)相続人の資格 ルール・結論 (決め手ワード)相続についてはすでに生まれたものとみなす(§886)
死産だったときは適用しない
「配偶者居住権」の存続期間 (定めなし) 適用論点 (シーン)配偶者居住権の原則 ルール・結論 (決め手ワード)原則として配偶者の終身
「配偶者居住権」の存続期間 (定めあり) 適用論点 (シーン)期間を定めた場合 ルール・結論 (決め手ワード)期間満了で消滅。更新・延長は不可
「配偶者居住権」と登記 適用論点 (シーン)所有者の義務 ルール・結論 (決め手ワード)居住建物の所有者は、配偶者に登記を備えさせる義務を負う(§1031)
「遺留分の放棄」をした 適用論点 (シーン)遺留分放棄≠相続放棄 ルール・結論 (決め手ワード)相続権は失わない(遺産は相続できる)。相続開始前の放棄は家裁の許可が必要
相続人が「後に」死亡(数次相続) 適用論点 (シーン)代襲との区別 ルール・結論 (決め手ワード)代襲ではない。死亡した相続人の地位を、その相続人(配偶者含む)が承継して遺産分割協議に参加
「配偶者居住権」+「登記」なし 適用論点 (シーン)対抗要件 ルール・結論 (決め手ワード)第三者に対抗不可
「相続させる旨の遺言」 適用論点 (シーン)権利移転のタイミング ルール・結論 (決め手ワード)直ちに権利移転する
遺産分割協議は不要
「受遺者」が先に「死亡」 適用論点 (シーン)遺贈の効力と代襲 ルール・結論 (決め手ワード)代襲しない(無効・失効)
遺言の後に「売却」など矛盾 適用論点 (シーン)遺言と生前処分の抵触 ルール・結論 (決め手ワード)新しい行動が優先
古い遺言は撤回扱い
「日付が異なる」複数の遺言 適用論点 (シーン)遺言同士の抵触 ルール・結論 (決め手ワード)一番新しい日付が優先
遺産の分割と「第三者」 適用論点 (シーン)遡及効の制限 ルール・結論 (決め手ワード)第三者を害することは不可
「遺産分割後」の第三者との優劣 適用論点 (シーン)遺産分割と登記 ルール・結論 (決め手ワード)登記(盾)がないと勝てない
「配偶者居住権」の「相続」 適用論点 (シーン)一身専属性 ルール・結論 (決め手ワード)相続されない(死亡時消滅)
「配偶者居住権」の「第三者への賃貸」 適用論点 (シーン)使用収益の制限 ルール・結論 (決め手ワード)建物の所有者の承諾が必要
「配偶者居住権」の「通常の必要費」 適用論点 (シーン)費用負担 ルール・結論 (決め手ワード)居住している配偶者が負担

🔎 ダッシュボードの「引き方」:3ステップで判定する手順
早見表は”引き方”を知らないと使えません。実際の本試験で、キーワード→該当行→即答 の動作を実演します。
手順は3ステップだけ:① 問題文からキーワードを拾う → ② 上の表で該当行を引く → ③ 結論(決め手ワード)をそのまま当てる
実演A(令和2年度〈10月実施〉 問8 肢4)
肢:「被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。」
  1. キーワードを拾う:「兄弟姉妹」+「孫(再代襲)」
  2. 表を引く:→ 【「兄弟姉妹」が相続人 → 遺留分なし・再代襲なし
  3. 即答:兄弟姉妹の代襲は1代(甥姪)まで=孫は相続人にならない。表どおり → この肢は○(正しい)(問8は”誤り”を選ぶ問題なので正解は別の肢)── 表を引くだけで判定できる
実演B(令和5年度 問7 肢1)
肢:「遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。」
  1. キーワードを拾う:「配偶者居住権」+「存続期間の定めなし」
  2. 表を引く:→ 【「配偶者居住権」の存続期間(定めのない場合)→ 原則として配偶者の終身の間】
  3. 即答:定めがなければ終身。「20年」は表と逆 → この肢は×(誤り)(20年は地上権の話との引っかけ)── 表と逆を言う肢は秒で斬れる
💡 コツ:問題文の特徴語(相続放棄/兄弟姉妹/配偶者居住権+登記・存続期間・賃貸/相続させる旨の遺言/受遺者の先死亡/日付の違う遺言…)に印をつけ、その語を表で探すだけ。表と同じ結論なら○、表となら×。迷ったら第1部フローで”なぜ”を確認すれば、引き方が腑に落ちます。
🎯 過去問の解き方(このアルゴリズムで実際に解く実演)
「型で本当に解けるのか?」を、実際の過去問でPHASEを辿って確認しましょう
例1|代襲相続(PHASE 1・Step 3)|令和7年 問5 肢エ
「(Aの子B、Bの子CがAの直系卑属。AがCを代襲相続人とするときを問う問題で)肢エ:Bが相続放棄をしたとき、CはBを代襲してAの相続人となるか?」
PHASE 1 Step 3:被代襲者Bが相続権を失った原因は? → 相続放棄
→ 代襲原因は「死亡・欠格・廃除」のみ。相続放棄は代襲原因にならない(その系統は初めからいなかった扱い)
→ 結論:肢エは「代襲するとき」に含まれない(正解は ア・イ・ウ =選択肢4)。放棄は代襲しない
例2|法定相続分・放棄と欠格の対比(PHASE 2)|平成29年 問9
「1億2,000万円を有するAが死亡。子B・C・D、Bに子E、Cに子F。Bは相続放棄Cは強迫で相続欠格。法定相続分は?」
PHASE 1 Step 3:Bの放棄 → Eは代襲しない。Cの欠格 → Fが代襲する
PHASE 2:相続人はDとF(Cの代襲)の2人 → 各2分の1 → D 6,000万円・F 6,000万円
→ 結論:正解=肢3(D6,000万・F6,000万)。”放棄=代襲なし/欠格=代襲あり”の対比が決め手
例3|遺留分(PHASE 3・Step 2)|令和4年 問2 肢4
「相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。」
PHASE 3 Step 2:遺留分権利者は配偶者・子(その代襲)・直系尊属のみ
兄弟姉妹は遺留分権利者から除外
→ 結論:○(兄弟姉妹に遺留分はない)。問2は”誤り”を選ぶ問題で肢4は正しい(正解は別の肢3)
例4|法定単純承認(PHASE 4・Step 2)|平成28年 問10 肢2
「Cが甲建物の賃借人に対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。」
PHASE 4 Step 2:賃料の収受領得は相続財産の処分行為 → 法定単純承認(§921①)
→ 単純承認とみなされ、もう放棄・限定承認はできない(※保存行為や不法占拠者への明渡請求なら処分にあたらない)
→ 結論:○(処分=法定単純承認)。問10は”誤り”を選ぶ問題で肢2は正しい
例5|遺産分割(共同相続)と第三者・登記|平成30年 問10 肢2
「相続財産の不動産について、遺産分割前に単独の所有権移転登記をした共同相続人から移転登記を受けた第三取得者に対し、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗できる。」
遺産分割・対抗:他人が勝手にした単独登記のうち、自己の法定相続分の部分は無権利の処分 → 登記なくして対抗できる
→ ただし法定相続分を”超える”部分は、登記がなければ第三者に対抗できない(§899の2・物権変動と同型)
→ 結論:○(自己の持分は登記不要で対抗可)。問10は”誤り”を選ぶ問題で肢2は正しい(正解は別の肢4)
個別の遺留分の計算・胎児(§886)・兄弟姉妹の遺留分なしは、上のダッシュボードと下の🧠穴埋めが定位置です。
📐 カバレッジ|取る核と、捨ててよい所
相続は合格者がしっかり取ってくる「落とさない型」。だからこの型は、合格に効く核の論点(相続人の確定/法定相続分/遺留分の有無と期間/承認・放棄/代襲/遺産分割と対抗)を確実に押さえることに全振りします。遺言まわりの丸暗記の細則は、合格者でも落とすことが多い「捨て・対象外」=深入り無用。型がどこまでを担うかを明確にしています。
● フローで判定可:相続人の確定・法定相続分の計算・遺留分の有無/期間・承認/放棄・代襲/再代襲・遺産分割と対抗
◐ 型に入れない「捨て・対象外」=合格者でも落とすことが多い丸暗記の細則:危急時遺言など特殊な遺言の方式/遺言執行者/養子の数/廃除の要件/預貯金債権・現金の取扱い。深入りせず△で次へ(余力があれば各解説記事末尾のki2で拾える=任意)。※自筆証書遺言の基本方式・撤回/抵触(上書き優先)・受遺者の先死亡はPhase 3とダッシュボードに収録済み=取れる論点です。胎児(§886)・個別の遺留分の計算もダッシュボードに昇格(🧠穴埋めでも反復)
✕ 他カテゴリとの複合:無権代理人の相続(→代理)・連帯債務者の死亡(→連帯債務)・共有物の明渡し(→共有)
※フローで核を判定し、周辺の丸暗記細則は深入りせず△で次へ=全部取ろうとして時間を溶かさないのが正しい戦い方。余力があれば各解説記事(特に番外編・遺言編)とki2で拾えます(任意)。民法大改正(配偶者居住権は2020年施行/遺留分の金銭債権化・自筆証書遺言の方式緩和は2019年施行)にも対応。
🛡️ 落とさない型の戦い方:主役は確実に・枝葉は△で保留
確実に取るべき主役=相続人の確定・法定相続分・遺留分の有無/期間・承認放棄・代襲/再代襲・遺産分割と対抗。ここは合格者の多くが正解する基本=落とすと痛い。上のダッシュボードの”引っかけワード”を外さなければOK。
一方、遺言の方式の細部(証人の細かい要件・危急時遺言)・養子の数・廃除の手続・預貯金債権の取扱いなど知識型の細則は、見たことがなければ△で保留して次へ。相続は核を確実に取り、枝葉を全部取ろうとして時間を溶かさないことが、満点より価値があります。
🧠 数字・結論を思い出す(タップで答え)
法定相続分=配偶者+子:配偶者 /配偶者+直系尊属:配偶者 /配偶者+兄弟姉妹:配偶者 
半血兄弟(父母の一方のみ同じ)=全血兄弟の 
代襲相続人の取り分 (被代襲者の相続分をその枝の中で分ける・頭数で均等割りは×)
放棄→代襲 (初めから相続人ではなかった)/死亡・欠格・廃除→代襲 
兄弟姉妹の代襲 まで(再代襲なし)
遺留分=原則 ・直系尊属のみ  には遺留分なし
遺留分侵害額請求の時効=知ってから ・相続開始から 
承認・放棄の熟慮期間=知った時から (過ぎたら単純承認)
遺言能力 以上(行為能力は不要)
限定承認=相続人 /放棄=単独可・ に申述(生前の放棄は不可)
配偶者居住権=定めなしなら /登記がないと第三者に /相続 
配偶者居住権の賃貸・増改築=所有者の が必要/通常の必要費= が負担
胎児=相続についてはすでに とみなす(§886・死産なら適用なし)
📖 用語ミニ辞典 ― 言葉に詰まったらここ
相続の型でよく出る専門用語を、やさしい言葉でまとめました。意味に詰まったら戻ってください。
法定相続分ほうていそうぞくぶん
遺言がないとき、民法が「だれが・どれだけ」受け取るかを定めた取り分。
例:配偶者と子なら、配偶者1/2・子1/2を子の頭数で分ける。
この型では Phase 2で確定。順位は①子②直系尊属③兄弟姉妹。配偶者は常に相続人で、組む相手で取り分が変わる(子と=1/2、直系尊属と=2/3、兄弟姉妹と=3/4)。
▲ フローへ戻る
代襲相続だいしゅうそうぞく
本来の相続人が先に死亡・欠格・廃除で相続権を失ったとき、その子が代わりに相続すること。
例:祖父より先に父が死亡 → 孫が父の取り分を受け継ぐ。
この型では Phase 1 Step 3。⚠「放棄」は代襲なし/死亡・欠格・廃除は代襲あり(§887②)。子や孫は再代襲もあるが、兄弟姉妹の代襲は甥・姪まで(再代襲なし)。
▲ フローへ戻る
相続欠格・廃除けっかく・はいじょ
相続できる立場の人から相続権を奪う2つの制度。欠格=一定の悪事で法律上当然に失う/廃除=被相続人が家裁に申し立てて失わせる。
例:親を虐待した子を、親が家裁に申し立てて廃除する。
この型では どちらも代襲の原因になる(その子は代襲できる)。「放棄だけは代襲しない」点と区別するのが頻出。
▲ フローへ戻る
単純承認・限定承認・相続放棄しょうにん・ほうき
相続するかの3つの選択。単純承認=プラスもマイナスも全部引き継ぐ/限定承認=プラスの範囲でだけ借金を払う/相続放棄=はじめから相続人でなかったことにする。
例:借金が多ければ放棄、財産と借金どちらが多いか不明なら限定承認。
この型では Phase 4。期限は「自分が相続人と知ってから3ヶ月」(§915)。限定承認は相続人全員で家裁へ(共同必須)/放棄は単独でできる。放棄者からは代襲が生じない。
▲ フローへ戻る
遺留分いりゅうぶん
一定の相続人に必ず残される最低限の取り分。遺言でもゼロにはできない。
例:全財産を愛人に遺贈する遺言でも、配偶者・子は遺留分を取り戻せる。
この型では Phase 3 Step 2。兄弟姉妹に遺留分はない。総体的遺留分は原則1/2(直系尊属だけが相続人なら1/3)。侵害額請求は「知ってから1年・相続開始から10年」で時効。
▲ フローへ戻る
遺贈いぞう
遺言によって財産を人に与えること。相続人以外の人にも与えられる。
例:「土地をAに遺贈する」と遺言に書く。
この型では 法律で決まる「相続」と区別する。特定遺贈はいつでも放棄でき、相続放棄(3ヶ月以内)とはルールが異なる。
▲ フローへ戻る
配偶者居住権はいぐうしゃきょじゅうけん
残された配偶者が、亡くなった人の建物に住み続けられる権利(令和2年新設)。
例:夫の死後、妻が自宅にそのまま住み続けられる。
この型では 独立した第5の島。登記がないと第三者に対抗できない。通常の必要費は住んでいる配偶者が負担する。
▲ フローへ戻る
遺産分割いさんぶんかつ
相続人が複数いるとき、だれが何を取るかを話し合いなどで決めること。
例:不動産は長男、預金は次男、と分ける協議。
この型では いつでも協議で分割できる。遺言で5年以内の分割禁止も可能。分割前は各相続人が法定相続分の割合で共有している状態。
成立済みの遺産分割協議も、共同相続人全員の合意で解除して、改めて協議し直せる(○の逆罠・令1問6)。
▲ フローへ戻る
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次