相殺は、登場人物が「どっちがどっちの借金をチャラにしようとしているのか」で頭がこんがらがり、本試験でパニックになりがちです。でも大丈夫。相殺は「誰が攻撃を仕掛けたか(=自働債権はどれか)」さえ見極めれば、あとは無感情なパズルとして処理できる得点源です。まずは相殺の「絶対条件」から。
本日のターゲット問題(平成30年度 問9 肢1)
Aは、A所有の甲土地につき、Bとの間で、代金1,000万円、支払期日を12月1日とする売買契約を締結した。この場合の相殺に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
肢1 BがAに対して同年12月31日を支払期日とする貸金債権を有している場合には、Bは同年12月1日に売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。
【Phase 1】相殺の基本要件(攻撃できる状態か?)
相殺は「一方的にチャラにする攻撃」
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★絶対条件★ 自働債権(攻撃側)の弁済期は到来しているか?
├─ YES(到来 or 定めなし) → 相殺できる
└─ NO(まだ来ていない) → 相殺できない(早とちり)
※受働債権(守る側)の弁済期は問わない
(自分の期限の利益は自由に放棄できるから)
本問:自働債権=Bの貸金(弁済期12/31)/相殺日12/1
→ 自働債権の弁済期がまだ来ていない → ×
答え:×(誤り)
相殺は「自分から仕掛ける攻撃」。だから自働債権(攻撃側)の弁済期が来ていることが絶対条件。Bの貸金債権の支払期日は12/31で、相殺しようとする12/1にはまだ来ていない=早とちりの攻撃で不可。
(相殺の要件等)
第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。
【ポイント】条文は「双方の債務が弁済期に」とあるが、判例・通説は自働債権の弁済期が到来していれば足りるとする(受働債権は自分の期限の利益を放棄できるから)。両債権がチャラにできる状態を「相殺適状」という。
BがAに対して同年12月31日を支払期日とする貸金債権を有している場合には、Bは同年12月1日に売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。
×(誤り)
自働債権の弁済期が未到来。自分の支払日が来ていないのに相殺する「早とちりの攻撃」はできない。
BがAに対して同年12月31日を支払期日とする貸金債権を有している場合には、Bは同年12月1日に売買代金債務と当該貸金債権を対当額で相殺することができる。
自働債権(貸金)の弁済期は相殺日に到来している?
「12月1日に相殺できる」は正しい?
×(誤り)
自働債権の弁済期が未到来。自分の支払日が来ていないのに相殺する「早とちりの攻撃」はできない。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:相殺の問題が出たら、まず「自働債権(自分から攻撃する側)はどれか」を特定。次に「その自働債権の弁済期は来ているか」だけを見る。来ていれば相殺可、来ていなければ不可。受働債権の弁済期は無視してよい。
⚖️ 概念マップ:相殺=一方的な攻撃。攻撃するなら自分の武器(自働債権)が「使える状態=弁済期到来」でなければならない。相手の時間(期限の利益)を奪ってはいけない。
- 自働債権の弁済期が到来 or 定めなし → 相殺できる(〇)
- 自働債権の弁済期が未到来 → 相殺できない(×・早とちりの攻撃)
- 受働債権の弁済期 → 来ていなくてもよい(自分の期限の利益は放棄自由)
⚠️ よくある引っかけ
- 「受働債権の弁済期が来ていないから相殺できない」→ ×(ひっかけ)。見るのは自働債権の弁済期だけ。
- 「弁済期の定めがない」自働債権 → いつでも請求できる=相殺できる(〇)。
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
【比較対象:令和5年度 問4】 Aが甲債権(自働)、Bが乙債権(受働)を持つとき、Aが一方的な意思表示で相殺できないものを選ぶ問題です。見るのは甲債権(自働)の弁済期だけ。
ア 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期到来前にAが期限の利益を放棄する旨の意思表示をした乙債権
イ 弁済期が到来している甲債権と、弁済期の定めのない乙債権
ウ 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
エ 弁済期が到来していない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 相殺は「自分から仕掛ける攻撃」。だから自働債権(攻撃側)の弁済期が来ていることだけが絶対条件。受働債権の弁済期は問わない(自分の期限の利益は放棄自由)。問題を見たら「自働債権はどれ?その弁済期は来てる?」だけを確認する。
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