【抵当権・根抵当権】Step 3:順位の譲渡・放棄 ─ 配当計算は【合算プールの大原則】で一撃判定

📘 深掘り解説 | 抵当権の順路 3 / 4 Step 3:順位の譲渡と放棄(合算プールの配当計算) のくわしい解説です
この記事は〈抵当権の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。

「順位の譲渡?放棄?配当計算?もうダメだ!」と鉛筆を置きたくなるテーマ。でも「当事者2人の配当枠を1つのプールに合算して、そこから再分配するだけ」という算数レベルの法則を知れば、ボーナス問題に変わります。譲渡=縦(もらった側が全取り)/放棄=横(債権額の割合で山分け)。この2ステップで判定します。

目次

本日のターゲット問題(平成27年 問7)

債務者Aの甲土地に、Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、Dが三番抵当権(債権額4,000万円)を有し、他に無担保の債権者E(2,000万円)がいる。売却代金5,400万円を配当する。
肢2(順位の譲渡):BがDの利益のため抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける配当は800万円である。
肢4(順位の放棄):BがDの利益のため抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1,000万円である。

🗺 登場人物の関係
債務者Aの甲土地:B1番(2000万)・C2番(2400万)・D3番(4000万)+無担保E|代金5400万
→ 順位の譲渡=BとDの枠を合算しDが先取り→B0円/放棄=同順位で按分→B1000万
【Step 3】合算プールの大原則 ─ 2ステップで判定

  <本来の配当(無関係なCは巻き込まない)>
   B(2000) → 2000 / C(2400) → 2400 / D(4000) → 残1000 / E → 0
   ※当事者 B と D の本来額を合算 = 2000+1000 = 【プール3000万】

  肢2 順位の譲渡(縦):もらったDが優先全取り
     Dの債権4000 ≧ プール3000 → Dが3000全部 → Bは 0円
     肢の主張「Bは800万」 …… ✗ 誤り

  肢4 順位の放棄(横):B・Dが同順位 → 債権額の割合で按分
     B2000 : D4000 = 1 : 2 → プール3000を 1:2
     → Bは 1000万 …… ○(肢の主張どおり)

答え:肢2=✕(誤り/実際は0円)/肢4=◯(正しい)

🎯 この問題の核心

当事者B・Dの本来額を足した合算プール=3,000万の中だけで分ける(無関係なCは巻き込まない)。譲渡=縦(もらったDが債権額まで全取り→Bは0円)、放棄=横(B:D=2000:4000=1:2で按分→Bは1,000万)。肢2は「800万」と言うので誤り、肢4は「1,000万」で正しい。

🧭 判定軸=「当事者2人の枠を1つのプールに合算→縦(譲渡)か横(放棄)で分けるだけ」。まず自分で解いてみよう
順位の譲渡・放棄の配当は算数レベルの2ステップ。無関係な人(C)を巻き込まないのが絶対の大原則。同じプールでも、縦(譲渡)と横(放棄)で結果は真逆になります。
🙋‍♂️
生徒:まず本問(平27問7肢2)から。BがDのために抵当権の順位を譲渡したら、Bの受ける配当は800万円 ── これですよね? 順位を譲っても少しは自分に残る気がします。
👨‍🏫
講師:いきなり引っかかったね。答えは×だ。順位の譲渡は縦の関係=もらったDが優先で全取り。まず当事者2人の本来額だけを合算する。B2,000万+D1,000万=プール3,000万(無関係なCは巻き込まない)。Dの債権4,000万はこのプール3,000万を丸ごと飲み込むから、Bは0円。『800万』とする肢2はウソ=×だ。
🙋‍♂️
生徒:なるほど、譲渡だとBはゼロ…。では同じ問題の放棄(肢4)は? こちらはBの配当1,000万円ででいいですか?
👨‍🏫
講師:正解、だ。放棄は横の関係=優先権を捨ててDと同じ土俵に立つ。プール3,000万を債権額の割合で山分けする。B2,000:D4,000=1:2だから、Bは3,000万の3分の1=1,000万。肢4『1,000万』はそのとおり=○。同じプールでも、縦(譲渡)ならB0円、横(放棄)なら1,000万と、結果が真逆になるのが面白いところだ。
🙋‍♂️
生徒:待ってください、間にいるCの2,400万はどうなるんですか? BとDが順位をいじったら、何もしていないCまで巻き込まれそうで…。
👨‍🏫
講師:そこが最大の急所だ。BとDが順位をイジって遊んだせいで、何もしていないCの配当が減ったら大迷惑。だから法律はまず通常どおり配当し、当事者2人(B・D)の本来の取り分だけをプールに合算する。Cの2,400万は最後まで無傷だ。ここを『代金5,400万を全部分け直す』と勘違いすると即死するよ。
🙋‍♂️
生徒:つまり…①当事者2人の本来額だけを足して合算プールを作る(無関係者は無視)、②譲渡=縦(もらった側が全取り)/放棄=横(債権額の割合で按分)。この2ステップだけで配当は全部さばけるんですね。
👨‍🏫
講師:その通り。あとはこの2軸を、数字を変えただけの似た顔の肢に当てるだけだ。§376①は『順位を譲渡し、若しくは放棄することができる』と言うだけで、計算方法までは教えてくれない。だからこの縦・横の分配ルールを自分の武器にしておくんだ。
💡 深掘り:
①当事者2人の本来額だけを合算してプールを作る(無関係なCは巻き込まない)。②譲渡=縦(もらった側が優先で全取り)/放棄=横(債権額の割合で按分)。本問ならプール3,000万→譲渡でBは0円、放棄でBは1,000万。この2ステップで順位の譲渡・放棄の配当は全て解けます。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
BがDのため抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける配当は800万円である(平27問7肢2)×:譲渡=縦。もらったDがプール3,000万を優先全取りし、実際はBは0円。『800万』は誤り。
BがDのため抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1,000万円である(平27問7肢4):放棄=横。プール3,000万をB:D=1:2で按分→Bは3分の1=1,000万。肢のとおり正しい。
BとDが順位を譲渡・放棄しても、無関係なCの配当(2,400万)は減らない:【逆罠】合算するのは当事者2人の本来額だけ。当事者でないCの取り分は最後まで無傷で、一切影響を受けない。

§376①(抵当権の処分):抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

【ポイント】計算は2ステップ。①当事者2人の本来額を合算してプールを作る(無関係者は無視)。②譲渡=もらった側が優先全取り(縦)放棄=債権額の割合で按分(横)。※この配当ルールは近年の法改正の影響を受けていない。

暗記ポイント

🎯 試験本番ではこう即答する:①当事者2人の本来額を足して合算プールを作る(無関係者は無視)。②譲渡=縦(もらった側が全取り)/放棄=横(債権額の割合で按分)

行為分配ルール覚え方
譲渡受益者(もらった側)が優先して全額取る縦の関係(特権を丸ごと渡した)
放棄お互いの債権額の割合で按分(山分け)横の関係(優先権を捨て平等に)

🏋 過去問アルゴリズム道場

Step 3:配当
順位の譲渡・放棄 ─ 合算プールで判定
平成27年 問7
📋 問題文

債務者Aの甲土地に、Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、Dが三番抵当権(債権額4,000万円)を有し、他に無担保の債権者E(2,000万円)がいる。売却代金5,400万円を配当する。
肢2(順位の譲渡):BがDの利益のため抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける配当は800万円である。
肢4(順位の放棄):BがDの利益のため抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1,000万円である。

🔑 条件の抽出
当事者B(1番2000)とD(3番4000)・無関係なCは除外
問い譲渡/放棄でBの配当は?
Step① 合算プールを作る
当事者B・Dの本来額を足す。本来の配当はB→2000/C→2400/D→残1000。当事者の本来額を合算=2000+1000=プール3000万(無関係なCは巻き込まない)。
Step② 譲渡=縦/放棄=横
譲渡(縦)=もらったDが優先全取り。D4000≧プール3000→Dが3000全部→Bは0円。肢2「Bは800万」は誤り(×)。放棄(横)=B・D同順位で債権額按分。B2000:D4000=1:2→プール3000を1:2→Bは1000万。肢4「1000万」は正しい(○)。
結論

肢2は誤り(Bは0円)/肢4は正しい(Bは1000万)

合算プール3000万。譲渡(縦)はDが全取りでBは0円→肢2は誤り。放棄(横)は1:2按分でBは1000万→肢4は正しい。

📋 問題文

債務者Aの甲土地に、Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、Dが三番抵当権(債権額4,000万円)を有し、他に無担保の債権者E(2,000万円)がいる。売却代金5,400万円を配当する。
肢2(順位の譲渡):BがDの利益のため抵当権の順位を譲渡した場合、Bの受ける配当は800万円である。
肢4(順位の放棄):BがDの利益のため抵当権の順位を放棄した場合、Bの受ける配当は1,000万円である。

Step① 合算プールを作る

合算プールはいくら?

Step② 譲渡=縦/放棄=横

順位の放棄でBの配当は?

最終判定

肢2『順位の譲渡でBの配当は800万円』は正しい?

結論

肢2は誤り(Bは0円)/肢4は正しい(Bは1000万)

合算プール3000万。譲渡(縦)はDが全取りでBは0円→肢2は誤り。放棄(横)は1:2按分でBは1000万→肢4は正しい。

【まとめ】📌 この記事の核心

📌 この記事の核心
⚖ 順位の譲渡・放棄の配当計算は2ステップ。①当事者2人の本来額を合算してプールを作る(無関係なCは巻き込まない)。②譲渡=もらった側が優先全取り(縦)/放棄=債権額の割合で按分(横)。本問はプール3,000万→譲渡でBは0円(肢2=×)、放棄でBは1,000万(肢4=○)。


読み終えたら | 抵当権の順路 3 / 4
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