【抵当権・根抵当権】Step 2:根抵当権の魔改造 ─ 変更・順位譲渡は「確定の前後」で一撃判定

📘 深掘り解説 | 抵当権の順路 3 / 4 Step 2:根抵当権(変更・順位の譲渡=魔改造) のくわしい解説です
この記事は〈抵当権の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。

根抵当権(ダーツボード)の「枠」をいじったり、ボードごと「順番」を譲ったり──この魔改造は、宅建の「引っかけの横綱」です。でも判定軸はたった2つ。「元本確定の前か後か」「極度額(枠)が変わるか」。この2軸で、変更3兄弟・順位の譲渡・減額請求をすべて一撃判定します。

目次

本日のターゲット問題(平成26年 問4 肢4/平成元年 問5 肢4)

①順位の譲渡(平成26年 問4 肢4)
抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。

②極度額の変更(平成元年 問5 肢4)
根抵当権者は、元本の確定後においても、利害関係を有する者の承諾を得て、根抵当権の極度額の変更をすることができる。

【Step 2】根抵当権の魔改造 ─ 判定軸は「確定の前後」×「枠が変わるか」

  肢① 順位の譲渡(確定前)
    確定前は金額が不安定→順位譲渡できない(§398の11①)…… ○
    (確定後は普通の抵当権に変身→順位譲渡できる)

  肢② 極度額の変更(確定後・承諾あり)
    枠そのものを変える→利害関係人に実害→承諾が必須(§398の5)
    承諾があれば確定の前後を問わずできる …… ○

  <引っかけの横綱>
    範囲・債務者の変更 → 枠が同じ=後順位者に実害なし→承諾不要
                          (ただし確定「前」のみ・§398の4)

答え:①◯(正しい)/②◯(正しい)

🎯 この問題の核心

①順位の譲渡=確定前は金額が不安定だからできない(§398の11①)→○。②極度額の変更=枠そのものをいじると利害関係人に実害が出るので承諾が必須、承諾があれば確定の前後を問わずできる(§398の5)→○。判定軸は「確定の前後」と「枠が変わるか」の2つだけ。

🧭 判定軸=「確定の前後」×「枠が変わるか」。ダーツボードの魔改造、答えを見る前に自分で○×を出そう
根抵当権(ダーツボード)の枠をいじる・順番を譲る──この魔改造は引っかけの横綱。でも軸はたった2つ。生徒と一緒に手を動かしてから答えを開こう。
🙋‍♂️
生徒:まず本日のターゲット、平成26年 問4 肢4。『普通抵当は順位を譲渡できるが、元本確定前の根抵当は順位を譲渡できない』──根抵当だって抵当権の一種なんだから、順位くらい譲れるはず。この肢は×じゃないですか?
👨‍🏫
講師:まんまと引っかかったね。答えはだ。確定前の根抵当は、被担保債権(矢)が増えたり減ったりして『結局いくら配当されるか』が不安定。その状態で順番を譲られたら、譲受人も2番手もパニックになる。だから確定前は順位譲渡できない(§398の11①)。確定後は普通の抵当権に変身するからできる。『できない』とするこの肢は記述どおり○(平26問4肢4)。
🙋‍♂️
生徒:じゃあ2問目、平成元年 問5 肢4。『根抵当権者は元本の確定後においても、利害関係人の承諾を得て極度額を変更できる』。確定後って元本が固まってもう動かせない状態ですよね。だからこれは×…?
👨‍🏫
講師:また逆だ、。極度額=ダーツボードの枠そのものを動かすのは、確かに2番手に実害が出る。だからこそ利害関係人の承諾を条件にすれば、確定の前後を問わず変更できる(§398の5)。『確定後においても承諾を得て変更できる』は記述どおり○(平元問5肢4)。
🙋‍♂️
生徒:なるほど。じゃあ具体的に、枠を5,000万から3,000万に小さく(減額)するなら、2番手はむしろ取り分が増えて喜ぶ。損する人がいないんだから、承諾はいらないんじゃないですか?
👨‍🏫
講師:そこが最強の盲点だ。合意でやる『極度額の変更』は増額でも減額でも承諾が必要。根抵当権を担保にとっている転抵当権者など、減額で損する利害関係人が他にいるからね。ただしこれと紛らわしいのが、確定後の『極度額の減額請求』。これは無駄になった枠を実際の借金サイズに削る設定者の一方的な特権(形成権)だから承諾不要(§398の21)。『変更』と『減額請求』は似て非なる制度だ。
🙋‍♂️
生徒:整理できました。軸は『確定の前後』×『枠(極度額)が変わるか』。順位譲渡は確定前は不可・確定後は可。範囲・債務者の変更は枠が同じだから承諾不要(確定前のみ)。極度額の変更は枠が変わるから増減問わず承諾必須。確定後の減額請求だけは設定者の特権で承諾不要。この2軸で魔改造は全部さばけますね。
👨‍🏫
講師:その通り。すべては『枠を信じてお金を貸した2番手を、不意打ちの大損害から守れるか』という⚖天秤で決まる。あとはこの軸を、似た顔の肢に当てるだけだ。
💡 深掘り:
判定軸はたった2つ、『確定の前後』×『枠(極度額)が変わるか』。枠が変わらない変更(範囲・債務者)は2番手に実害なし=承諾不要・ただし確定「前」のみ。枠が変わる極度額の変更は増減問わず承諾必須。順位の譲渡は確定前は不可・確定後は可。確定後の減額請求だけは設定者の一方的特権で承諾不要。すべて『枠を信じた2番手を不意打ちから守れるか』で決まる。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
元本確定の根抵当権では、根抵当権者は順位を譲渡できない(平26問4肢4):確定前は被担保債権が増減して金額が不安定なので順位譲渡できない(§398の11①)。確定後は普通抵当に変身してできる。
元本確定でも、利害関係人の承諾を得れば極度額を変更できる(平元問5肢4):極度額=枠そのものを動かすので承諾必須。承諾があれば確定の前後を問わずできる(§398の5)。
元本確定は、設定者は極度額の減額を請求できない(平23問4肢4)×:【逆罠】無駄になった枠を実際の借金サイズに削る減額請求は、確定後に設定者ができる一方的な特権=承諾不要(§398の21)。合意の『極度額の変更』と混同させる罠。

§398の4(範囲・債務者の変更):元本の確定前は、債権の範囲・債務者の変更ができる。②この変更に後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要。③確定前に登記をしないと変更しなかったものとみなす。

§398の5(極度額の変更):極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければできない。

§398の11①(処分の制限):元本の確定前は、根抵当権者は§376①の処分(順位の譲渡・放棄等)をすることができない。ただし転抵当(他の債権の担保とすること)は可。

§398の21①(極度額の減額請求):元本の確定後は、設定者は、極度額を現存債務額+以後2年分の利息等に減額するよう請求できる。

暗記ポイント

🎯 試験本番ではこう即答する:判定軸は「確定の前後」×「枠(極度額)が変わるか」。枠が変わらない変更(範囲・債務者)は承諾不要、枠が変わる変更(極度額)は承諾必須。下表を本番直前に見直す。

魔改造の種類確定「前」確定「後」理由
範囲・債務者の変更〇 できる✖ できない枠が同じ=2番手に実害なし→承諾不要
順位の譲渡✖ できない〇 できる確定前は金額が不安定でパニックになるから
極度額の変更〇 できる〇 できる枠が変わる→増減問わず承諾必須
極度額の減額請求✖ できない〇 できる確定後の無駄枠を削る設定者の特権→承諾不要

💡 最強のダミーワード「減額」の罠:合意の「極度額の変更」(増減問わず承諾必須)と、確定後の「極度額の減額請求」(設定者の特権・承諾不要)は別物。「確定後でも減額請求できない」は誤り(平成23年 問4 肢4=×)。

🏋 過去問アルゴリズム道場

Step 2:根抵当権
根抵当の順位譲渡 ─ 確定前はできない
平成26年 問4 肢4
📋 問題文

①順位の譲渡(平成26年 問4 肢4)
抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。

🔑 条件の抽出
比較普通抵当 vs 確定前の根抵当
問い順位の譲渡ができるか
Step① 判定軸=確定の前後
普通抵当は順位譲渡できる。確定前の根抵当は金額が不安定なので順位譲渡できない(§398の11①)。(確定後は普通抵当に変身して順位譲渡できる。)
Step② 記述どおり○
「普通抵当はできる/確定前の根抵当はできない」は記述どおり○
結論

記述どおり ○

確定前の根抵当は金額が不安定だから順位譲渡できない(§398の11①)。確定後は普通抵当に変身してできる。

📋 問題文

①順位の譲渡(平成26年 問4 肢4)
抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。

Step① 判定軸=確定の前後

確定前の根抵当で順位譲渡は?

Step② 記述どおり○

本肢の結論は?

最終判定

『確定前の根抵当では順位を譲渡できない』は正しい?

結論

記述どおり ○

確定前の根抵当は金額が不安定だから順位譲渡できない(§398の11①)。確定後は普通抵当に変身してできる。

Step 2:根抵当権
極度額の変更 ─ 承諾があれば確定後でも
平成元年 問5 肢4
📋 問題文

②極度額の変更(平成元年 問5 肢4)
根抵当権者は、元本の確定後においても、利害関係を有する者の承諾を得て、根抵当権の極度額の変更をすることができる。

🔑 条件の抽出
対象極度額(枠そのもの)の変更
条件利害関係人の承諾+確定の前後
Step① 枠を変えるなら承諾必須
極度額=枠そのものを変えると利害関係人に実害が出るので承諾が必須(§398の5)。承諾があれば確定の前後を問わずできる。
Step② 確定後でも承諾あればOK
承諾があれば確定後でも極度額変更できる。本肢「確定後においても承諾を得て変更できる」は記述どおり○。※範囲・債務者の変更は枠が同じなので承諾不要・ただし確定「前」のみ(§398の4)。
結論

記述どおり ○

極度額=枠そのものの変更は実害が出るので承諾必須(§398の5)。承諾があれば確定の前後を問わずできる。

📋 問題文

②極度額の変更(平成元年 問5 肢4)
根抵当権者は、元本の確定後においても、利害関係を有する者の承諾を得て、根抵当権の極度額の変更をすることができる。

Step① 枠を変えるなら承諾必須

極度額変更に何が要る?

Step② 確定後でも承諾あればOK

確定後の極度額変更は?

最終判定

『確定後でも利害関係人の承諾を得て極度額を変更できる』は正しい?

結論

記述どおり ○

極度額=枠そのものの変更は実害が出るので承諾必須(§398の5)。承諾があれば確定の前後を問わずできる。

【まとめ】📌 この記事の核心

📌 この記事の核心
⚖ 根抵当権の魔改造は「確定の前後」×「枠(極度額)が変わるか」の2軸で一撃判定。順位の譲渡=確定前は不可・確定後は可。範囲/債務者の変更=枠が同じだから承諾不要(確定前のみ)。極度額の変更=枠が変わるから増減問わず承諾必須。確定後の減額請求=設定者の特権で承諾不要。すべて「枠を信じた2番手を不意打ちから守れるか」で決まる。


読み終えたら | 抵当権の順路 3 / 4
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