ある日突然「この家は競売で私が買いました。出ていってください」と言われた賃借人。抵当権設定後に借りた人は、登記の早い者勝ち(レース)で買受人に負けます。でも、いきなり追い出すのは酷なので「建物の買受けの時から6ヶ月の明渡猶予」という温情があります。ただし建物だけ・土地はナシ。この境界線を一撃で押さえます。
本日のターゲット問題(平成22年 問5 肢3)
Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要はない。
【時系列】①B抵当権設定登記(先)→ ②AがDに賃貸 → ③競売 A(所有者)━② 賃貸 ━▶ D(賃借人・居住中) ┃① 抵当権の設定・登記(Dへの賃貸より先) ▼ B(抵当権者)━③ 実行・競売 ━▶ 競落人 Dは競落人に対抗できる? ⇒ 設定“後”の賃借人Dは競落人に対抗できない ただし“建物”なら6か月の明渡猶予(§395)→直ちに明渡す必要なし【○】
【Step 4】設定後の賃借人 vs 買受人 ─ 勝てる?いつ出る?
Q1. 賃借権は抵当権設定の「前」か「後」か?(レースの世界)
前 → 賃借人の勝ち(そのまま住める)
後 → 賃借人の負け(買受人に対抗できない)← 本問
Q2. 負けたら即追い出し?(天秤の世界)
建物の賃借人 → 買受けの時から【6ヶ月の明渡猶予】(§395)
※競売手続の開始前から使用していること
本問:設定後の「建物」賃借人 → 直ちに明け渡す必要なし …… ○
⚠ 罠:6ヶ月猶予は「建物」だけ。「土地」の賃借人は即退場
答え:◯(正しい)
抵当権設定後に借りた賃借人は買受人に対抗できない(負け)。でも建物の賃借人には買受けの時から6ヶ月の明渡猶予がある(§395)。だから「直ちに明け渡す必要はない」は○。⚠ただしこの猶予は建物だけ・土地はナシ。
§395①(抵当建物使用者の引渡しの猶予):抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(抵当建物使用者)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者(以下略)
【ポイント】対象は建物のみ。土地の賃借人には適用されない。設定「前」の賃借人はそもそも買受人に勝つので猶予の話にならない。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:設定前の賃借人=勝ち(住める)/設定後=負け、ただし建物なら6ヶ月の明渡猶予。土地の賃借人に猶予はない(最大の罠)。
| 賃借権の時期 | 買受人との勝敗 | 明渡しのルール |
| 抵当権設定「前」 | 賃借人の勝ち | そのまま住めるので猶予不要 |
| 抵当権設定「後」 | 賃借人の負け | 建物=6ヶ月猶予/土地=猶予なし(即退場) |
🏋 過去問アルゴリズム道場
Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要はない。
記述どおり ○
設定後の賃借人は対抗できないが、建物賃借人には買受けの時から6ヶ月の明渡猶予がある(§395)。⚠土地にはこの猶予はない。
Bの抵当権設定登記後にAがDに対して当該建物を賃貸し、当該建物をDが使用している状態で抵当権が実行され当該建物が競売された場合、Dは競落人に対して直ちに当該建物を明け渡す必要はない。
設定後の賃借人は買受人に勝てる?
建物賃借人は直ちに明渡し?
『Dは競落人に直ちに建物を明け渡す必要はない』は正しい?
記述どおり ○
設定後の賃借人は対抗できないが、建物賃借人には買受けの時から6ヶ月の明渡猶予がある(§395)。⚠土地にはこの猶予はない。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 抵当権設定後の賃借人は買受人に対抗できない(負け)。ただし建物の賃借人には買受けの時から6ヶ月の明渡猶予(§395)。⚠この猶予は建物だけ・土地はナシ。本問は設定後の建物賃借人で「直ちに明け渡す必要なし」=○、土地の事例なら×。