抵当権付きの家は「いつ爆発するか分からない時限爆弾」。その爆弾を消す制度が「抵当権消滅請求」と「代価弁済」です。本試験はこの2つをわざと混ぜて引っかけてきます。攻略の軸は3つだけ。①誰が消せるか(資格)②言い出しっぺは誰か(主導権)③いつまでか(タイムリミット)。これで爆弾処理問題を一撃判定します。
本日のターゲット問題(令和4年 問4 肢4)
A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権が設定・登記された。BがAから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。(※Bは主たる債務者)
抵当権(C)=Bの債務を担保 A(元所有者)━ 甲土地を売却 ━▶ B (買主=第三取得者) =実は「主たる債務者」本人 │抵当権消滅請求できる? ⇒ 第三取得者になっても、主たる債務者・保証人は消滅請求できない(§380) → B(主債務者)は消滅請求×【肢は誤り】
【Step 4】爆弾解除 ─ 3つの軸で仕分け
① 資格(誰が消せる?)§379・380
第三取得者(クリーンな購入者)→ ○ できる
主たる債務者・保証人・連帯保証人 → ✗ 絶対不可(ダミー警告)
本問:買い受けたBは「主たる債務者」=張本人
→ 消滅請求できない …… ✗ 誤り
② 主導権(言い出しっぺ)
抵当権消滅請求 = 第三取得者から「この金で消せ!」
代価弁済 = 抵当権者から「払ったら消してやる」(§378)
③ タイムリミット
消滅請求 = 差押えの効力発生【前】まで(§382)
代価弁済 = 制限なし(抵当権者が納得しているから)
答え:✕(誤り)
抵当権消滅請求ができるのはクリーンな第三取得者だけ。Bは土地を買い受けても主たる債務者=借金の張本人。これを認めると時価だけ払って借金を踏み倒せてズルいので、債務者・保証人・連帯保証人は絶対に不可(§380)。だから本肢は誤り。
§378(代価弁済):抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
§379(抵当権消滅請求):抵当不動産の第三取得者は、§383の定めにより抵当権消滅請求をすることができる。
§380:主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
§382(時期):第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。
§577①(買主の代金支払拒絶):買い受けた不動産に契約不適合の抵当権登記があるときは、買主は抵当権消滅請求の手続が終わるまで、代金の支払を拒むことができる。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:消せるのは第三取得者だけ(債務者・保証人は不可)。言い出しっぺ=抵当権者なら代価弁済/第三取得者なら消滅請求。消滅請求は差押え前まで、代価弁済は時期制限なし。
| 消滅請求できる? | 可否 | 理由 |
| 第三取得者(購入者) | 〇 できる | 不動産流通を守るヒーロー |
| 主たる債務者 | × 不可 | 全額返すのが筋(踏み倒し防止) |
| 保証人・連帯保証人 | × 不可 | 債務者と同じく全額返す義務 |
| 制度 | 言い出しっぺ | タイムリミット |
| 抵当権消滅請求 | 第三取得者(「この金で消せ!」) | 差押えの効力発生前まで |
| 代価弁済 | 抵当権者(「払ったら消してやる」) | 制限なし |
💡 もう一歩(代金支払拒絶権):抵当権付きの不動産を買った買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、売主への代金支払を拒める(§577①)。爆弾解除中は支払いをストップしてよい、という買主の防衛権(平成21年 問10 肢4=○)。
🏋 過去問アルゴリズム道場
A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権が設定・登記された。BがAから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。(※Bは主たる債務者)
誤り ×
消滅請求ができるのはクリーンな第三取得者だけ。Bは主たる債務者=借金の張本人なので絶対不可(§380)。時価だけ払って踏み倒すのを防ぐため。
A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権が設定・登記された。BがAから甲土地を買い受けた場合、Bは抵当不動産の第三取得者として、本件抵当権について、Cに対して抵当権消滅請求をすることができる。(※Bは主たる債務者)
主たる債務者は消滅請求できる?
本肢の結論は?
『主たる債務者Bは第三取得者として抵当権消滅請求ができる』は正しい?
誤り ×
消滅請求ができるのはクリーンな第三取得者だけ。Bは主たる債務者=借金の張本人なので絶対不可(§380)。時価だけ払って踏み倒すのを防ぐため。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 爆弾解除は3つの軸で仕分ける。①資格=消せるのは第三取得者だけ(債務者・保証人・連帯保証人は不可)②主導権=抵当権者からなら代価弁済・第三取得者からなら消滅請求③タイムリミット=消滅請求は差押え前まで・代価弁済は制限なし。本問はBが主たる債務者なので消滅請求できず×。買主は消滅請求の手続中、代金支払を拒める(§577)。