【強迫】過去問を『型』で解く判定フロー

意思表示の順路 7 / 10 強迫
📝 このアルゴで解ける過去問を、肢ごとに○×演習できます
▶ 【意思表示】アルゴで解ける過去問ドリル(5パターン・58肢)
⚖ 意思表示5パターンを貫く1本 ―「落ち度(帰責性)の天秤」
虚偽表示・心裡留保・錯誤・詐欺・強迫で「第三者がどこまで保護されるか」は、バラバラに暗記しなくてもこの1本から導けます:意思表示をした本人(表意者)の落ち度が重いほど、第三者は軽い条件で保護される。
🔴 落ち度MAX=自分からウソの外観を作った(虚偽表示=通謀のウソ/心裡留保=冗談)→ 第三者は善意だけで保護(過失があってもOK。虚偽表示では登記も不要=判例)
🟡 落ち度・中=うっかり/だまされた(錯誤・詐欺)→ 第三者は善意+無過失まで必要
🟢 落ち度ゼロ=おどされた(強迫)→ 第三者保護なし(善意無過失の第三者にも表意者が勝つ)
合言葉:「だまされた人は落ち度がある→善意無過失の人には勝てない。おどされた人は落ち度がない→善意無過失の人にも勝てる」
※取消し系(錯誤・詐欺・強迫)でこの天秤が効くのは、取消しより前に現れた第三者との勝負まで。取消し後に現れた第三者は天秤ではなく登記の早い者勝ち(177条レース・錯誤/詐欺/強迫の各記事の後半Stepで判定)。
天秤から導けない・逐語で覚える3点:①効果の別=虚偽表示・心裡留保は「無効」/錯誤・詐欺・強迫は「取消し」(心裡留保の無効は相手方が悪意/有過失のときだけ・原則は有効) ②錯誤は2020年改正で「無効」→「取消し」に変わった(「無効を主張できる」とあれば現行法では×) ③取消権の期限=「追認できる時から5年」「契約時から20年」で消滅。なお期限内でも、追認できる状態(騙された・勘違いだと気づいた/強迫を脱した)になった後に代金の支払や履行の請求などをすると追認とみなされ、以後取り消せない(法定追認。詳しくは制限行為能力者の記事で)
📖
『強迫』の判断アルゴリズム
判定フロー
『強迫』の判断アルゴリズム
相手が誰であろうと犠牲にして被害者を保護する「最強の取消権」。
ただし、例外となる「罠」と「取消し後の第三者」には要注意。
【前提条件】最強の取消権が消滅する「2つの罠」
強迫の取消権は最強ですが、以下の場合は例外的に × 取消し不可(Aの負け) となります。
アルゴリズムを回す前に、問題文にこのトラップがないか確認してください。
時効(タイムオーバー)
「強迫状態を脱した時」から5年、または「契約の時」から20年が経過している。
法定追認(うっかり承認)
「強迫状態を脱した後」に、Aが代金の一部を払ったり、相手に請求したりした。(※強迫の最中ならセーフ)
【第1部】基本フロー(OS)
強迫は、「誰に強迫されたか」に関わらず取り消すことができ、「善意の第三者」であっても犠牲にして被害者を保護するという強力な効果があります。 強迫のアルゴリズムは非常にシンプルで、「強迫されたら、相手が誰であろうと絶対に取り消して取り戻せる」という最強の被害者保護をイメージしてください。(※取消し「後」の登記勝負を除く)
S1
【当事者間】の効力判定
Q. 表意者Aは、強迫を受けて契約の意思表示をしたか?
YES
【 〇 / 取消し可(取り消すことができる) 】
注意:「初めから無効」ではありません。取り消しの意思表示をして初めて無効になります。
S2
第三者による強迫】の判定
重要:詐欺との違い
Q. 契約相手Bではなく、部外者CがAを強迫した場合、AはBに対して取り消せるか?
YES
相手の善意悪意不問
いつでも 【 〇 / 取消し可 】
理由: おどされたAには落ち度(帰責性)がないため、相手方Bの信頼保護よりもAの保護が優先されます。
S3
【第三者との関係】取消し前か、取消し後か?
Q. Aが強迫を理由に取り消すとして、その物件が既にBから第三者Dに渡っていた場合、Dの登場は取消しの「前」か?
取消し「前」
YES
取消し前の第三者D
Step 4 へ
取消し「後」
NO
取消し後の第三者D
【 早い者勝ち(対抗問題) 】
A
D
先に「 登記」を備えた方が勝つ
※強迫の善意・悪意は関係なし
S4
【取消し前の第三者】Dの「善意」チェック
Q. 第三者Dが善意無過失などの事情があった場合、Aは取り消して取り戻せるか?
YES
【 〇 / Aの勝ち(取り戻せる) 】
第三者Dがどんなに良い人(善意無過失)でも、強迫されたAは必ず勝てます(取り戻せます)。
⚠️ 引っかけ注意
  • 強迫は§96③不適用(詐欺と違い、善意無過失の第三者も保護されない)
  • 第三者詐欺(§96②)も強迫には不適用
  • 「無効」ではなく「取消し」(初めから無効ではない)
  • 取消権の時効に注意:強迫状態を脱した時から5年、または契約時から20年で消滅
  • 強迫状態を脱した後に代金の一部を払う等→法定追認で取消し不可(強迫中に払わされた場合はセーフ)
🏋 このアルゴリズムで解く過去問

💡 この型の背景を理解したい方へ

「なぜ強迫は第三者への対抗も認められるのか?」

型で問題が解けるようになると、条件の「なぜ」が気になり始めます。その答えは解説記事にあります。民法の考え方から理解できます。

📖 強迫の解説記事を読む →
🧠 5パターン横断・結論を思い出す(タップで答え・5記事共通の総まとめ)
虚偽表示(通謀のウソ)=効果は /第三者は だけで保護(過失不問・登記不要)
心裡留保(冗談)=原則 ・相手方が悪意/有過失なら /第三者は で保護
錯誤(勘違い)=効果は (2020年改正)/取消し前の第三者=善意+ で保護
詐欺(だまされた)=効果は /取消し前の第三者=善意+ で保護
強迫(おどされた)=効果は /取消し前の第三者保護 (善意無過失でも表意者が勝つ)
取消し後に現れた第三者=善意悪意ではなく の早い者勝ち(177条レース)
取消権の期限=追認できる時(強迫なら脱した時)から /契約時から で消滅
取消しを主張できるのは のみ(相手方・第三者は不可)
相続人・包括受遺者=§96③の第三者に (当事者の地位をそのまま引き継ぐ一般承継人)
仮装名義人 で177条の第三者に非該当(真の権利者は登記なしで勝てる)
📖 用語ミニ辞典 ― 言葉に詰まったらここ
意思表示(強迫)の型でよく出る専門用語を、やさしい言葉でまとめました。意味に詰まったら戻ってください。
意思表示いしひょうじ
法律上の効果(権利を得る・義務を負うなど)を望んで、それを外に表す行為。
例:「この土地を買います」と申し込む。
この型では 意思表示に問題(うそ・勘違い・だまし・おどし)があると、無効になったり取り消せたりする。
▲ フローへ戻る
強迫きょうはく
おどされて(脅迫されて)こわくなり意思表示をすること。
例:「払わないと危害を加える」と脅されて契約した。
この型では 取り消せる(§96①)。詐欺と違い、強迫は善意の第三者にも取消しを対抗できる。第三者による強迫でも、相手方が知っていたかに関係なく取り消せる。
▲ フローへ戻る
善意・悪意ぜんい・あくい
法律用語。善意=ある事情を「知らない」/悪意=「知っている」。良い・悪いの意味ではない。
例:脅迫の事情を知らずに取引した人は「善意」。
この型では 強迫では、詐欺と違い、善意(無過失)の第三者も保護されない。だから「善意・悪意は関係なし」となる。
▲ フローへ戻る
第三者だいさんしゃ
契約の当事者(表意者と相手方)以外の人。
例:脅されてされた売買を信じて、その物を買ったC・D。
この型では 強迫は、善意の第三者にも取消しを対抗できる(第三者は守られない)。詐欺と正反対なので要注意。
▲ フローへ戻る
無効・取消しむこう・とりけし
無効=はじめから効力がない(追認しても有効にならない)。取消し=取り消すまでは有効で、取り消すと初めにさかのぼって無効になる。
例:虚偽表示・心裡留保は無効、錯誤・詐欺・強迫は取消し。
この型では 強迫は「取消し」。取消し前なら善意の第三者にも対抗できる(詐欺と逆で守りが手厚い)。
▲ フローへ戻る
読み終えたら | 意思表示の順路 7 / 10
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次