本日は「契約が有効か?」ではなく、「アバターの電源がいつ切れる(消滅・終了)か?」という別視点のトラブルに挑戦します。代理権の消滅(§111)と委任の終了(§653)の「外と内のルール」を切り分ける、新しい終了判定アルゴリズムを起動しましょう。
本日のターゲット問題(平成18年 問9 肢2)
(平成18年 問9 肢2)
民法上の委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
肢2
委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。
【委任者(頼んだ人)】
A
(②破産!)
①│委任契約
③│委任契約は終了?
↓
B ━━━━━━━━━━━━━━>
(受任者)
答え:◯(正)
委任者の破産は内のルール(§653②号)で委任終了(タダ働き防止)。外のルール(§111代理権)の直接消滅事由ではないが、委任終了→ドミノ倒しで代理権も消滅
(代理権の消滅事由)
第111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
(委任の終了事由)
第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 概念マップ:「誰に」「何が」起きたか+聞かれているのは外(代理§111)か内(委任§653)かを瞬時にスキャン。
- 死亡:本人・代理人を問わず、外も内もすべて終了
- 破産:
本人(王様)の破産は外(§111)の直接消滅事由ではないが、内(§653)はタダ働き防止で終了する
代理人(アバター)の破産は危険なので外も内もすべて終了 - 後見開始:
本人(王様)の後見開始はどちらも終了しない(アバターが正常なら問題なし)
代理人(アバター)の後見開始は危険なので外も内もすべて終了
⚠️ よくある引っかけ
- 「本人の破産→§111で直接消滅」と書く → ×(§111の直接の消滅事由ではない・委任終了(§653)→§111②経由で結局消滅する)
- 「本人の後見開始→代理権消滅」と書く → ×(後見開始は代理人側のみ消滅事由)
- 「委任者の破産→委任終了」と「本人の破産→代理権消滅」を同じ結論で書く → 主語と外/内の振り分け必須
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
👨🏫:今度は「アバター(代理人)」にトラブル — それも「後見開始」が起きたパターンです。本人と代理人を入れ替えるだけで結論が180度変わります。
【比較対象:平成30年 問2 肢4】
Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
肢4
AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。
【本人】
A
(売主)
①│代理権の授与
│
▼ ③ 売買契約(無権代理?)
B ━━━━━━━━━━━━━━━> C
(代理人) (買主)
②後見開始
答え:◯(正)
代理人Bの後見開始は§111②号で代理権消滅(外のルール直撃)→ 消滅後の契約は無権代理行為。本人A側だったら消滅しない(後見開始は代理人側のみ)
👨🏫:今度は「B(代理人)」にトラブル=「後見開始」。事理を弁識する能力を常に欠く(完全に判断能力を失った)状態だ。そんな危険なアバターは強制終了(代理権消滅)。だから「後見開始の後に契約した」=電源が切れた後(無権代理)に勝手にやった行為。
🙋♂️:「誰に」「何が」起きたかをスキャンすれば、迷わず ○ 正しいですね!
👨🏫:完璧。もしこれが「A(本人)が後見開始の審判を受けた」だったら?
🙋♂️:本人の後見開始は§111の消滅リストにないから「消滅しない」!王様が判断能力を失っても、表舞台のアバターさえ正常なら暴走の危険はないからです。
👨🏫:⚖外と内の天秤を整理。後見開始は外(§111)でも内(§653)でも代理人/受任者側のみ終了事由(本人/委任者側では終了しない)。これに対し死亡と破産は両側で終了事由。条文の文言を正確にスキャンしよう。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖代理・委任の終了判定は「誰に・何が・外か内か」の3軸スキャン。
・外のルール(§111代理権):本人の死亡/代理人の死亡・破産・後見開始 で消滅
・内のルール(§653委任):委任者・受任者の死亡 or 破産/受任者の後見開始 で終了
・両者の最大の違い:本人/委任者の破産・後見開始の扱い(外と内で逆になる)
主語・用語すり替えトラップに引っかからないために、「外と内」を別の生き物として扱う。それが終了判定アルゴの核心です。
→ 次の記事:「例外・事後処理編 — 終わった後の罠をスキャンせよ!表見代理と辞任の自由」