【抵当権・根抵当権】Step 5:法定地上権の例外トラップ ─ 基準は1番抵当権・登記より実体

📘 深掘り解説 | 抵当権の順路 3 / 4 Step 5:法定地上権の例外トラップ(1番基準・実体重視) のくわしい解説です
この記事は〈抵当権の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。

法定地上権の引っかけは2種類。①「1番か2番か」=シャッターを切るのは常に1番抵当権。1番設定時に別所有なら、2番で同一所有になっても不成立。②「登記名義」のダミー=法定地上権は登記名義より実体(本当に同一所有か)を重視。この2つの拡張ルールで最難関トラップを一撃判定します。

目次

本日のターゲット問題(平成21年 問7 肢3/肢4)

①1番基準(平成21年 問7 肢3)
土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

🗺 登場人物の関係
1番抵当の設定時は土地と建物の所有者が"別" → 2番設定時に同一になった
→ 法定地上権は"1番抵当"の設定時が基準。1番時に別人なら成立しない(肢は誤り)

②登記のダミー(平成21年 問7 肢4)
土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

🗺 登場人物の関係
土地所有者が地上建物を購入(移転登記はまだ)→ その後に土地へ抵当設定 → 実行
→ 所有者の同一は"実体"で判断=登記がなくても法定地上権は成立する
【Step 5】法定地上権の例外トラップ ─ 拡張2ルール

  拡張① シャッターは常に「1番抵当権」基準
     1番設定時に別所有 → 2番で同一所有でも不成立
     (1番銀行の「更地評価」の期待を守る)
     肢①「成立する」 …… ✗ 誤り

  拡張② 登記名義より「実体」を重視
     登記前でも、実体として同一所有なら成立
     肢②「登記前でも実体同一→成立」 …… ○(登記はダミー)

答え:①✕(誤り)/②◯(正しい)

🎯 この問題の核心

①基準は常に1番抵当権。1番設定時に別所有なら、2番で同一所有でも不成立(1番銀行の更地評価の期待を守る)→肢①は誤り。②法定地上権は登記名義より実体を重視。登記前でも実体が同一所有なら成立(登記はダミー情報)→肢②は正しい。

🧭 判定軸=「シャッターを切るのは常に1番抵当権」。まず自分で解いてみよう
法定地上権の例外トラップは2つの拡張ルール。①基準は常に1番抵当権の設定時 ②同一所有かは登記名義でなく実体。似た顔の肢でも、この2軸で全部さばけます。
🙋‍♂️
生徒:まず本問(平成21年 問7 肢3)から。1番抵当権の設定時は土地と建物が別所有でも、2番設定時に同一所有になれば、実行で法定地上権が成立する ── これですよね? 実行の時に同じ持ち主なんだから。
👨‍🏫
講師:引っかかったね。答えは×だ。シャッターを切る=基準になるのは常に「1番抵当権」の設定時。1番銀行が貸した瞬間は別所有だから、この土地は『他人の家は載らない=更地同然に高く売れる』と評価して融資した。あとから2番の都合で法定地上権を発生させたら、1番銀行の期待が裏切られる。だから1番設定時に別所有なら、2番で同一所有になっても不成立。肢3の『成立する』は誤りだ。
🙋‍♂️
生徒:なるほど…基準は『実行の時』じゃなく1番設定時なんですね。じゃあ登記名義が食い違っているときは、どう見るんですか?
👨‍🏫
講師:いい着眼だ。もう1問いこう。平成21年 問7 肢4:借地人から建物を買った土地所有者が、建物の移転登記をする前に土地へ抵当権を設定した。実行で所有者が分かれたとき、地上建物に法定地上権は成立する ── ○か×か?
🙋‍♂️
生徒:建物の登記名義がまだ前の人のまま…登記が違うから別所有あつかいで×、不成立じゃないですか?
👨‍🏫
講師:そこが登記というダミーだ。答えは。法定地上権が見るのは表向きの登記名義ではなく『実体として本当に同一所有か』。この人は建物を買って実体上はもう所有者(登記が未了なだけ)。シャッターには間違いなく同じ持ち主の家が写っている。だから移転登記前でも成立。肢4の『成立する』は正しい。
🙋‍♂️
生徒:つまり…基準時は常に1番抵当権の設定時、同一所有かどうかは登記でなく実体で見る。この2軸だけで例外トラップは全部さばけるんですね。
👨‍🏫
講師:その通り。『1番で別所有』は本物の例外で不成立、『登記名義が違うだけ』は見せかけのダミーで成立。この2つを見分ければ、最難関のトラップも一撃で切れる。
💡 深掘り:
「基準時=常に1番抵当権の設定時」(1番で別所有なら、2番で同一所有になっても不成立=1番銀行の更地評価の期待を守る)。「同一所有の判定=登記名義でなく実体」(移転登記前でも実体が同一所有なら成立し、登記はダミー情報)。この2軸だけで法定地上権の例外トラップは全て見抜けます(§388)。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
1番設定時に別所有でも、2番で同一所有になれば法定地上権が成立する(平成21年 問7 肢3)×:基準は常に1番抵当権の設定時。1番で別所有なら2番で同一所有になっても不成立(1番銀行の更地評価の期待を守る/§388)。
建物の移転登記前でも、実体が同一所有なら法定地上権は成立する(平成21年 問7 肢4):【逆罠】登記名義がまだ違っても、法定地上権は実体を重視。設定時に実体として同一所有なら移転登記前でも成立(登記はダミー/§388)。

§388(法定地上権):土地及び建物が同一所有者に属する場合に、抵当権の実行で所有者を異にするに至ったときは、建物に地上権が設定されたものとみなす。

【判例①1番基準】1番抵当権設定時に土地と建物が別所有だった場合、後順位抵当権設定時に同一所有となっても、1番抵当権者の期待保護のため法定地上権は成立しない

【判例②実体重視】法定地上権の「同一所有」は、建物の登記名義が別人・未登記でも、実体として同一所有なら成立する。

暗記ポイント

🎯 試験本番ではこう即答する①基準は常に1番抵当権(1番で別所有→後で同一でも不成立)。②登記名義より実体重視(登記前でも実体同一なら成立)。登記名義はダミー情報。

判定ポイント結論理由
1番で別所有(2番で同一所有に)× 不成立1番銀行の更地評価の期待を守る。基準は常に1番
実体は同一所有・登記名義が違う〇 成立法定地上権は実体を重視。登記はダミー

🏋 過去問アルゴリズム道場

Step 5:法定地上権
例外トラップ① ─ 基準は常に1番抵当権
平成21年 問7 肢3
📋 問題文

①1番基準(平成21年 問7 肢3)
土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

🔑 条件の抽出
時系列1番設定時=別所有/2番設定時=同一所有
問い法定地上権は成立するか
Step① 基準は常に1番抵当権
シャッターは常に「1番抵当権」基準。1番設定時に別所有なら、2番設定時に同一所有になっても不成立。1番銀行の「更地評価(別所有なら法定地上権なし)」の期待を守るため。
Step② だから誤り
1番設定時に別所有→2番で同一所有でも不成立。本肢「成立する」は誤り(×)
結論

誤り ×

基準は常に1番抵当権の設定時。1番設定時に別所有なら2番で同一所有になっても不成立。1番銀行の更地評価の期待を守るため。

📋 問題文

①1番基準(平成21年 問7 肢3)
土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっていたとしても、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一人となれば、土地の抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

Step① 基準は常に1番抵当権

判定の基準時は?

Step② だから誤り

本肢の結論は?

最終判定

『1番設定時に別所有でも、2番で同一所有になれば法定地上権が成立する』は正しい?

結論

誤り ×

基準は常に1番抵当権の設定時。1番設定時に別所有なら2番で同一所有になっても不成立。1番銀行の更地評価の期待を守るため。

Step 5:法定地上権
例外トラップ② ─ 登記より実体を重視
平成21年 問7 肢4
📋 問題文

②登記のダミー(平成21年 問7 肢4)
土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

🔑 条件の抽出
状況建物購入後・移転登記前に土地に抵当権設定
問い登記がなくても法定地上権は成立するか
Step① 登記より実体重視
法定地上権は登記名義より「実体」を重視。設定時に実体として同一所有なら、移転登記が済んでいなくても成立する(登記はダミー情報)。
Step② だから成立
借地人から建物を買った土地所有者が、移転登記前に土地に抵当権を設定→設定時は実体として同一所有→法定地上権は成立。本肢「成立する」は
結論

記述どおり ○

法定地上権は登記名義より実体を重視。設定時に実体として同一所有なら、移転登記前でも成立する(登記はダミー情報)。

📋 問題文

②登記のダミー(平成21年 問7 肢4)
土地の所有者が、当該土地の借地人から抵当権が設定されていない地上建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至ったときは、地上建物について法定地上権が成立する。

Step① 登記より実体重視

判定で重視するのは?

Step② だから成立

移転登記前でも成立する?

最終判定

『建物の移転登記前でも、実体が同一所有なら法定地上権が成立する』は正しい?

結論

記述どおり ○

法定地上権は登記名義より実体を重視。設定時に実体として同一所有なら、移転登記前でも成立する(登記はダミー情報)。

【まとめ】📌 この記事の核心

📌 この記事の核心
⚖ 法定地上権の例外トラップは2つの拡張ルールで処理。①シャッターは常に1番抵当権基準(1番で別所有なら後で同一所有でも不成立=1番銀行の期待保護)。②登記名義より実体を重視(登記前でも実体同一なら成立)。本問は肢①(2番基準で成立)=×、肢②(実体同一で成立)=○。


読み終えたら | 抵当権の順路 3 / 4
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