【土地工作物責任】過去問を『型』で解く判定フロー

土地工作物責任の順路 3 / 7 土地工作物責任の型
過去問で腕試し
このアルゴで解ける土地工作物責任の過去問を、論点別に36肢そろえました
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ここは多くの人が正解する基本問題。だからこそ”落とすと痛い”
このカテゴリの実態は「不法行為パック」(§717土地工作物+§715使用者責任+§719共同不法行為+§724時効)。合格者のほとんどが得点する分野。狙うのは満点ではなく、たった1つの引っかけ(占有者は注意を怠れば責任/所有者は無過失でも責任/業者へ求償できる/人身は時効5年)を外さないこと第1部フローを過去問で何度も回せば、その引っかけワードを自分で見抜けるようになります。
このアルゴの本体は第1部フロー(占有者→所有者のバケツリレー)です。過去問で何度も回すと本番でも解けるようになります(得点への近道)。ダッシュボードはフローを回した結論を点検・確認する一覧表。その引き方は記事末尾に実演(🔎 3ステップで判定する手順)を付けました。
🧭 Step 0|現在地スキャン まずここだけ見る
肢を読んだら、最初に「①占有者か所有者か(バケツリレー) → ②業者・求償の話か → ③時効の話か」を見る。それで入口(Step)が1つに決まります。
占有者・所有者・賃借人・大家・無過失・事故時点 Step 1:占有者→所有者のバケツリレー占有者は注意で免責/所有者は無過失
請負業者・施工業者・§709・求償・注文者 Step 2:責任主体と求償業者は§717の外=§709
時効・3年・5年・人身・20年 Step 3:消滅時効人身は5年に延長
使用者・従業員(被用者)・事業の執行 Step 4:使用者責任§715・外形標準+求償の限度
数人が共同で・複数の加害者 Step 5:共同不法行為§719・連帯して全額
🤔 迷ったら:まずStep 1「占有者→所有者のバケツリレー」(占有者は注意で免責・所有者は無過失責任)。次にStep 2で§709の業者・求償、最後にStep 3で時効(人身5年)。
法律要件・判定アルゴリズム
土地工作物責任』の判断
責任の所在は「占有者 ➡ 所有者」のバケツリレー!
第1部:基本フロー(全体地図・OS)
第1次:占有者
(賃借人など)
バケツリレー
第2次:所有者
(オーナーなど)
1①
登場人物の仕分け
Q. 問題文の登場人物が、対象の建物等に対してどういう立場か?
占有者 (せんゆうしゃ)
実際にそこを使って生活している人
(賃借人、店子など)
➡ Step 1-②へ進む
所有者 (しょゆうしゃ)
その建物等の持ち主
(大家さん、オーナーなど)
1②
第1次責任者(占有者)の過失チェック
Q. 占有者は「損害の発生を防止するのに必要な注意」をしていたか?
二段構えの対句で覚える:占有者が責任を負うとき ➡ 所有者は負わない/占有者が注意を尽くしてセーフのとき ➡ 所有者が負う(無過失でも)——「両方負う」「どちらも負わない」はない(H13問10肢3)
YES きちんとしていた
占有者は免責 (責任を逃れる)
➡ バケツのパスが回り、Step 1-③の所有者へ!
NO していなかった
第一走者で決着!
占有者が損害賠償責任を負う
占有者が免責された場合
1③
第2次責任者(所有者)のチェック
無過失責任
Q. 所有者は「自分は必要な注意を完璧にしていた」と証明すれば責任を逃れられるか?
NO!
× 絶対に責任を逃れることはできない
所有者が責任を負います。所有者の責任は「無過失責任」であり、被害者を泣き寝入りさせないための絶対ルールです。
2
本当の悪者への反撃(求償権)
Q. もし建物の欠陥が「施工業者の手抜き工事」によるものだった場合、被害者に賠償金を支払った占有者または所有者はどうなるか?
払った分を返せ!と求償する(取り立てる)ことができる
損害の本当の原因を作った施工業者などに対して、ツケを回すことができます。
第2部:トリガー・ダッシュボード(決め手編・武器庫)
Quick_Reference.sys
問題文のキーワードでフローの結論を確認
占有者」+「必要な注意をしなかった 適用される論点第1次責任(占有者) ルール・結論(決め手ワード) 【第1の防波堤決壊 🌊】占有者が負う(〇)
まずは使っている人が責任を取る!
占有者」+「必要な注意をしていた 適用される論点第1次責任の免責 ルール・結論(決め手ワード) 【占有者はセーフ 🛡️】責任を負わない(×)
ちゃんと注意していれば許される!
所有者」+「必要な注意をしていた 適用される論点第2次責任(無過失責任) ルール・結論(決め手ワード) 【オーナーは逃げられない ⛓️】所有者が負う(〇)
所有者は無過失責任で絶対アウト!
施工業者の手抜き工事」+「求償 適用される論点求償権の行使(§717③・占有者/所有者→真の原因者) ルール・結論(決め手ワード) 【真の悪者にツケを回す 👊】求償できる(〇)
被害者に払った後で、手抜き業者から取り立てろ!(こちらは全額OK)
事業の執行につき」+「従業員(被用者)の不法行為」 適用される論点使用者責任(§715) ルール・結論(決め手ワード) 【会社も連帯で責任 🏢】使用者も負う(〇)
外形から職務に見えればOK(外形標準)。被用者自身も§709責任=被害者はどちらにも全額請求できる。使用者→被用者の求償(§715③)は信義則上相当な限度まで=「2分の1」等の割合断定は誤り(H18問11肢4)。被用者→使用者への逆求償も可(判例)
注文者」+「請負人の工事で損害」 適用される論点注文者の責任(§716) ルール・結論(決め手ワード) 【注文・指図に過失がなければ免責 📝】責任を負わない(×)
注文者は§717の占有者・所有者ではない=§716で判定(H8問6肢1)
数人が共同で不法行為」 適用される論点共同不法行為(§719) ルール・結論(決め手ワード) 【全員が全額 👥】連帯して責任(〇)
「持分・割合に応じて」は×=被害者はどの加害者にも全額請求できる
3年・5年・20年」「時効により消滅」 適用される論点消滅時効(§724) ルール・結論(決め手ワード) 【ダブルタイマー ⏱】知った時から3年(人身は5年)/行為の時から20年
「人身も3年」「10年」「1年」は×=Step 3で判定
➕ Step 4・Step 5|周辺の不法行為ミニ型
使用者責任(§715)・共同不法行為(§719)の肢はここで取る。Step 3(時効)の数字もここに常時表示。
Step 4|使用者責任(§715)
【成立を判定(上から順に)】
① 被用者に§709(不法行為)が成立しているか? ─ NOなら使用者も責任なし(大前提)
② 「事業の執行について」か?=外形標準説(外形上職務に見えればOK・相手が悪意/重過失なら×)
③ 「選任・監督に相当の注意」をしたか? ─ YESなら免責(但書。実務ではほぼ認められない=「注意していても当然に責任」も×)
【成立後の効果(出たら引く参照)】
・被害者は使用者・被用者の双方に全額請求できる(不真正連帯=同じ損害に複数人が並んで全額責任・連帯債務の絶対効ルールは適用されない)
・不真正連帯は相対効=1人の履行請求時効消滅他方に影響しない
・求償:使用者→被用者は信義則上相当な限度まで(割合の断定は×)/被用者→使用者の逆求償も可(判例)
Step 5|共同不法行為(§719)
・数人が共同で不法行為 ➡ 連帯して賠償責任
・被害者はどの加害者にも全額請求できる(「各自の持分・割合に応じてのみ」は×)
・賠償した加害者は、他の加害者に過失割合に応じて求償できる
・ここも不真正連帯=相対効 ➡ 1人への履行請求・1人の時効消滅は他の加害者に影響しない
Step 3|消滅時効(§724・常時表示版)
・損害と加害者を知った時から3年(主観)。「知った時」=現実に認識した時(判例)
人身(生命・身体)侵害は5年に延長(§724の2)
・行為の時から20年(客観・知らなくても消滅)
・「1年」「10年」「人身も3年」が出たら×

🔎 ダッシュボードの「引き方」:3ステップで判定する手順
早見表は”引き方”を知らないと使えません。実際の本試験(令和3年 問8)で、キーワード→該当行→即答 を実演します。
手順は3ステップだけ:① キーワードを拾う → ② 上の表で該当行を引く → ③ 結論をそのまま当てる
実演A(令和3年度 問8 肢1=この問の正解肢)
肢:「Aが甲建物を賃借している(=占有者)場合、Aは保存の瑕疵による損害発生の防止に必要な注意をしなかったとしても、Bに対して不法行為責任を負わない。」
  1. キーワードを拾う:「占有者(賃借人)」+「必要な注意をしなかった」
  2. 表を引く:→ 【占有者+注意を怠った → 占有者が責任を負う(〇)=第1の防波堤決壊】
  3. 即答:注意を怠った占有者は責任を負う → 「負わない」は×(誤り)=この問の正解
実演B(令和3年度 問8 肢2)
肢:「Aが甲建物を所有している場合、Aは保存の瑕疵による損害発生の防止に必要な注意をしたとしても、Bに対して不法行為責任を負う。」
  1. キーワードを拾う:「所有者」+「必要な注意をしていた」
  2. 表を引く:→ 【所有者は無過失責任。必要な注意をしても責任を負う(〇)=オーナーは逃げられない】
  3. 即答:所有者は無過失でも責任を負う → この肢は○(正しい)
💡 コツ:まず事故時点で現に占有/所有しているかを確認(元所有者は§717の対象外)。占有者=注意で免責/所有者=無過失責任、を表で引くだけ。表と同じなら○、逆なら×。
🧠 数字・判定順を思い出す(タップで答え)
占有者(第1次)=損害防止に をしていれば免責
所有者(第2次) 責任=注意していても免れられない
時効(§724)=知った時から (人身は に延長)/行為の時から (「1年」「10年」「人身も3年」は×)
使用者責任§715の判定順=①被用者に が成立→②事業の執行= 説(相手が悪意・重過失なら×)→③選任・監督に相当の注意なら免責
使用者→被用者の求償 まで(「2分の1」等の割合断定は×)
共同不法行為(§719)=連帯して (「持分・割合に応じて」は×)
不真正連帯 =1人への履行請求・1人の時効消滅は他方に影響しない
🛡️ 落とさない型の戦い方:主役は確実に・枝葉は△で保留
確実に取る主役=占有者→所有者のバケツリレー(占有者は注意で免責/所有者は無過失責任)・施工業者への求償・請負人の§709直接責任と注文者§716・人身は時効5年/事故から20年。ここは合格者の多くが正解する基本=落とすと痛い
一方、「現に占有/所有か」の複雑な人物関係・竹木の栽植/支持の瑕疵・他制度(請負・相続)と融合した肢は、見たことがなければ△で保留して次へ枝葉を全部取ろうとして時間を溶かさないことが、満点より価値があります。
📖 用語ミニ辞典 ― 言葉に詰まったらここ
土地工作物責任の型でよく出る専門用語を、やさしい言葉でまとめました。意味に詰まったら戻ってください。
土地工作物責任どちこうさくぶつせきにん
建物などの「土地の工作物」の欠陥で他人に損害が出たときの責任(§717)。
例:古いブロック塀が倒れて通行人がケガをした。
この型では まず占有者、占有者が責任を免れたら次に所有者、という2段階で考える。
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工作物こうさくぶつ
土地に接着して人工的に造られた物。
例:建物、塀、看板、橋、トンネルなど。
この型では 竹木の栽植・支持の瑕疵も同じルール(§717②)。
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設置・保存の瑕疵せっち・ほぞんのかし
工作物の造り方(設置)や、その後の維持管理(保存)に欠陥があること。
例:手すりが最初から弱い(設置の瑕疵)、後に腐って外れた(保存の瑕疵)。
この型では この瑕疵が損害の原因であることが責任の前提。
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占有者せんゆうしゃ
その工作物を実際に支配して使っている人(賃借人・店子など)。
例:借りて住んでいる人、店を借りている人。
この型では 第1次の責任者。ただし「損害の発生を防ぐのに必要な注意をした」と証明できれば責任を免れる(免責あり)。
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所有者しょゆうしゃ
その工作物の持ち主(大家・オーナーなど)。
例:建物のオーナー、塀の持ち主。
この型では 占有者が免責されたとき、第2次の責任者になる。所有者は注意をしても免れられない=無過失責任。
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使用者責任しようしゃせきにん
従業員が仕事中に他人に与えた損害を、雇い主(使用者)が負う責任(§715)。
例:会社の社員が業務中の事故で他人にケガをさせた。
この型では Step 4。「事業の執行について」かは外形(見た目)で判断する(外形標準説)。使用者は被用者に求償できる(信義則上相当な範囲)。
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共同不法行為きょうどうふほうこうい
複数人が共同して他人に損害を与えること(§719)。
例:数人が一緒に建物を壊して損害を出した。
この型では Step 5。加害者全員が連帯して全額の責任を負う(不真正連帯)。
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求償きゅうしょう
いったん全額を払った人が、本来負担すべき他の人に「立て替え分を返して」と請求すること。
例:所有者が払った後、本当に悪い工事業者に請求する。
この型では 占有者・所有者は、損害の真の原因者(工事業者など)がいれば、その者に求償できる(§717③)。
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