土地工作物責任の順路 6 / 7 Step3 消滅時効のダブルタイマー
工作物責任が成立すると、次の関門は「いつまで請求できるか?」です。不法行為の消滅時効はダブルタイマー制——主観タイマー(知った時から3年)と客観タイマー(不法行為時から20年)。しかし2020年改正で、人の生命・身体の侵害については主観が3年→5年に延長されました(§724の2)。物損のままだと3年、ケガなら5年——タイマーの設定が変わるので、要注意です。
目次
本日のターゲット問題(令和3年 問8 肢4)
本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。
【Step 3】消滅時効のダブルタイマー
Q. 不法行為の消滅時効は?
① 主観タイマー(短い・損害+加害者を知った時から)
原則:3年(§724①)
例外:人の生命・身体の侵害なら 5年(§724の2)★本問
→ 2020年改正で延長
② 客観タイマー(長い・不法行為時から)
一律:20年(§724②)
人身侵害でも 20年は維持
本問:「壁が崩れて通行人Bがケガ」=人の身体侵害
→ §724の2で主観タイマーは5年
→ 「知った時から5年で時効消滅」は正しい → ○
答え:◯(正しい)
🎯 この問題の核心
人の生命・身体侵害は§724の2で主観タイマー3年→5年に延長。客観の20年は維持。記述の通り。
🧭 判定軸=「被害は人身か物損か」で消滅時効の長さが決まる。まず自分で解いてみよう
時効は「時間が経つと権利が消える」ルール。でも2020年改正は、ケガや死亡だけを特別扱いして被害者に準備期間を与えました。まず「被害は人か物か」を見分けてから、自分で○×に答えてみよう。
🙋♂️生徒:まず本問(令和3年 問8 肢4)から。壁が崩れて通行人Bがケガ。「損害及び加害者を知った時から5年で時効消滅」──不法行為の時効って3年のはずだから、5年は長すぎ。これ×ですよね?
👨🏫講師:そこが罠。答えは○。たしかに原則の主観タイマーは3年(§724①)だが、人の生命・身体の侵害は2020年改正で3年→5年に延長された(§724の2)。Bはケガ=人身侵害だから主観タイマーは5年。「知った時から5年で消滅」は記述どおり正しい。「時効=3年」と反射した人がこぼす肢だよ。
🙋♂️生徒:なるほど…人身だけ5年なんですね。じゃあ客観タイマーの20年は?人身なら、そっちも延びるんですか?
👨🏫講師:いい着眼。客観は延びない。改正で動いたのは主観(3→5)だけで、客観は人身でも一律20年(§724②)のまま。……では追い込みを一問。同じ壁の崩落で、今度は通行人のスマホだけ壊れた(物損)ケース。この損害賠償請求権は「知った時から5年行使しないと時効消滅する」。○か×か?
🙋♂️生徒:えっと…さっき「改正で5年」って覚えたばかりだから…物損も5年で○…?
👨🏫講師:引っかかったね。答えは×。5年に延びるのは人身だけ。物損は§724①のまま主観3年だ。ケガをしたBは5年、スマホが壊れただけの人は3年──同じ事故でも「被害が人か物か」で時効の長さが変わる。ここを仕分けられるかが本番の勝負どころ。
🙋♂️生徒:整理できました。まず被害は人身か物損かを見て、主観タイマーを人身5年・物損3年に仕分ける。客観は誰でも一律20年で動かさない。この2軸だけ見ればいいんですね。
👨🏫講師:その通り。「時効=3年」と反射しないこと、そして延びるのは主観だけ・客観は20年で不動。この2点を、似た顔の肢に当てるだけだ。
💡 深掘り:
判定軸=「被害は人身か物損か」。人身侵害なら主観タイマーは5年(§724の2)、物損なら3年(§724①)。一方客観タイマーは人身・物損を問わず一律20年(§724②)で不変。「時効=3年」の反射と「人身なら客観も延びる」の思い込みが二大罠。この2軸だけで消滅時効のひっかけは全てさばけます。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
壁の崩落でケガをしたBの損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から5年行使しないと時効消滅する(令和3年 問8 肢4) → ○:人身侵害は§724の2で主観タイマーが3年→5年に延長。記述どおり正しい。
人の生命・身体を害する不法行為では、客観タイマーも20年→延長される → ×:延びたのは主観だけ。客観は人身でも一律20年のまま(§724②)。
【逆罠】物損(スマホの損壊)の損害賠償請求権は、知った時から3年行使しないと時効消滅する → ○:5年に延びるのは人身だけ。物損は§724①のまま3年で正しい。「何でも5年」と覚えた人が誤って×を付ける逆罠。
§724(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効):不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
二 不法行為の時から20年間行使しないとき。
§724の2(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効):人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。
【ポイント】主観3年+客観20年が原則。人身侵害は主観5年に延長(客観20年は維持)。改正で被害者保護を強化。
土地工作物責任 / Step 3:消滅時効(人身は5年延長)
ケガなら主観タイマーは5年(改正で3→5へ延長)
令和3年 問8 肢4
📋 問題文
本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。
🔑 条件の抽出
被害B=壁の崩落で重傷を負った(人の身体への侵害)
記述「知った時から5年」と主張
Step 3:被害の種類で時効が変わる
不法行為の消滅時効はダブルタイマー。①主観タイマー=知った時から3年(§724①)。②客観タイマー=不法行為時から20年(§724②)。人の生命・身体侵害の場合は主観が3年→5年に延長(§724の2・改正で被害者保護強化)。客観の20年は維持。
結論
○(正しい)
§724の2で人の生命・身体侵害の主観タイマーは3年→5年に延長。記述の通り。客観の20年は維持。
📋 問題文
本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。
Step 3:被害の種類で時効が変わる
人身侵害の主観タイマーは何年?
最終判定
「人身侵害は知った時から5年で時効消滅」は正しい?
結論
○(正しい)
§724の2で人の生命・身体侵害の主観タイマーは3年→5年に延長。記述の通り。客観の20年は維持。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:不法行為の時効を見たら「被害は人身か物損か」を仕分ける。人身→主観5年・客観20年/物損→主観3年・客観20年。「人身でも3年」は改正前の罠で即×。
- 主観タイマー:知った時から起算。物損3年・人身5年(§724の2)
- 客観タイマー:不法行為時から起算。一律20年(人身でも同じ)
- 2020年改正で主観タイマーが3→5年に延長(人身のみ)
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ Step 3は消滅時効のダブルタイマー。人身侵害は主観5年に延長、客観20年は維持。物損なら主観3年。「人身でも3年」は改正前の知識で即×。これで土地工作物責任の3ステップ完結。
🎉 土地工作物責任シリーズ全3回 完結!
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