【賃貸借】総合演習①:借地 ─ R7問11を地図で解き切る

📘 深掘り解説 | 賃貸借の順路 6 / 12 総合演習①:借地(R7問11を地図で解き切る) のくわしい解説です
この記事は〈借地の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。

総合演習では、試験委員が複数の論点を1つの長文問題に巧妙に混ぜ込んできます。ここからは「Aの場合は…でもBの場合は…」と悩む感情を捨て、サイボーグのように4ステップで直列処理するだけ。まず「どの型か」で「ここは借地の世界だ」と現在地を確定させれば、4つの肢はただの記号のパズルに変わります。借地(更新・対抗要件・定期借地)のミックス問題を斬ります。

目次

本日のターゲット問題(総合演習①)(令和7年度 問11)

AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

肢1 甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる。

肢2 本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。

肢3 本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。

肢4 本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。

🗺 登場人物の関係
    ① 借地契約(建物所有目的)
 A(地主)━━━━━━━━━━━▶ B(借地人)
  │               │建物を建てる
  │③ 甲土地をDに売却      ▼
  ▼       ②建物の登記=配偶者C名義
 D(新地主)     (B自身の名義ではない)
  ▲
  └── Bは借地権をDに対抗できる?

⇒ 借地の対抗力(借地借家法§10)は“借地人B自身の名義”の建物登記が必要
  C(配偶者)名義ではDに対抗できない【肢は誤り=×】
【総合演習のサイボーグ処理】4ステップ
  ① 🔑 キーワードを探す
  ② 🗺 Step1から順にたどりルートを確定
  ③ ⚡ 確定ルートの基本ルール適用(必要なら武器発動)
  ④ 🎯 判定

  どの型か:土地+建物所有目的
        → 全肢【🏗️借地の型】で戦う(借家を混ぜるな)

  肢1 対抗要件 → 配偶者名義はNG(マイネームの盾)→ ×
  肢2 減額不可特約 → 借地でも借主に不利=無効 → ×
  肢3 事業用でも50年 → 一般定期借地権=書面OK → 〇 ★正解
  肢4 居住用20年 → 普通借地権(最低30年強制)→ ×

答え:正しいものは肢3

🎯 この問題の核心

前提文「土地+建物所有目的」で全肢が借地の世界に確定する。あとは上から順にフローを通すだけ。正解は肢3=「専ら事業用でも期間が50年なら一般定期借地権=書面でOK」。「事業用=公正証書」と全体を感情で見ると罠にハマる。各肢の詳細は下のアコーディオンへ。

🧠 なぜそうなる?(サイボーグ処理のリーガルマインド)

⚖ 総合問題は「知っている知識に飛びつかず、地図を上から順にたどる」のが鉄則。自分の現在地(土俵)を間違えると、どんな強力な武器も逆効果になります。

🙋‍♂️
生徒:「先生、総合問題はどう手をつければ?」
👨‍🏫
講師:「いきなり知識に飛びつくな。必ずアルゴを【どの型か】から順にたどってフィルターを通す。今回の前提文『A所有の甲土地につき建物の所有を目的として…賃貸借契約』を「どの型か」に放り込め。対象は『土地』で『建物所有目的』だ。」
🙋‍♂️
生徒:「ナビの指示は……民法ではなく借地借家法の【🏗️借地の型】へ進め、ですね!」
👨‍🏫
講師:「そうだ。これで全部の肢が【🏗️借地の型】のルールで戦うことが確定した。絶対に『借家』のルールを混ぜるな。あとは各肢を①キーワード→②上から順にルート確定→③ルール適用(必要なら武器発動)→④判定の4ステップで連続斬りするだけ。感情を捨ててサイボーグになれ。」
🙋‍♂️
生徒:「なるほど!『ここは借地の世界だ』と最初に確定させておけば、借家の特例(定期借家の減額不可特約など)を混ぜられても騙されないんですね!」

暗記ポイント

🎯 試験本番ではこう即答する

⚖️ 暗記メモ:総合問題は①🔑キーワード→②🗺Step1から順にルート確定→③⚡基本ルール適用(必要なら武器)→④🎯判定のサイボーグ4ステップ。まず「土地+建物所有目的=借地の世界」と現在地を固定。借地のミックスで狙われる罠は次の4つ。

借地の論点正しい結論狙われる罠
対抗要件建物登記は借地人本人名義のみ有効(マイネームの盾)配偶者・子名義でも対抗できる ➡ ×
地代減額不可特約借主に不利で無効(借地でも)定期【借家】の減額不可特約と混同 ➡ ×
定期借地の種類50年以上=一般定期借地権(書面OK)事業用と見て「公正証書必須」 ➡ ×
普通借地の期間最低30年(短く定めても30年に)公正証書なら20年でも有効 ➡ ×

各肢の徹底解剖(4ステップ連続斬り)

👨‍🏫
講師:「では4つの肢を、上から順にフローへ通して連続斬りしていくぞ!」

🎯 肢1の核心

借地の対抗要件=借地上の建物登記は「借地人本人(自己名義)」でなければ対抗力を発揮しない(マイネームの盾)。配偶者C名義の登記では盾が砕け、新地主Dに賃借権を主張できない。「主張できる」とする本肢は×。「家族なんだから可哀想」という感情を挟むと自爆する。対抗要件は冷酷に本人名義のみ。

🎯 肢2の核心

借主に不利な「地代減額請求ができない特約」は、借地の世界でも無効(借主保護の法則・減額編)。試験委員は「定期借家なら減額不可特約が有効になる」という別世界の特例と混同させようとするが、「どの型か」で「ここは借地の世界」と確定していれば騙されない。特約を有効として減額請求できないとする本肢は×

🎯 肢3の核心(正解肢)

「事業用」とあるが期間が50年。事業用定期借地権は「50年未満」なので外れ、一般定期借地権のルートに確定する。一般定期借地権は寛容で公正証書不要・普通の書面でOK。だから「書面で有効に定めることができる」は。「事業用」を見た瞬間「公正証書が絶対!」と早とちりする受験生を狩る極悪トラップを、フローで回避した。

🎯 肢4の核心

目的が「居住用」なので事業用はアウト、期間「20年」なので一般(50年以上)も建物譲渡特約付(30年以上)もアウト。消去法でただの普通借地権に確定。普通借地権の存続期間は最低30年で、20年と定めても強行規定で強制的に30年になる。だから20年経過時点での更新拒絶はあり得ず×。「公正証書を作れば20年特約が有効になる」という幻惑トラップ。

🏋 過去問道場 ― 4手で解く

📖 解説で型を確認 → 🏋 練習で1段ずつ。黄色=判断の手がかり。

アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地・v278
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R7問11肢1|配偶者名義の登記は盾にならない)/黄色=判断の手がかり
対抗

甲土地にBが賃借権の登記をしなくても、Bの配偶者であるCを所有者として登記されている建物が甲土地上に存在する場合には、甲土地がAからDに売却されても、BはDに対して甲土地に賃借権を有していることを主張できる(正しいか?)

🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:前提文に「土地+建物所有目的」とあれば借地で確定。Cという第三者が登場しても借家や転貸ではなく、土地を借りて建物を所有する世界。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の賃借権の登記をしなくても/配偶者であるCを所有者として登記されている建物/Dに対して…主張できる→土地が第三者Dに売られたときに賃借権を対抗(主張)できるかを問う=対抗レーン。
⚖ Step3 判定する
借地権の対抗要件(§10①=マイネームの盾)は『借地権者B自身の名義の建物登記』が絶対条件。
借地の型②:借地権の登記、または借地上の建物に「本人名義」の登記があれば対抗OK。⚠他人名義(配偶者・子)は×=砕け散る。
配偶者C名義はB自身の名義でないため、新所有者Dに借地権を対抗できない(最高裁)。
本肢は「BはDに主張できる」とするが、C名義では対抗できない=×。
✅ Step4 結論

× 誤り

マイネームの盾はB自身の名義が絶対条件(§10①)。配偶者C名義では新所有者Dに対抗できない(最高裁)。「主張できる」とする本肢は誤り。

アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地・v279
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R7問11肢2|借地の地代減額請求は封じられない)/黄色=判断の手がかり
もめごと

本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約有効に定めることができる(正しいか?)

🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:「存続期間50年・更新なし」とあると定期借家の減額不可特約(§38⑨)が頭をよぎるが、ここは土地+建物所有目的=借地の世界。借家のカードを混ぜない。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の地代の減額請求ができない旨の特約/有効に定めることができる→地代の減額請求を特約で封じられるかという特約の有効性=もめごと(§11地代増減請求)レーン。
⚖ Step3 判定する
借地の型③・§11地代増減請求カード:「地代を減額しない」特約は借主に不利=無効(「増額しない」特約は借主に有利=有効)。
借地の地代増減請求権(§11)は片面的強行規定で、定期借家(§38⑨)のような『特約で減額請求を排除できる』仕組みが借地にはない。
一般定期借地権(50年)でも§11は適用される。
本肢は減額不可特約を「有効に定められる」とするが、借地では無効=×。
✅ Step4 結論

× 誤り

借地の地代減額請求権(§11)は片面的強行規定で、定期借家の排除規定(§38⑨)が借地にはない。減額不可特約は無効。「有効に定められる」とする本肢は誤り。

アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地・v280
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R7問11肢3|50年は一般定期借地権・書面でOK)/黄色=判断の手がかり
種類

本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。(正しいか?)

🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:「専ら事業の用」を見た瞬間「事業用定期借地権=公正証書必須」と早とちりしやすい。型は借地で確定。まず期間で種類を見分ける。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の専らBの事業の用に供する建物の所有を目的/存続期間が50年/更新…延長がない旨/書面で…定める→更新なし(=定期)でどの定期借地権か・書面か公正証書かを問う=種類レーン。
⚖ Step3 判定する
借地の型③暗記メモ:事業用定期借地権(§23)は10年以上50年未満。50年は範囲外。
存続期間50年(以上)は一般定期借地権(§22)。一般定期§22・建物譲渡特約付§24は用途自由=事業用建物でも設定できる(非居住限定は事業用§23だけ)。
一般定期借地権(§22)は書面・電磁的記録でよい(公正証書でなくてよい)。更新なし・延長なし・建物買取請求(§13)なしの3点セットを定められる。
本肢は「書面で有効に定められる」とする=一般定期借地権の要件どおり=○。
✅ Step4 結論

○ 正しい

存続期間50年は一般定期借地権(§22)。事業用建物でも用途自由で、書面(公正証書不要)で更新なし・延長なし・建物買取請求なしの3点セットを定められる。記述のとおり正しい(正解肢)。

アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地・v281
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R7問11肢4|居住用20年は30年に強制)/黄色=判断の手がかり
種類

本件契約が公正証書によって行われていれば、専らBの居住の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を20年と定めていても、Aは正当事由があれば、20年が経過した時点で遅滞なく異議を述べて更新を拒絶することができる。(正しいか?)

🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書A所有の甲土地につき建物の所有を目的として一時使用目的ではない賃貸借契約🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:「公正証書」を見ると定期借地権や有効な短期特約を連想しがちだが、公正証書だけでは定期にならない。型は借地で確定し、まず種類を見分ける。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の専らBの居住の用に供する建物の所有を目的/存続期間を20年と定めていても/20年が経過した時点で…更新を拒絶→居住用・20年・更新拒絶=どの種類でその期間は何年か=種類(普通借地の期間)レーン。
⚖ Step3 判定する
借地の型③暗記メモ:普通借地権の存続期間は最初=30年。これより短く定めても定めなくても最低の年数に引き上げ。
居住用建物所有目的で、定期借地権の要件(一般§22は書面で更新なし等/事業用§23は非居住)を満たさないので普通借地権。公正証書でも普通借地のまま。
20年と定めても§3で30年に強制される。20年経過時点ではまだ満了していない。
本肢は「20年が経過した時点で更新を拒絶できる」とするが、満了前で拒絶できない=×。
✅ Step4 結論

× 誤り

居住用建物所有目的は普通借地で、20年と定めても§3で30年に強制される(公正証書でも変わらない)。20年では満了しておらず更新拒絶できない。本肢は誤り。

【まとめ】📌 この記事の核心

📌 この記事の核心
⚖ 総合問題は感情で全体を眺めず、①🔑キーワード→②🗺Step1から順にルート確定→③⚡ルール適用→④🎯判定のサイボーグ4ステップ。まず「土地+建物所有目的=借地の世界」と現在地を固定すれば、借家の特例を混ぜられても揺らがない。借地の頻出4罠=対抗要件は本人名義のみ/減額不可特約は借地でも無効/50年以上は一般定期借地権で書面OK/普通借地は最低30年。正解は肢3。


読み終えたら | 賃貸借の順路 6 / 12
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