📘 深掘り解説 | 賃貸借の順路 6 / 12 事業用定期借地権(公正証書が必須・居住用は不可(§23)) のくわしい解説です
この記事は〈借地の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。
コンビニやファミレスを建てるための、完全プロ仕様のガチガチ契約「事業用定期借地権」。期間が来たら問答無用で更地にして返す最強の契約だからこそ、入口の手続きも最強レベルです。試験委員は「賃貸アパート事業用(実は居住用)」という言葉の罠と「50年ジャスト」の境界線で受験生を狩りにきます。目的と期間の2つを拾うだけで、その言葉遊びを無力化する1問です。
目次
本日のターゲット問題(令和6年度 問11 肢1)
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
肢1 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
【フロー2-1】どの種類の借地権か?
│
①目的は「専ら事業用」か?(居住用はNG)
│
②期間は?
┌──────┴──────────┐
10年以上50年未満 50年以上
↓ ↓
事業用定期借地権 一般定期借地権
↓ ↓
【公正証書】のみ! 書面 or 電磁的記録でOK
(これ以外は無効) (公正証書でなくてよい)
本日の肢1 = 事業用なのに「公正証書による等書面」 → 誤り
答え:×(誤り)
🎯 この問題の核心
専ら事業用・期間20年=事業用定期借地権。建物買取請求権が適用されない点は正しいが、契約形式が問題。事業用定期借地権は「公正証書」でなければ無効(§23③)。「公正証書による等書面(=普通の書面でもよい)」と緩めている本肢は誤り。効果が最強だから入口の手続きも最強(公正証書のみ)。
🧠 なぜこうなる? ― 講師と生徒で”天秤”に乗せる
⚖ ここは「地主に与える強大な権利」と「借地人の不意打ち防止」を量る天秤の世界。なぜ公正証書という最も厳格な形式が要求されるのか、その理由は契約の「最強さ」の裏返しです。
🙋♂️生徒:「先生!事業用定期借地権は期間が終われば確実に更地で返ってくる、地主に最高の契約ですよね。でもなんでわざわざ『公正証書(公証役場のお堅い書類)』じゃないとダメなんですか?普通の契約書にハンコじゃダメ?」
👨🏫講師:「そこが天秤の重要ポイントだ。借地借家法は本来、弱い『借地人』を徹底的に守る法律だ。だがこの契約は、期間が来たら『絶対に更新されない』『建物を買い取れとも言えない(建物買取請求権なし)』、問答無用で更地にして出ていく。」
🙋♂️生徒:「借りる側からすると、めちゃくちゃシビアで不利な契約ですね……。」
👨🏫講師:「その通り。これほどシビアな契約を口約束や適当な紙切れで認めたら、後で『更新できないなんて知らなかった!』という深刻なトラブルになる。だから法律は天秤のバランスをとり、『地主に強大な効力を認める代わりに、公証役場で法律のプロ(公証人)の面前で意思確認し、公正証書として残すこと』を絶対条件にした。守らなければ事業用定期借地権としては無効だ。」
🙋♂️生徒:「アハ体験です!効果が最強だからこそ、入り口の手続きも最強レベル(公正証書のみ)に厳格なんですね!」
👨🏫講師:「ここから引っかけ2連発だ。引っかけ①(令和5年 問11 肢2)——「本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。」○か×か?」
🙋♂️生徒:「『事業用』だから事業用定期借地権=公正証書必須…○? いや、『賃貸アパート事業』って、大家には事業でも住むのは人間=居住用だ。居住用に事業用定期借地権は使えない。一般定期借地権なら書面でよく公正証書は不要=『公正証書で合意しなければならない』は誤り・×!」
👨🏫講師:「その通り。引っかけ②(令和7年 問11 肢3)——「本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。」これは?」
🙋♂️生徒:「『専ら事業の用』だから事業用定期借地権…でも期間が『50年』ジャスト。事業用は50年未満だから、50年になった瞬間に一般定期借地権へ切り替わる。一般定期借地権は書面でOK=『書面で有効に定めることができる』は正しい・○!」
👨🏫講師:「完璧だ。『事業用→公正証書!』の脊髄反射を狩る50年の罠。決め手は目的より期間、を本番まで持っていけ。」
借地借家法 第23条(事業用定期借地権等)
「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合(1項)/十年以上三十年未満として借地権を設定する場合(2項)……
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。」
※居住用は不可。期間は10年以上50年未満。契約形式は公正証書のみ(普通の書面では無効)。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 暗記メモ:特殊契約は問題文から「①目的(事業用か居住用か)」と「②期間(何年か)」の2つだけ拾ってフローに当てはめる。事業用定期借地権=専ら事業用・10年以上50年未満・公正証書のみ。50年以上になった瞬間に一般定期借地権(書面でOK)へ切り替わる。「事業用」を見て脊髄反射で「公正証書!」と決めつけない。
⚠️ 引っかけ注意:①「賃貸アパート事業用」=大家には事業でも住むのは人=居住用なので事業用定期借地権は不可/②「50年ジャスト」は50年未満ではない=一般定期借地権に切替(書面でOK)/③事業用なのに「公正証書による等書面」と緩める罠(→公正証書のみ)。
🙋♂️生徒:「先生!条文(§23)を読んだら、事業用定期借地権の期間で『10年以上30年未満』と『30年以上50年未満』にルールが分かれてました。アルゴリズムみたいに『10年以上50年未満』と一括りでいいんですか?」
👨🏫講師:「よく読み込んでいる!確かに法律上、30年未満は『当然に更新等がなくなる(超強力)』、30年以上は『特約で更新等をなくす』というマニアックな違いがある。だが安心していい。宅建試験で、試験委員はこの『特約か当然か』の違いを直接の×にする理由として出してこない。問われるのは、期間が何年でも『事業用定期借地権は絶対に公正証書!』という絶対条件と、『50年ジャストで一般定期借地権(書面OK)に切り替わる』という境界線の2点だけ。だから本試験では細かい条文差より、目的(居住用はNG)と期間(50年未満か以上か)の仕分けに全集中だ。」
🏋 過去問道場 ― 4手で解く
📖 解説で型を確認 → 🏋 練習で1段ずつ。黄色=判断の手がかり。
アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R6問11肢1 事業用定借は公正証書必須)/黄色=判断の手がかり
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的の借地契約を除く。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。(令和6年度 問11 肢1)
専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、存続期間を20年として借地権を設定する場合、建物買取請求権の規定は適用されず、また、その契約は、公正証書による等書面によってしなければならない。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約 → 🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:駐車場・資材置場(建物を建てない)や一時使用目的は借地借家法の保護外=民法。ただし本肢は柱書に「一時使用目的の借地契約を除く」とあり=借地でOKの保証サイン。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の公正証書による等書面によってしなければならない→契約の方式(書面か公正証書か)=借地権の「種類(普通/定期)」を確定してから方式を当てる問題=種類レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:暗記メモより、事業用定期借地権は『10年以上50年未満・専ら事業用(非居住)・公正証書“必須”(短期も長期も)』。一般定期借地権が『書面・電磁的記録でよい(公正証書でなくてよい)』のと区別する。
当てはめ:専ら事業用・存続期間20年=10年以上50年未満なので事業用定期借地権。よって契約は『公正証書』でなければ無効。
本肢は『公正証書による等書面(=普通の書面でもよい)』と方式を緩めている=公正証書必須に反する=×。なお『建物買取請求権の規定は適用されない』部分は正しい(定期借地は§13建物買取が法律上そもそも適用されない)。
✅ Step4 結論
× 誤り
事業用定期借地権は公正証書が必須。『公正証書による等書面(=書面でよい)』と緩めているので誤り=×。
🧭 Step1 どの型か
この肢が「借地の型」だと分かる柱書の語句はどれ?
🛤 Step2 どの論点か
「公正証書による等書面によってしなければならない」が問うているのはどの論点?
⚖ Step3 判定する
事業用(専ら事業用・20年)の借地権を設定する契約の方式は?
✅ 結論
× 誤り
事業用定期借地権は公正証書が必須。『公正証書による等書面(=書面でよい)』と緩めているので誤り=×。
アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R5問11肢2 賃貸アパートは居住用=事業用定借不可)/黄色=判断の手がかり
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的を除く)。本件契約で建てる建物の目的から、事業用定期借地権(§23)を使えるかを問う。(令和5年度 問11 肢2)
本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約 → 🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:「賃貸アパート事業用」の『事業』という言葉に幻惑されない。アパート経営は大家には事業でも、住むのは人間=『居住用』の建物。事業用定期借地権の『専ら事業用(非居住)』には当たらない。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の公正証書で合意しなければならない→『公正証書で合意』=事業用定期借地権を前提とした方式の主張=どの種類の借地権かを確定する問題=種類レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:暗記メモ⚠用途の罠より、『非居住(事業用)に限る』のは事業用定期借地権§23だけ。一般定期借地権§22・建物譲渡特約付§24は用途自由=居住用でも設定できる。
当てはめ:賃貸アパートは『人が住む=居住用』の建物。よって専ら事業用(非居住)に限られる事業用定期借地権§23は使えない。
本肢は居住用建物(賃貸アパート)について『公正証書で合意(=事業用定期借地権を前提)』としている=§23を設定できない場面なので誤り=×。更新・延長なしを定めたいなら一般定期借地権§22で書面でよく、公正証書は不要。
✅ Step4 結論
× 誤り
賃貸アパートは居住用建物。事業用定期借地権(§23)は非居住に限られるため使えない。『公正証書で合意しなければならない』は前提を誤る=×。
🧭 Step1 どの型か
この肢が「借地の型」だと分かる語句はどれ?
🛤 Step2 どの論点か
「賃貸アパート事業用」という目的の文言は、どの論点を判定させる手がかり?
⚖ Step3 判定する
賃貸アパート(居住用建物)の所有目的で、事業用定期借地権(§23)を設定できる?
✅ 結論
× 誤り
賃貸アパートは居住用建物。事業用定期借地権(§23)は非居住に限られるため使えない。『公正証書で合意しなければならない』は前提を誤る=×。
アルゴリズムによる処理 | 🏗️借地
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(R7問11肢3 50年は一般定期借地権=書面OK)/黄色=判断の手がかり
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(一時使用目的を除く)。専ら事業用・存続期間50年の借地権で、更新なし・延長なし・買取請求なしの特約を書面で定められるかを問う。(令和7年度 問11 肢3)
本件契約が専らBの事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間が50年である場合、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨、並びにBが借地借家法第13条の規定による建物の買取りの請求をしない旨の特約を書面で有効に定めることができる。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約 → 🏗️借地(土地を借りて建物を所有)
⚠ ひっかけ:「専ら事業用」を見て脊髄反射で「事業用定期=公正証書!」と決めつけない。事業用定期は『50年未満』。50年ちょうどは範囲外で、50年以上は一般定期借地権に切り替わる。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の存続期間が50年→期間(50年)でどの定期借地権かが決まり、それによって書面でよいかが決まる=どの種類の借地権かを確定する問題=種類レーン。
⚖ Step3 判定する
根拠:暗記メモより、事業用定期借地権=『10年以上50年未満・公正証書必須』、一般定期借地権=『50年以上・書面(電磁的記録含む)でよい・用途自由(居住用も事業用もOK)』。一般定期は更新なし・延長なし・建物買取請求なしの3点セットを定められる。
当てはめ:存続期間50年は『50年未満』ではないので事業用定期借地権から外れ、『50年以上』の一般定期借地権§22に切り替わる。一般定期は用途自由なので事業用建物でも可。方式は書面でよく公正証書不要。
本肢は更新なし・延長なし・§13建物買取請求なしの特約を『書面で有効に定めることができる』としている=一般定期借地権の内容と方式に一致=○。
✅ Step4 結論
○ 正しい
存続期間50年は一般定期借地権(§22・50年以上)。書面で更新なし・延長なし・買取請求なしの3点セットを定められ、事業用建物でも可=○。
🧭 Step1 どの型か
この肢が「借地の型」だと分かる語句はどれ?
🛤 Step2 どの論点か
「存続期間が50年」という数字は、どの論点を判定させる手がかり?
⚖ Step3 判定する
専ら事業用・存続期間50年の借地権で、更新なし等の特約を書面で定められる?
✅ 結論
○ 正しい
存続期間50年は一般定期借地権(§22・50年以上)。書面で更新なし・延長なし・買取請求なしの3点セットを定められ、事業用建物でも可=○。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ 特殊契約は問題文から「目的」と「期間」の2つだけ拾ってフロー2-1に当てはめる。事業用定期借地権=専ら事業用(居住用NG)・10年以上50年未満・公正証書のみ(普通の書面では無効)。50年以上になれば一般定期借地権へ切り替わり、書面または電磁的記録でOK。「賃貸アパート事業=居住用」「50年ジャスト=一般定期借地権」の2大トラップを、目的と期間の機械的仕分けで無力化する。