取得時効の応用編。「前の人の時間を足す」占有のバトンタッチと、時効完成前後の第三者との勝敗判定を完全攻略します。⚖天秤の世界で「事実の連続」と「登記レース」の本質をマスターしましょう。
本日のターゲット問題(令和2年[10月] 問10 肢3)
Aが甲土地を所有している場合の時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
肢3
Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。
答え:◯(正)
§187で占有承継可。Fは前主Dの善意無過失も引き継ぐ → 10年ルール適用。D3年+F7年=計10年で時効取得可
(占有の承継)
第187条 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。(正しいか?)
§187:占有者は「自分のみ」または「前主の占有を併せて」主張できる選択権あり。
Fは7年なので単独では10年/20年に届かない。前主Dの3年を併せて主張するのが有利。
判例:占有承継するときは「前主の善意悪意も含めて主張」する。前主Dは善意無過失なので、Fが承継主張すれば10年ルールが適用。
D3年+F7年=合計10年 → 10年ルール充足 → 時効取得可。
判定:○ 正しい
§187によりFは前主Dの占有を併せて主張可。前主の善意無過失も引き継ぐので10年ルール適用。D3年+F7年=計10年で時効取得できる。
Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。(正しいか?)
Fは前主Dの3年を併せて主張できる?
前主Dが善意無過失なら、悪意のFも10年ルールで取得可?
以上をふまえ、この肢は正しい?
判定:○ 正しい
§187によりFは前主Dの占有を併せて主張可。前主の善意無過失も引き継ぐので10年ルール適用。D3年+F7年=計10年で時効取得できる。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 概念マップ:占有承継は「事実の連続」を守るルール。第三者対抗は「時効完成時の所有者」を基準にする。
- □ 即答パターン①:「前主の善意無過失+後主の悪意」承継 → 10年ルール適用(§187で承継)
- □ 即答パターン②:「時効完成前の第三者」→ 登記なしで対抗可
- □ 即答パターン③:「時効完成後の第三者」→ 原則登記必要。ただし再度の時効取得を完成すれば登記なしで対抗可(判例)
⚠️ よくある引っかけ
- 「前主の瑕疵だけ引き継ぐ」→ ×(善意無過失も引き継ぐ)
- 「時効完成後の第三者には絶対対抗不可」→ ×(再度の時効取得という例外あり)
- 「単独主張と承継主張の選択は不可」→ ×(§187で選択可)
過去問「比較」道場(ひっかけ回避)
👨🏫:時効完成と第三者譲渡のタイミングで結論が180度変わる。完成「前」「後」「後+再度の取得」の3パターンをスキャンせよ。
【比較対象1:完成「前」の譲渡】(令和5年 問6 肢ア)
AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。
【比較対象:完成前の第三者の場面】 A ━売却━▶ C(登記)… その"後"にBの取得時効が完成 → 完成"前"の譲受人Cは時効取得者Bの「当事者」=Bは登記なくてもCに対抗できる
答え:◯(正)
Cの登場は時効完成「前」→ 時効完成時の所有者はC → Bは時効でCから取得した形 → 登記なしで対抗可(判例)
AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。(正しいか?)
判例:時効による所有権取得の対抗関係は「時効完成時に所有者だった人」を基準にする。
Cは時効完成「前」に登記を備えた → 時効完成時の所有者はC → Bは時効完成によりCから所有権を取得した形。
判例:時効完成前に登場した第三者には、時効取得者は登記なしで対抗可(取得時効はもともと「無権利者からの取得」を完成させる制度なので、第三者から見れば従前所有者の地位を引き継いだだけ)。
Bは登記なしでCに対抗可 → ○ 正しい。
判定:○ 正しい
Cは時効完成前の第三者。判例により、時効取得者Bは登記なしでCに対抗できる。
AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。(正しいか?)
Cの登場は時効完成の前か後か?
時効完成前の第三者Cに対し、Bは登記なしで対抗できる?
以上をふまえ、この肢は正しい?
判定:○ 正しい
Cは時効完成前の第三者。判例により、時効取得者Bは登記なしでCに対抗できる。
【比較対象2:完成「後」+再度の時効取得】(令和5年 問6 肢イ)
Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。
①Bの時効完成 → ②A ━売却━▶ D(登記)→ Dの登記後にBがさらに占有継続=再度の時効完成 → 登記後の再度の時効完成は「当事者」扱い=Bは登記なくてもDに対抗できる
答え:◯(正)
原則は完成後の第三者には登記必要だが、Dの登記の日から再度の時効取得を完成すれば「新たな完成前の第三者」扱い → 登記なしで対抗可(判例)
Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。(正しいか?)
判例:時効完成後の第三者には、時効取得者は登記なしでは対抗できない(時効完成時に登記を備えていなかったから)。
原則ルートではBはDに対抗不可。しかしStep 3の例外ルート(再度の時効取得)に乗れるか?
判例:第三者Dの登記後も占有を継続し、Dの登記の日から起算して新たな時効取得を完成させれば、その時点でDが「新たな時効完成前の第三者」になる → 登記なしで対抗可。
本問はBが「Dの登記の日から…時効取得に必要な期間占有を継続」しているので、再度の時効取得が完成 → 対抗可 → ○ 正しい。
判定:○ 正しい
原則は時効完成後の第三者には登記必要だが、Dの登記の日から再度の時効取得を完成すれば「完成前の第三者」と同じ扱いで登記なしで対抗可(判例)。
Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。(正しいか?)
原則として、時効完成後の第三者Dに登記なしで対抗できる?
再度の時効取得が完成したら、登記なしでDに対抗できる?
以上をふまえ、この肢は正しい?
判定:○ 正しい
原則は時効完成後の第三者には登記必要だが、Dの登記の日から再度の時効取得を完成すれば「完成前の第三者」と同じ扱いで登記なしで対抗可(判例)。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖取得時効の応用 = 「占有承継」と「第三者対抗」。
・占有承継(§187):選択可・善意無過失と瑕疵もセットで引き継ぐ
・第三者対抗:完成「前」→ 登記なしで対抗可 / 完成「後」→ 原則登記必要
・再度の時効取得:完成後でも占有を続けて新時効を完成すれば登記なしで対抗可(判例)
時系列を必ずスキャン(時効完成 vs 第三者登場)。占有承継・再度の時効取得という「裏技」を覚えれば取得時効の応用論点は完全制覇。
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