囲繞地通行権の順路 4 / 7 Step1 袋地の生まれた原因
「他人の土地をタダで通っていいなんて図々しい」——普通はそう思うのが筋です。原則として囲繞地通行権を行使するなら償金(通行料)を払う義務があります(§212)。ただし1つだけ例外がある。それが「自分のせいで袋地になった」ケース。共有物分割や土地の一部譲渡で袋地が生まれた場合、その分割相手だけは償金なしで通れます。本問はその例外を試す典型問題です。
目次
本日のターゲット問題(令和2年 問1 肢1 ベース=原典の「他の分割者の所有地」を登場人物Bに当てはめて改題)
共有物の分割によって甲土地が袋地となった場合、Aは甲土地を囲んでいる土地のうち、その分割によってBの所有となった土地のみを、償金を支払うことなく通行することができる。
【Step 1】袋地の生まれた原因を見極める
Q. 袋地は何で生まれた?
├─ 共有物の分割/土地の一部譲渡で生じた ★本問
│ → §213「自業自得タイプ」
│ → 分割で他方が取得した土地のみ・無償通行可
│ → 第三者の土地は通行できない(袋地は分割当事者間で解決)
│
└─ それ以外(売買等で気づいたら袋地だった)
→ §210・§212「通常タイプ」
→ 周りの土地を通行可・償金支払あり
→ 通路は最小限の損害を選ぶ(次のStep 2へ)
本問:共有物の分割によって袋地が生まれた
→ §213で「分割相手の土地のみ・無償」
→ ○
答え:◯(正しい)
🎯 この問題の核心
共有物分割で生じた袋地は§213「自業自得タイプ」。分割相手の土地のみ・無償で通行できる。記述の通り。
🧭 判定軸=袋地は”何で”生まれた? まず自分で○×を出してみよう
原則は「他人の土地を通るなら償金を払う」(§212)。でも共有物分割で生まれた袋地だけは§213で”無償・分割相手のみ”。この例外を、受け身で読まずに自分で解いて掴みます。
🙋♂️生徒:まず本問(令和2年 問1肢1)から。「共有物の分割で甲土地が袋地になった場合、Aは、その分割でBの所有となった土地のみを、償金を支払うことなく通行できる」──他人の土地をタダで通るなんて図々しいし、通行料は払うのが筋。だから×ですよね?
👨🏫講師:引っかかったね。答えは○だ(令和2年 問1肢1)。原則なら確かに§212で償金がいる。でも共有物分割で生まれた袋地は事情が違う。もともと一つの土地を当事者の意思で切り分けた結果の袋地=自業自得タイプ。だから§213で「分割相手の土地のみを無償で通れる」。本肢はその通りだから○。
🙋♂️生徒:なるほど…「分割で生じた」と書いてあれば§213モードで無償なんですね。じゃあ、通れる先は本当に分割相手の土地だけなんですか?
👨🏫講師:そこを次の1問で試そう。具体的に想像してごらん。分割でBの所有になった土地には細い畦道しかなくて実際には車が通れない。すぐ隣にはCという第三者の広い土地があって、そっちなら公道に楽に出られる。──このとき「Bの土地が使いにくいのだから、Cの土地を無償で通行できる」。○か×か?
🙋♂️生徒:えっ…現実に困っているなら、隣のCさんの土地を通させてもらえてもよさそう…。しかも§213は無償のルールだし…○?
👨🏫講師:そこが罠だ。答えは×。§213で通れるのは分割相手(B)の土地に限られる。第三者Cは分割に関係ないから、その土地は§213では一切通れない(射程外)。Bの土地に道がなくて事実上通れないなら、AとBが話し合って契約で通行権を作るしかない。袋地は分割した当事者どうしで解決する──これが§213の芯だ。
🙋♂️生徒:つまり見る軸は2つ。①原因=「分割/一部譲渡」で生じたなら§213(無償・分割相手のみ)、それ以外なら§210+§212(有償・周囲)。②通行先=§213では分割相手の土地だけで、第三者には広がらない。この2軸で全部さばけるんですね。
👨🏫講師:その通り。『分割/一部譲渡で生じた』→ 分割相手のみ・無償をセットで押さえて、あとは似た顔の肢に当てるだけだ。次は同じ問題を練習タブで、結論を隠したまま自分の手で一周してごらん。
💡 深掘り:
「原因=分割/一部譲渡なら§213(無償・分割相手のみ)/それ以外は§210+§212(有償・周囲)」「通行先=§213は分割相手の土地に限られ、第三者へは広がらない」。この2軸だけで、囲繞地通行権のひっかけは見抜けます。
⚡ 仕上げ:引っかけ(○か×か、自分で答えてから開こう)
① 共有物分割で甲土地が袋地になった場合、Aは、分割でBの所有となった土地のみを、償金を支払うことなく通行できる(令和2年 問1肢1) → ○:§213の自業自得タイプ。分割相手の土地のみ・無償で通行できる。本肢はその通り。
② 分割で生じた袋地でも、分割相手の土地に通路がなければ、隣接する第三者の土地を無償で通行できる → ×:§213で通れるのは分割相手の土地に限られる。第三者の土地は射程外で通れない。袋地は分割当事者間で解決する。
③【逆罠】 売買で買った土地がたまたま袋地だった場合、周囲の土地を、償金を払えば通行できる → ○:これは§213ではなく原則の§210+§212(通常タイプ)。周囲の土地を有償で通れる。「有償だから誤り」ではない点に注意。
§210①(公道に至るための他の土地の通行権):他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
§212(通行権者による償金支払):通行権を有する者は、通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。
§213①(共有物分割・一部譲渡で生じた袋地):分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
【ポイント】原則§210+§212で有償。例外§213で無償(分割・一部譲渡時のみ)。
通行権 / Step 1:袋地の生まれた原因
共有物分割で生じた袋地は「無償」で通行可
令和2年 問1 肢1
📋 問題文
共有物の分割によって甲土地が袋地となった場合、Aは甲土地を囲んでいる土地のうち、その分割によってBの所有となった土地のみを、償金を支払うことなく通行することができる。
🔑 条件の抽出
袋地の原因共有物の分割によって生まれた
通行先分割で他方の所有となった土地のみ
Step 1:袋地の生まれた原因を見極める
袋地が「共有物の分割」または「土地の一部譲渡」で生じたとき=自業自得タイプ。元はひとつの土地だったのに、当事者の意思で分割したから袋地化した。だから残された土地(分割で他方が取得した部分)のみを、無償で通行できる(§213)。第三者の土地は通れない。
結論
○(正しい)
§213で共有物分割で生じた袋地は分割相手の土地のみ・無償で通行可。記述の通り。
📋 問題文
共有物の分割によって甲土地が袋地となった場合、Aは甲土地を囲んでいる土地のうち、その分割によってBの所有となった土地のみを、償金を支払うことなく通行することができる。
Step 1:袋地の生まれた原因を見極める
共有物分割で生じた袋地は、誰の土地を通れる?
最終判定
「分割によりBの所有となった土地のみを償金支払なく通行できる」は正しい?
結論
○(正しい)
§213で共有物分割で生じた袋地は分割相手の土地のみ・無償で通行可。記述の通り。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する:袋地の原因が「分割」「土地の一部譲渡」と書いてあれば、即§213モード(無償・分割相手のみ)。その他なら§210+§212(有償・最小限の損害)。
- 共有物分割/一部譲渡で生じた袋地:分割相手の土地のみ・無償(§213)
- その他の原因で生じた袋地:周りの土地・有償(§210+§212)
- 分割相手の土地に道がなくても、第三者の土地は通れない(§213の射程外)
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ Step 1は袋地の生まれた原因を見極める。「分割/一部譲渡」なら§213で無償・分割相手のみ。「自業自得タイプ」が正体。本問は分割で生じたから、§213モードで○。
→ 次の記事:「Step 2:通行できる範囲(最小限の損害)」