📘 深掘り解説 | 賃貸借の順路 10 / 12 転貸の仕組み(親亀こけたら子亀もこける) のくわしい解説です
この記事は〈転貸の型〉で迷った論点だけを読む場所です。順に全部読む必要はありません。
大家A(土台)─借主B(親亀)─また借りた人C(子亀)。登場人物が3人になった途端パニックになる転貸借。親亀Bが大家Aとの契約を切られたら、子亀Cは道連れで追い出されるのか?——カギは「親亀がどうやってこけたか」。終了理由ひとつで子亀の運命が180度変わる転貸の型(親亀の死因フロー)を攻略します。
目次
本日のターゲット問題①(平成28年度 問8 肢3)
(AがBに甲建物を賃貸し、BがAの承諾を得てCに適法に転貸している場合)
肢3 AがBの債務不履行を理由に賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して甲建物の明渡しを求めることができる。
本日のターゲット問題②(平成28年度 問8 肢1)
肢1 Aは、Bの賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。
【転貸の型】親亀の終了理由 → 子亀(C)の運命
① 債務不履行で解除 ── Aの勝ち。Cは退去。Cへの催告も不要
② 合意解除 ──────── Cの勝ち。Aは対抗できない(ハシゴ外し禁止)
※ただし解除当時すでにBが債務不履行状態 → ①扱い(Aの勝ち)
③ 期間満了・解約申入れ ─ Aの通知 → 6ヶ月経過で終了(猶予あり)
まず「親亀がどう終わったか」を問題文から探すのが第一歩
答え:① 〇(正しい)/② ×(誤り)
🎯 この問題の核心
どちらも親亀Bの債務不履行による解除。①土台が消えたので大家AはCに明渡しを求められる(〇)。②大家はCに代払いの催告(支払う機会)を与える義務はない。Cが真面目に払っていても無関係——だから「与えなければならない」は×。
🧠 なぜこうなる? ― 講師と生徒で”天秤”に乗せる
⚖️ ここは「天秤の世界」。家賃をもらえない大家の財産権と、真面目に住む子亀の既得権を量ります。そして親亀がこけた理由でどちらに傾くかが決まります。
🙋♂️生徒:「先生、子亀Cはちゃんと家賃を払っているのに、親亀Bが滞納したからって追い出されるのは可哀想すぎませんか?」
👨🏫講師:「出たな『可哀想トラップ』!試験委員はその優しい感情を狙っている。子亀の権利は、親亀が大家から借りているという『土台』の上に乗って成り立っている。親亀が家賃滞納という重大な契約違反(債務不履行)を犯して土台が消えたら、その上の子亀も道連れ(連帯責任)になるのが理屈だ。大家がCに『代わりに払うか?』とチャンス(催告)を与える義務は1ミリもない。」
🙋♂️生徒:「厳しい!自業自得の連帯責任だから子亀は問答無用で退去ですね。」
👨🏫講師:「だが、親亀Bと大家Aが話し合って勝手に契約を終わらせた(合意解除)場合はどうなる?」
🙋♂️生徒:「話し合いで終わらせたなら、やっぱり土台がなくなって子亀は退去……?」
👨🏫講師:「ブッブー!もし合意解除で追い出せるなら、大家と親亀がグルになって『明日で契約終わりにしようぜ』と結託すれば、真面目な子亀の権利をいつでも一方的に奪える。これは『勝手なハシゴ外し』で法律は絶対に許さない。だから合意解除では子亀の勝ちだ。」
🙋♂️生徒:「アハ体験!債務不履行解除=子亀アウト/合意解除=子亀セーフ。親亀が『どうこけたか』で結論が180度変わるんですね!(※合意解除でも、その時すでに親亀が滞納していたら大家の勝ち=ハシゴ外しじゃないから)」
👨🏫講師:「ここから引っかけ2連発だ。転貸は『親亀の死因』がカギだぞ。引っかけ①(平成28年 問8 肢4)——「AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。」○か×か?」
🙋♂️生徒:「親亀が終わったから子亀Cも追い出される…×? いや、親亀の死因が『合意解除』=大家と親亀の勝手なハシゴ外しだ。子亀Cは保護され、Aは明渡しを当然には求められない。『求めることができない』は正しい=○!」
👨🏫講師:「その通り。引っかけ②(令和3年 問12 肢3)——「甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。」これは?」
🙋♂️生徒:「期間満了で終了、通知から…『3月』? 期間満了・解約申入れで終わるときの猶予は6ヶ月(借地借家§34)だ。数字をすり替えてる=×!」
👨🏫講師:「完璧だ。合意解除なら子亀は守られる・終了通知の猶予は6ヶ月、を本番まで持っていけ。」
- 民法§613条3項(合意解除と転借人) 適法な転貸の場合、賃貸人は賃借人との賃貸借を合意により解除したことを転借人に対抗できない。ただし、解除の当時、賃貸人が債務不履行による解除権を有していたときはこの限りでない(=この場合は対抗できる)。
- 借地借家§34(期間満了・解約申入れ) 建物賃貸借が期間満了・解約申入れで終了するときは、賃貸人は転借人に通知しなければ終了を対抗できず、通知から6ヶ月経過で転貸借も終了する。
暗記ポイント
🎯 試験本番ではこう即答する
⚖️ 暗記メモ:A・B・Cの3人が出たら、まず親亀(A-B間)の終了理由を探す。債務不履行=子亀アウト(催告不要)/合意解除=子亀セーフ(ハシゴ外し禁止)/期間満了・解約申入れ=通知後6ヶ月で退去。この見分けで、感情を揺さぶるトラップを避けられる。
⚠️ よくある引っかけ
- 「債務不履行解除でも、大家は子亀に代払いの催告が必要」→ ×。催告は不要。子亀が真面目に払っていても土台が消えれば道連れ。
- 「合意解除でも子亀は当然に退去」→ ×。ハシゴ外し禁止で子亀は保護される(対抗できない)。
- 「期間満了の通知から3ヶ月で終了」→ ×。正しくは6ヶ月。数字すり替えトラップ。
🏋 過去問道場 ― 4手で解く
📖 解説で型を確認 → 🏋 練習で1段ずつ。黄色=判断の手がかり。
アルゴリズムによる処理 | 🔁転貸
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(H28問8肢3|債務不履行解除→C退去)/黄色=判断の手がかり
🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
(AがBに甲建物を賃貸し、BがAの承諾を得てCに適法に転貸している場合)AがBの債務不履行を理由に賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して甲建物の明渡しを求めることができる。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書Cに適法に転貸している → 🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
⚠ ひっかけ:登場人物がA・B・Cの3人=また貸し。2人だけの借地・借家と早合点せず、3人が出たら必ず転貸の型で確定する。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の債務不履行を理由に賃貸借契約を解除→親亀A-Bがどう終わったか(債務不履行解除)で子亀Cの運命が決まる=親亀の終わり方レーン。
⚖ Step3 判定する
アルゴ分かれ道②:💀債務不履行(家賃滞納)で解除 → Aの勝ち。転貸借も自動終了・Cは即退去。AからCへの催告も“代払いの機会”も不要【自業自得は保護しない】
当てはめ:本肢は親亀A-Bを債務不履行解除→転貸借も基礎を失って自動終了。CのBに対する不払いの有無は無関係でAはCに明渡しを求められる。
本肢は『明渡しを求めることができる』=記述のとおり=○
✅ Step4 結論
○ 正しい
親亀A-Bが債務不履行で解除されると転貸借も自動終了し、AはCに明渡しを求められる。Cの不払いの有無は無関係。記述は正しいので○。
🧭 Step1 どの型か
柱書の『Cに適法に転貸している』を見たら、どの型で確定する?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『債務不履行を理由に賃貸借契約を解除』は転貸のどの論点(レーン)?
⚖ Step3 判定する
親亀A-Bが債務不履行で解除されたとき、Cに不払いがなくてもAはCに明渡しを求められるか?
✅ 結論
○ 正しい
親亀A-Bが債務不履行で解除されると転貸借も自動終了し、AはCに明渡しを求められる。Cの不払いの有無は無関係。記述は正しいので○。
アルゴリズムによる処理 | 🔁転貸
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(H28問8肢1|転借人への催告不要)/黄色=判断の手がかり
🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
Aは、Bの賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書Cに対して → 🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
⚠ ひっかけ:A・B・Cの3人が登場=また貸し。誰に催告するかを問う肢だが、まず転貸の型で確定してから論点に入る。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除→親亀A-Bを債務不履行(賃料不払い)解除する場面=親亀の終わり方レーン。
⚖ Step3 判定する
アルゴ分かれ道②:💀債務不履行(家賃滞納)で解除 → Aの勝ち。AからCへの催告も“代払いの機会”も不要【自業自得は保護しない】
当てはめ:債務不履行解除の催告は借主Bに対して行えば足り、転借人CにまでCに支払う機会を与える義務はない(判例)。
本肢は『Cに支払う機会を与えなければならない』=義務がないのに義務があると述べる=誤り=×
✅ Step4 結論
× 誤り
債務不履行解除の催告は借主Bにすれば足り、転借人Cに支払う機会を与える義務はない(判例)。『与えなければならない』は誤りなので×。
🧭 Step1 どの型か
A・B・Cの3人が登場するこの肢は、まずどの型で確定する?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除』は転貸のどの論点(レーン)?
⚖ Step3 判定する
債務不履行解除のとき、転借人Cにも催告して支払う機会を与えなければならないか?
✅ 結論
× 誤り
債務不履行解除の催告は借主Bにすれば足り、転借人Cに支払う機会を与える義務はない(判例)。『与えなければならない』は誤りなので×。
アルゴリズムによる処理 | 🔁転貸
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(H28問8肢4|合意解除は子亀に対抗できない)/黄色=判断の手がかり
🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して、Bとの合意解除に基づいて、当然には甲建物の明渡しを求めることができない。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書AはCに対して → 🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
⚠ ひっかけ:A・B・Cの3人=また貸し。終了理由が債務不履行解除と紛らわしいが、ここは合意解除=結論が逆になる点に注意。まず転貸の型で確定する。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の合意解除→親亀A-Bを合意解除で終わらせた場面=親亀の終わり方レーン。
⚖ Step3 判定する
アルゴ分かれ道②:🛡️合意解除 → 原則Cの勝ち(AはCに明渡し請求できない=勝手なハシゴ外し禁止)。§613③:合意解除は転借人に対抗できない
当てはめ:本肢は親亀A-Bを合意解除。勝手にやめた都合をCに押し付けられず、Aは『当然には』明渡しを求められない。
本肢は『当然には明渡しを求めることができない』=記述のとおり=○
✅ Step4 結論
○ 正しい
合意解除は原則として転借人Cに対抗できない(§613③・ハシゴ外し禁止)。AはCに当然には明渡しを求められず、記述は正しいので○。
🧭 Step1 どの型か
A・B・Cの3人が登場するこの肢は、まずどの型で確定する?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『合意解除』は転貸のどの論点(レーン)?
⚖ Step3 判定する
親亀A-Bを合意解除したとき、AはCに当然に明渡しを求められるか?
✅ 結論
○ 正しい
合意解除は原則として転借人Cに対抗できない(§613③・ハシゴ外し禁止)。AはCに当然には明渡しを求められず、記述は正しいので○。
アルゴリズムによる処理 | 🔁転貸
📖 解説で理解 → 🏋 練習で定着
📋 問題文(令和3年問12肢3|通知後6ヶ月で終了(数字の罠))/黄色=判断の手がかり
🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。(正しいか?)
🧭 Step1 どの型か
根拠=柱書BからDに転貸されている → 🔁転貸(また貸し・親亀子亀)
⚠ ひっかけ:A・B・Dの3人=また貸し。子亀がDに変わっても転貸の型は同じ。終了理由が『期間満了』である点を見落とさない。
🛤 Step2 どの論点か
根拠=肢の期間満了によって終了する旨の通知→親亀の終了理由が期間満了で、転借人Dへの通知と終了時期を問う=親亀の終わり方レーン。
⚖ Step3 判定する
アルゴ分かれ道②:⏳期間満了・解約申入れで終了 → AがCに終了通知→その日から6ヶ月後にBC転貸借も終了(借地借家§34②)
当てはめ:通知から終了までの猶予は6ヶ月。本肢の『3月(3ヶ月)』は数字のすり替え。
本肢は『3月を経過することによって終了する』=正しくは6ヶ月=誤り=×
✅ Step4 結論
× 誤り
期間満了による終了の転借人への通知後、転貸借が終了するのは6ヶ月経過時(借地借家§34②)。『3月』は数字のすり替えで誤りなので×。
🧭 Step1 どの型か
『BからDに転貸されている』を見たら、まずどの型で確定する?
🛤 Step2 どの論点か
肢の『期間満了によって終了する旨の通知』は転貸のどの論点(レーン)?
⚖ Step3 判定する
期間満了による終了を通知したとき、転貸借は通知の日から何ヶ月で終了する?
✅ 結論
× 誤り
期間満了による終了の転借人への通知後、転貸借が終了するのは6ヶ月経過時(借地借家§34②)。『3月』は数字のすり替えで誤りなので×。
【まとめ】📌 この記事の核心
📌 この記事の核心
⚖ A・B・Cの3人が出たら、まず親亀(A-B間)がどう終わったかを探す。債務不履行解除=子亀アウト(催告不要)/合意解除=子亀セーフ(ハシゴ外し禁止・ただし解除時すでに滞納なら大家の勝ち)/期間満了・解約申入れ=通知後6ヶ月で退去。「Cが真面目に払っている」という感情揺さぶりに惑わされず、終了理由だけで機械的に判定する。